【舞台】「プルートゥ」日本版”アンドロイドは電気羊の夢を見るか?”は、素晴らしい出来でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「プルートゥ」を観てきました。


ストーリーは、

人間とロボットが共存する時代。世界最強と言われるロボットが次々と破壊される事件が起こる。

高性能刑事ロボット、ゲジヒト(寺脇康文)は犯人の標的が、自身を含めた7体の大量破壊兵器となり得るロボット達だと確信。自分と同じ高性能ロボット、アトム(森山未來)と共に謎を追うことに。彼らは、内戦で家族を失った世界最高峰の頭脳を持つ科学者アブラー(松重 豊)、人間を殺害した唯一のロボット、ブラウ1589との接触により核心に迫っていく。
ある日、アトムの妹で悲しみを察知する能力を持つウラン(永作博美/2役)が廃墟の壁に花畑の絵を描く不思議な男と出会う。そこにアトムが駆け付けると、男に異変が起こり……
というお話です。

プルートゥ

この原作は、元は”手塚治虫”先生のアトムのお話なのですが、それを”浦沢直樹”先生が解り易く、現代的な解釈として漫画として描いたものを舞台化しています。マンガは、8巻だったかな。すごい感動作なのですが、それが、どう舞台化されるのか、とても楽しみでした。


原作にそって、漫画の場面映像をプロジェクションマッピングのように使いながら、白い箱をまるで漫画のコマを動かすように、舞台を展開させて行きます。演出で面白いと思ったのは、人間役は、普通に演じるだけなのですが、ロボット役が動く時は、黒子ならぬ白子が動きを操っているようにしているんです。そう、人間は、自分の意志で動いているけど、ロボットは、AIの指示によって動いているからです

プルートゥ

そして、ゲジヒトやアトムの中に、感情が現れてくると、段々と、操られなくなって行く。白子が居なくなるんです。面白いでしょ。ロボットだから、感情など無いはずなのに、憎しみや悲しみ、憐れみ、愛情が産まれて行くんです。ロボットなのにね。だから、夢を見る。アンドロイド=ロボットも、夢を見るんです。不思議ですよね。

アトムの中で、それが描かれていたとすると、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」の方がパクリなのかしら。(笑)いや、どちらにしろ、ロボットを描き出すと、誰もが悩む事だから、こういう内容が出来てくるのは当たり前なんでしょうね。でも、面白いと思いませんか。日本には、昔から「付喪神」というものがあって、どんな物も、使う人間の想いが伝われば、魂が宿るのだという考え方があるでしょ。だから、ロボットだって、日本なら、魂が宿るのは当たり前の事なんです。手塚先生は、そう言う事も解っていたんでしょうね。

プルートゥ

内容に戻ります。まず、アトムとゲジヒト以外の高性能ロボットが破壊されます。地球の最高峰ロボットなのに、何故簡単に破壊されたのか、人間には出来るはずがない。しかしロボットは人間もロボットも殺す事は出来ないとプログラムされている。不思議に思ったゲジヒトは、世界で初めて殺人を犯したロボット”ブラウ1589”に会いに行き、ロボットにも憎しみというものが生まれるのかを調査しに行きます。

このロボットの破壊事件は、5年前に起こった第39次アジア戦争が関係しているようだと解ってきます。当時、軍事力で近隣諸国を脅かしていたペルシア共和国に、大量破壊兵器があると、トラキア合衆国が主張し、戦争が勃発。トラキア軍は、軍事施設のみならず、民間人をも虐殺してしまう。戦争が収まり、大量破壊兵器を調査しに行ったボラー調査団が見たものは、兵器では無く、大量の壊れた環境捜査ロボットの残骸だった。

プルートゥ

まるで、イラク戦争でしょ。大量破壊兵器があると言って戦争を仕掛け、フセインを殺したけど、結局、大量破壊兵器は見つからず、沢山の憎しみを生み出してしまった。確かに、2001年の同時多発テロが先だから、先に手を出したのはあちらだと言うんでしょうけど、結局、報復をしてしまったが為に、2015年になっても、テロは収まらず、イスラム社会との溝は埋まらなくなってしまった。憎しみは憎しみを生み、酷くなって行くだけ。どこかで、この連鎖を断ち切らなければ、終わらないんです。

話を戻して、国を破壊されたペルシア共和国は、その憎しみを増幅させ、戦争に関わった高性能ロボットとボラー調査団に狙いを定める。この憎しみを利用して、トラキア合衆国のAIのDr.ルーズベルトとアレクサンダー大統領は、世界を動かす大国となる画策をしていた。そして、アトムが標的となり、破壊されてしまう。最後に残ったゲジヒトは、世界を救うことが出来るのか、後は舞台を観て下さいね。

プルートゥ

この話、上手く伝えられないです。自分の頭の中では解っていても、内容が膨大なので、全てを伝えられず、困っちゃう。アトムは天馬博士に失敗作だと言われ捨てられて、お茶の水博士に引き取られて育てられたんです。それがアトムには心の傷になっていて、いつまでも付きまといます。完璧と言う事は、人間では無いんだって天馬博士は言うんです。では、人間とは何なのだという原点に戻って来て、完璧になる為の努力があるのに、完璧は人間じゃないって事でしょ。考え始めたらキリがない、深い深い内容なんです。

こんな凄い内容を、良く舞台化したなぁと関心してしまいました。でも、ちゃんと、観る方には伝わってきましたよ。但し、私は、原作を読んでいるので、その表現している事が良く解ったのですが、これ、原作を知らないと、あまりにも情報が多過ぎるので、解ったのかなぁと、ちょっと思いました。

プルートゥ

長くなっちゃってスミマセン。この舞台、すっごく良い舞台なので、ぜひ、皆さんに観て欲しいのですが、大人気で、チケットは完売のようですね。もし、手に入る事があるようでしたら、観てみて下さい。もし、気になったら、原作も読んでみて下さいね。本当に、良い作品です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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