- 「柘榴坂の仇討」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
安政7年、彦根藩士・志村金吾(中井貴一)は主君である大老・井伊直弼(中村吉右衛門)に仕えていたが、登城途中の桜田門外で井伊は暗殺されてしまう。その後、あだ討ちの密命を受けた金吾は敵を捜し続けて13年が経過する。明治6年、時代が移り変わり時の政府があだ討ちを禁止する状況で、最後の敵である佐橋十兵衛(阿部寛)を捜し出し……。
というお話です。
お友達に誘っていただいて、完成披露試写会に行ってきました。キャストの皆さんと監督、原作者の方々のご挨拶があり、ちょっと大人の雰囲気でした。やっぱり、時代劇というと、こういう落ち着いた雰囲気なのかしら。ま、それも、新鮮でステキでしたけど。
お話としては、明治維新の時代、そうそう、「るろうに剣心」と同じ時代なんです。井伊大老は、徳川方の人なので、剣心とは違う方です。だから、翁や蒼紫と同じ方かな。井伊大老って人は、この映画を観る限り、穏やかで考え深い人のように見えました。歴史的に見ると、沢山の粛清をしたりして、多くの人々に恨まれていたようですが、考えが在っての事だったようです。でも、あの動乱の時代、その深い考えを理解出来るものは少なくて、結局、沢山の怨みを買い、桜田門で殺害されてしまいます。
この暗殺について、映画では、何故、60人ものお供が居たのに、たった18人の刺客に暗殺されたのかということの理由も描かれていました。突然襲ってきた刺客に対して、刀にカバーをして縛っていたので、直ぐに刀を抜くことが出来なかったんです。大雪が降っていた為、江戸城に行くのに、衣類などが汚れてはいけないと言う事で、裃の上に合羽らしきものを着て、大切な刀は濡れないように、しっかりカバーをしてしまっていたんです。だから、突然の襲撃に対する事も出来ず、一瞬で殺られてしまった。可哀想ですけど、闘いですから、仕方がないんですけどね。
仕えていた人を殺されてしまった金吾は、直ぐに切腹をさせて欲しいと頼みますが、敵討ちをしなければ死ぬことは許さないと言われてしまい、仇となる人物を探し始めます。この時代でも、ちゃんと、誰が襲撃をしたということが解っていて、驚きました。逃げちゃったら、解らなそうだけど、ま、一種のテロだから、名前を名乗っていたのかも知れませんね。
金吾は、一人、仇を探して周る毎日なのですが、妻のセツは、ずーっとアルバイトをして、夫を支えているんです。すっごく大変じゃないですかぁ!ただ、町をほっつき歩いて、人探しやっている夫に、文句ひとつ言わずに、尽くしている姿は、もう、拍手ものでした。私は、無理だなぁ~。絶対、文句言ってしまう!
このセツさんは、夫が辛いのを良ーく解っているんです。死を選ぶ方がよっぽど楽なのに、それさえも許されず、生きながらに死んでいて、地獄を歩いているような、そんな状態の夫を、少しでも支えたいという、まるでお釈迦様のような人なんです。この時代は、そんな女性も居たんですね。今どき、そんな女性、何処を探しても居ませんよ。(笑)
仇を探して探して、仇を討つ前に相手が死んじゃったりして、どーしよーって焦っている間に、大政奉還があり、江戸城無血開城してしまい、時代は、変わって行ってしまう。まだまだ、仇討の気持ちでいた金吾だけ、取り残されて、周りは、洋装になり、武士など居なくなって行くんです。役人となった友人に頼って、仇討の一人をやっと見つけた時、仇討禁止令が発令し、一人、武士として生きる金吾は、どうするのか、それは、映画を観て下さいね。
この井伊直弼って、有名だけど、あまり良い人っていうイメージが無かったんですけど、確かに、この話を観ていると、その時は、恨まれるような事をしたけど、日本の為には仕方なかったんじゃないかという気がしました。こういう時代って、誰かが恨まれるほど強いリーダーシップを発揮しないと、前に進めないんだろうなぁ。

44歳で暗殺されちゃうなんて、本当に可哀想。映画では、ちょっと年齢が高めに設定してあったけど、44歳って言ったら、今の時代、まだまだって年齢だよね。リアル年齢でこの話をやったら、軽くなるだろうなぁ~。(笑)だって、大老とか言いながら、老人じゃないじゃん。TOKIOの城島くんと同じ年くらいでしょ。まだまだ、24時間TVでマラソン出来るんだもん。それは、老人って言ったら、怒られるよ。(笑)
なんか、面白く書いてしまいましたが、とってもしっとりした、良い映画です。日本の良き時代を描いていて、どんな時代になろうとも、日本人は、武士道精神を忘れず、清い心を良しとし、汚い心を軽蔑するべきなのだと、そんな気持ちになりました。美しい日本人を、この映画で観て下さいね。
私は、この映画、お勧めして良いと思いました。ちょっと若い方には、この”わび・さび”が解りにくいかも知れませんが、年齢の高い方には、感じられるのではないかな。でも、若い人も、こういうしっとりした時代劇に触れるのも、自分の国を知る為に、大切かも知れません。水戸黄門みたいな漫画のような時代劇より、本格的な時代劇って、美しいものですよ。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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