「蜩の記」人の為に生き人の為に死ぬ。それが自分の信念なら、突き通す事は美しい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「蜩ノ記」を観てきました。


ストーリーは、

7年前に前例のない事件を起こした戸田秋谷(役所広司)は、藩の歴史をまとめる家譜の編さんを命じられていた。3年後に決められた切腹までの監視役の命を受けた檀野庄三郎(岡田准一)は、秋谷一家と共に生活するうち、家譜作りに励む秋谷に胸を打たれる。秋谷の人格者ぶりを知り、事件の真相を探り始めた庄三郎は、やがて藩政を大きく揺るがしかねない秘密を知るが……。

というお話です。


蜩ノ記

とっても静かな映画なのですが、内部には、この時代の、ドロドロとしたお家騒動的なものが流れていて、情だけでは済まされない、色々な難しい問題が渦巻いているというお話なので、結構、スリリングかなと思いました。結構、こういう話って、現実にも沢山あったんだろうなと思います。だって「大奥」でも、財政が苦しいから、ここら辺を削るとか、人を減らすとか、商人と何かの繋がりを持つとか、色々あったでしょ。それと同じで、どの大名も、経済的に大変だったんじゃないのかな。それこそ、参勤交代とかもあっただろうし(時代が解らんが。)、年貢とかもあったんでしょ。いつの時代も、会計って大変よね。(笑)

蜩ノ記

檀野(岡田くん)は、些細な事で友人と喧嘩をし、城内で刀を抜いてしまいます。友人を傷つけてしまい、普通なら、罰を受けるはずなのですが、その友人は、藩の家老の甥であり、事を荒立てたくないとのことで、不問のなるのですが、何も無いと言う事では無く、ある事件を起こした男の監視役として、その男の住む家に同居させられることになります。

蜩ノ記

10年後に切腹を命じられた戸田という男は、とても静かな男で、何か問題を起こすような人には見えないのですが、藩からの命令で「家譜」を書く10年のみ切腹を伸ばされ、残りあと3年となっているんです。何故、戸田が切腹を命じられるような事になってしまったのか不思議に想い、檀野は、その理由を探り始めます。

探って行くと、藩の殿様の世継ぎと側室暗殺事件があり、それを助けたのが戸田と言う事が解ります。今は尼となった、この時の側室(お由の方)である松吟尼は、事件の事を檀野に話すのだが、何故、暗殺という事件が起こったのか、それが、誰の指図で、何の目的だったのか判っていないんです。そして、その事件で、戸田が切腹を命じられている事も、松吟尼は知りませんでした。

蜩ノ記

何かおかしいと思って探っている檀野に、家老から、そんな事を探るなと釘を刺され、戸田の住んでいる村の人間にも、締め付けが始まります。藩は、一体、何を隠しているのか。そして、何の目的があって、色々な事件が起きたのか、段々と解明されて行きます。そして、戸田が最後に取った行動とは・・・。後は、映画を観て下さいね。

この映画、とってもしっとりしていて、何とも考えさせられる内容でした。いつの時代も、色々な問題があり、正しい事をしていれば上手く行くとは限らないんです。時には、涙を呑んで、汚い事もしなければならない事があるのかも知れない。それが藩の為になるなら、それが家の為になるなら、それが会社の為になるなら、色々有りますよね。だから、正直者がいつも正しいとは限らないんです。難しいですよね。

蜩ノ記

でも、藩の為に犠牲になる人々は、やっぱり納得が行かないのも分かります。そりゃ、家族から見たら、なんで家のお父さんが犠牲になんなきゃいけないの?って怒るよね。でも、この時代は、藩の為なら、それも甘んじて受けましょうという精神なんですね。そして、家族も、お父さんが決めた事なら、それに従い、尊重するんです。この凛とした感じが、とても美しいと思いました。

蜩ノ記

私は、この映画、お勧めしたいけど、若い人には、あまり受け入れられないかも。時代劇に慣れていて、好きな人にとっては、とても解る内容だと思います。年齢が高い方にお勧めかな。でも、岡田くんも出ているので、若い人も、こういう時代劇に触れて、日本人とはこういうもんだってことを知るのも良いかも知れません。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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