【東京フィルメックス】「クロコダイル」共存か戦いか、やったらやり返すのでは終わりが無い。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京フィルメックスにて「クロコダイル」を観てきました。


ストーリーは、

娘のロウィナの12回目の誕生日を祝おうとしていたディヴィナはショッキングな知らせを受け取る。ロウィナがワニに襲われたのだ。ディヴィナは行方不明になったままのロウィナの遺体を探すために湿地帯を彷徨う......。娘の遺体を探す母親の姿を通し、フィリピン南部、南アグサンの湿地帯に暮らす人々の生活とその直面する問題点を描き出す。

というお話です。


クロコダイル

これは、考えさせられる映画でした。簡単に言ってしまうと、フィリピン南部の湿地帯で、ワニに娘が襲われて、それを悲しんで、その遺体を探し求めるという、それだけの話なんです。内容としては、それ以上は何もないんです。それが、実話であり、ドキュメンタリー的な部分もあったりしするのですが、両親は悲しむだけで、何かが起きる訳では無いんです。

その地域では、昔からワニが多く、世界一大きなワニが発見された地域でもあり、恐ろしい地域なのですが、何故か、昔から、人間との共存が上手くいっており、人間が襲われることは無かったんです。そんな地域で、何故、少女がワニに襲われる事件が起きてしまったのか。不思議ですよね。

ロウィナは、12歳の誕生日を迎え、もうすぐ学校の卒業式が近づいて来ました。その湿地帯の村は、とても貧しくて、魚を取ったりしてお金を得ているのですが、それでも足りなくて、ロウィナの卒業式に必要なお金を用意する事が出来ません。母親のディヴィナは、ロウィナにお金が必要だと言われ、近所の人に借りに行くのですが、ご近所も貧しくて、借りる事は出来ません。

誕生日という嬉しい日に、お金が無いとは言えず、誤魔化すディヴィナ。ロウィナは、何となくお金が無い事が解り、卒業式に出れないかなと思って、ちょっとふてくされている様子で、通学時もちょっと乱暴な事をしているんです。すると、川の横の茂みから、突然、ワニが現れて、ガブッとロウィナを飲み込みます。一瞬の出来事に、一緒にカヌーに乗っていた友達も何も出来ず、近くにいた男性も、一人を助けるので精一杯でした。

このワニに襲われる前に、ある村人が、ワニの卵を取って、ワニ園に売りに行く姿をロウィナたちは目撃しています。卵を取られた腹いせに人間を襲ったとは考えにくいですが、今まで、長い間、共存してきたワニと人間の均衡が、ここで途切れるんです。

母親のディヴィナは、娘の亡骸だけでも見つけたいと訴え、村の人々は探すのですが、簡単には見つかりません。そして、ある場所で、ディヴィナは、ワニの卵を見つけ、自分の娘を殺されたのだから、ワニの卵を壊してやるという気持ちになるのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。

クロコダイル

ずーっと、共存してきたワニと人間。もちろん、仲良くしていた訳では無く、ある程度の緊張感はあったのだと思うのですが、何年も長い事、襲われることが無かったので、人々の感覚は麻痺していたんだと思います。だから、簡単に卵を取ってしまったり、大きな音で威嚇するような事をしてしまっていたのでしょう。さすがのワニも、堪忍袋の緒が切れたのか、人間を襲ってしまうのですが、これって、社会の仕組みと同じですよね。

日本の現状に、この話が、とても合っていると思ったんです。仲良くやっているからといって、なんでも許していたら、いきなり牙をむかれるというのは、日本の中国や韓国との間に似ていませんか?いつ、噛みついて来てもおかしく無かったのに、そのまま掘っておいた。危険だという認識を忘れていた。それは、ダメですよね。

御嶽山の噴火だって、いつも登山しているから大丈夫だと思っていたら、噴火して惨劇が起きた。土砂崩れなんてしないと思って、適当に斜面に家を建ててたら、一気に土砂崩れが起きた。活断層はあるけど、地震が起きて無いから大丈夫と思っていたら、一気に動いて、家が全壊・半壊した。全ては、予測出来たのに、慣れてしまった気持ちが、悲劇を招いているんです。やっぱり、恐ろしいものは恐ろしいんです。いつも、もしかしてに備えるべきだとは言いませんが、一人一人が、そういう気持ちを、少しでも心に持っていないと恐ろしいことが起きるのだという事です。

日本の熊だって、民家に下りてきてると騒ぐけど、元々は、熊の生息地を人間が取っちゃった訳でしょ。下りて来ているんじゃない、人間が熊の場所に入り込んでいるんです。そういう事も、もう少し考えた方が良いのではないかと思いました。

自然との共存、人間だけど動物としての危機管理、ということを忘れたら、最後は、人間の種のみが消えて行く事になるのではないでしょうか。


クロコダイル

フィリピンの湿地帯で起きた事故によって、こんなにも考えさせる映画を作ったなんて、凄いなって思いました。私、衝撃を受けちゃいました。忘れられない映画だと思います。


私は、この映画、すごくお勧めなんですけど、日本公開は、無いかも知れないなぁ。出来れば公開して欲しいけど、単館系の映画なので、何とも言えません。でも、もし、観る機会があったら、ぜひ観てみて下さい。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ




東京フィルメックス 2014      http://filmex.net/2014/


P.S : 長くなってゴメンナサイ。