「誰よりも狙われた男」を観てきました。東京国際映画祭のプレイベントで、去年の映画祭の特別招待作品だった映画を上映してくれるイベントです。他にも何作品かあったのですが、既に、映画祭で観てしまった作品がほとんどだったので、観ていなかったこの作品だけ、行ってきました。
ストーリーは、
ドイツ、ハンブルク。諜報(ちょうほう)機関でテロ対策チームの指揮を執るバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、イッサというイスラム過激派に関わりがあるといわれる若い密入国者をマークする。人権団体の弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を介して銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)との接触をもくろむ彼を、あえて拘束せずに監視するバッハマン。イッサの動向を追い掛けることでテロ資金源となっている人物にたどり着こうと考える彼だったが、思いも寄らない出来事が次々と降り掛かってくる。
というお話です。
テロ対策チームの指揮官バッハマン。彼らは、内密にテロの情報を集め、未然にテロを防ぐという仕事をしています。もちろん、内密に動く訳ですから、スパイですね。彼らは、チェチェン出身の過激派の男イッサが、ドイツに密入国したことを突き止めます。イッサは、トルコ人の家に隠れ、アナベルという慈善団体の弁護士に、銀行家ブルーと連絡を取って欲しいと頼みます。

イッサは、ブルーの銀行に隠し口座を持っていて、それは父親からの遺産であり、イッサもブルーも、自分たちの親の代が契約を成立させており、その約束を息子たちに託していたんです。莫大な遺産を相続するイッサですが、密入国の為に身分を証明するものも無く、ブルーは、どうしたもんかと悩んでいると、バッハマンからの接触があり、イッサを使い、お金がどの流れで過激派に流れるのかを突き止めたいということで、金を流させるように促します。

バッハマンたちは、出来るだけ事を大きくせず、人を傷つける事が無く、金の流れを掴んで、一気にその流れを止めるように動くのですが、英米の秘密諜報部が介入し、無駄な事はせず、ダニは駆除すべきとの考えだけを推し進めようとします。表面の悪のみを駆除しても、何もならないと解っているバッハマンは、イッサたちを守りながら、その金の流れを調べて、大きなテロ壊滅を目論んでいるのですが・・・。後はどうなるか、映画を観て下さいね。

この映画、本当に面白いです。原作小説は、私は、まだ読んでいませんが、”ジョン・ル・カレ”の作品なので、間違いなく面白いだろうと思っていました。やっぱり、映画になっても、面白いです。そして、主演のバッハマンを務めるのが、フィリップ・シーモア・ホフマン。この作品が、最後の主演作となってしまいましたが、バッハマンのキャラクターにピッタリでした。
ジョン・ル・カレの作品は、結構、映画化されていますよね。最近では、”ナイロビの蜂”、”裏切りのサーカス”など、スパイ色の強い、ハードな内容で、人々が窮地に立たされていき、最後は、砂漠に一人立ち尽くす的な感じの内容が多く、辛いのですが、面白いんですよねぇ。
この「誰よりも狙われた男」も、とても入り組んでいて、諜報関係の組織だけでも、バッハマンが属するヨーロッパ系の諜報部、英国諜報部、米国諜報部が三つ巴になり、慈善事業家ながら悪の資金源かも知れない男、テロリスト、弁護士、銀行家など、様々な人間を追いながら、本当は、誰が悪いのかを探って行くところが、うぉ~!って言いたくなるほど、ガマンしてガマンして、ネコが獲物を狙う様で、何とも言えない楽しさがありました。
この話、ぜひ、原作も読みたくなりました。もっと銀行家ブルーとか、弁護士のアナベルの人物描写を知りたいなって思ったんです。映画だと、どうしても、全てを詳しくは描けないので、バッハマンとイッサの話が中心になっているのですが、どのキャラクターも魅力的で、追って行きたくなっちゃうんです。
フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の作品となってしまったけど、こんな素晴らしい作品なら、ホフマンも、やり残した~って思う事は無いかも知れません。描写が素晴らしかったです。内容も申し分ないし、どうして、もっと早く公開にならなかったのかしら。

私は、超超お勧め作品です。スパイ映画として、久しぶりに満足した作品です。ホフマンの演技はもちろん、ブルー役のデフォー、アナベル役のマクアダムス、CIAのロビン・ライトなど、魅力的な人物が出てきて楽しめますよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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