「リスボンに誘われて」を観てきました。
ストーリーは、
高校の古典文献学教師のライムント(ジェレミー・アイアンズ)は、孤独で単調な日々を過ごしていたが、不満に感じることはなかった。ある日、偶然手にした本にすっかり魅了された彼は、本の著者アマデウ(ジャック・ヒューストン)を追ってリスボンへ旅立つ。旅先でアマデウの家族や友人を訪ね歩き彼の素顔、そして本を書いた訳が明らかになるつれ、ライムント自身の人生にも変化が生じる。
というお話です。
高校教師ライムントは、学校に向かう途中、橋の上で、自殺しようとしている女性を見つけ、自殺を止めます。そのまま、そこに残していく訳にも行かず、彼女を学校まで連れて行き、クラスにゲストとして招き入れます。授業を始めるのですが、彼女は、赤いコートを残したまま、スッと学校から姿を消してしまい、ライムントは彼女を心配し、彼女のコートに入っていた1冊の本を手掛かりに、彼女を探しに出ます。
その本には、リスボン行きの列車の切符が挟まっていて、彼女は、今日、リスボンに立つ予定だったのではないかと思い、駅まで行くのですが、彼女は見つからず、迷ったライムントは、結局、彼女の切符で列車に乗ってしまいます。

リスボンに着いたライムントは、書店の店主が、彼女は持っていた本を読んでショックを受けていたと言っていた事を思い出し、本の著者であるアマデウに会うために、彼の家を訪ねます。ライムントは、彼女の事も気になりましたが、その本の内容にとても共感し、興味を持ったから訪ねたんです。そして、アマデウの家で、アマデウの妹という人と出会い、アマデウの過酷な経歴を聞いて、もっと興味が深まり、彼がどういう過去を生きたのかを調べ始めます。
そして、アマデウが辿った道を知り、アマデウが関わった人々に会い、その真実にたどり着きます。そして、消えた彼女に、再び出会う事に。彼女は、一体誰だったのかは、映画を観て確かめて下さいね。
ポルトガルで起きた1974年のカーネーション革命の前、サラザールによる独裁に反対して、ポルトガル共産党は抵抗を試みていた時代の話で、アマデウも、その抵抗勢力の1人だったんです。医者という地位を持っていながら、独裁政権に抵抗していたんです。ポルトガルの歴史については、この映画では、ほとんど語られていませんが、酷い時代だったようです。
そんな時代でも、医者としての理想と、独裁政権への抵抗を掲げ、必死で生きていたアマデウという人が居たんです。そして、アマデウの本を読んだライムントは、彼に導かれ、その歴史の渦に巻き込まれて行きます。現代の、何の心配も無い社会の中で、古い時代に触れたライムントは、自分の人生を考え直し始めます。
アマデウという人物を追う事で、ポルトガルの過去に何が起こって、その時に、彼らに何が起こったのかという事が解り、アマデウという人物と、ライムントが助けた女性の関係も解ってきます。歴史の中で、何人もの人間が振り回され、思い出したく無い過去を背負う事になってしまったということが、この映画で解ります。ポルトガルという国に、こんなに辛い時代があったのだと言う事を、この映画で知りました。ドイツの戦争は、良く描かれますが、ポルトガルの内戦は、映画で観た覚えが無いので、とても勉強になりました。
私は、この映画、とってもお勧めしたいです。自分の国が間違っていると解っても、簡単には変えられず、結局、革命という戦争を起こさなければ救われないという現実があるのだと言う事を知りました。同じ人種同士で戦うというのは、辛い事です。こんな事を起こさないよう、考えなければいけません。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・リスボンに誘われて@ぴあ映画生活
- リスボンへの夜行列車/早川書房
- ¥2,700
- Amazon.co.jp