「私の、息子」を観てきました。
ストーリーは、
ルーマニアのブカレストに住むコルネリア(ルミニツァ・ゲオルジウ)は、30歳を過ぎてもしっかりしない息子バルブ(ボグダン・ドゥミトラケ)の世話を焼いている。ある日、バルブが交通事故を起こし、被害者である子供が亡くなってしまう。警察の上層部につてがあるコルネリアは考え付く限りの手段を駆使し息子を助けようとするが、バルブはそんな母親に対して怒りをあらわにする。
というお話です。
この映画の中に、モンスターペアレンツの一面を見られたと思います。もちろん、親からしたら、子供はかわいいし、何歳になっても、子供は子供。守ってやりたいと思うのは当たり前だと思います。でも、人間が社会の中で生きていることにおいて、やるべき事とやるべきではない事ってあると思うんです。いくら息子であっても、間違っていることは間違っていると教えるべきだし、自分で立ち向かわせる事を教えるのも、親の役目ではないかと思います。
コルネリアは、インテリアデザインなどの仕事で成功し、夫も、成功者であり、良く言うセレブです。そんな2人の息子バルブは、一応、仕事もし、結婚を考えている女性も居るのですが、どーも、ハッキリしない、一人立ち出来ていないように見えるんです。本人は、親と離れたいという気持ちは大きいんですけどね。
ある日、息子のバルブが、交通事故を起こし、子供が一人亡くなります。バルブのスピードの出し過ぎもありますが、子供が高速道路に飛び出したと言う事もあり、一方的に悪い訳では無いけれど、子供は亡くなってしまっています。警察の捜査が続く中、息子が事故を起こしたと知り、コルネリアは、直ぐに警察へ赴き、息子の罪が少しでも軽くなるように、自分の力が及ぶ人に連絡をして、力をかけ始めます。
息子のバルブは、ショックで気が動転していて、コルネリアの言うなりに付いて行くだけ。親と離れたいと言いながらも、自分では全く行動出来ず、被害者の親に謝罪に行こうと言われても、自分が行ける訳が無いと逃げるばかり。酷い息子でしょ。でも、母親が、息子に手を出し過ぎるとこうなってしまうんでしょうね。
確かに、私が母親だったら、息子が事故を起こして苦しんでいたら、救ってやりたいと思うし、付いていてやりたいと思うだろうけど、でも、自分の力を使って、事実を曲げたりするのはどうなんだろう。それは、自分の息子を甘やかすとかいうレベルを超えて、ただの隠ぺい、犯罪ですよね。いくらなんでも、それは常識を外れています。まぁ、良くある事なんでしょうけど・・・。
息子バルブは、そんな事をする母親に嫌気がさして、何度も離れようと試みるのですが、母親は息子に執拗に干渉し、事故の最後の最後まで、手を出そうとします。この母親と息子がどうなるのか、映画を観て、確認してください。あまり、スッキリする訳では無いのですが、最後に光が見えると思いますよ。
母親と息子という関係が、とても良く表現されていると思いました。母親と娘だと、これ程にはならないのではないかな。やっぱり、母親って、息子に対しては、どうしても、私の息子っていう感じになってしまうんでしょうね。”私の”じゃないんですけどね。たまたま、アナタが産んだだけで、一人の人間なんですよって言う事を母親に教えてあげないといけないんだけど、それは、難しいですよね。いつまでも、”私の”息子なんです。困ったもんだ。でも、気持ちが解るだけに、批判出来ません。(笑)
この映画、凄い事が起きる訳でも無く、淡々と、事故処理と母子の関係が描かれるだけなのですが、女性が観ると、解るなぁっていう部分が沢山あると思います。きっと、自分に息子が居たら、私もこうなっているだろうという場面が沢山あり、心にグイグイ押し付けてくるんです。ダメだと思いながらも、仕方ないという思いが湧き上がってきてしまい、どうしようもない気持ちになるんです。とても考えさせられてしまいました。

私は、この映画、とてもお勧めしたいと思います。単館系の映画なので、そういうのに慣れている人が良いかな。特に、女性にお勧めしたいかな。自分と子供の関係を、映画を観て、今一度、考えてみるのも面白いと思いますよ。男性は、自分と母親の関係を考えてみて欲しいかな。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・私の、息子@ぴあ映画生活