フランス映画祭2日目、映画祭での3作目は、「バベルの学校」です。
ドキュメンタリーなので、内容は、
アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国...。11歳から15歳の子どもたちが世界中からフランスのパリにある中学校にやって来た。24名の生徒、24の国籍、そして24のストーリー。家庭的な事情でやってきたもの、辛い母国の生活から逃れてきたもの、亡命を求めてやってきたもの、または単によりよい生活を求めて移民して来たものなど理由は様々。フランスに来たばかりの彼らが入ったのは適用クラス。このクラスでフランス語を学び、やがては通常のクラスに移っていく。国籍も宗教もフランスに来た理由も違う子どもたちのに、ブリジット・セルヴォニ先生は、驚くほどの辛抱強さで見守り、なだめ、そして導いていく。
というお話です。
このドキュメンタリー映画、素晴らしかったです。少し前に、「世界の果ての通学路」という映画が公開されて、そちらも、とても良い映画だったのですが、それと同等、私は、それ以上に、感動し、感情移入してしまいました。フランスの学校の、たった一つのクラスのお話なのに、その1クラスに、世界が詰まっているんです。国籍も違うし、宗教も違って、自分の国の紛争から逃れてきたり、移民だったり、亡命だったり、仕事を探しに来たり、自分の民族の習慣から逃げて来たり、本当に、様々なんです。
子供たちは、それぞれに夢があり、悩みがあり、未来を切り開いていこうという気持ちを持っていて、目がキラキラしているんです。もちろん、本人たちは、自分の家庭に色々な問題が山積みになっている事を知っていて、自分が夢を叶える事で、家族を助ける事が出来るのではないかと思っていたりするんです。とっても家族思いなんですよ。
驚くような事がたくさん詰まっていて、釘付けでした。ある女の子は、アフリカのどこかの国だったと思うのですが、女性器切除をされてしまう前に、フランスに呼び寄せられて、免れる事が出来たという話が出てきます。もし、勉強を諦めて、故郷に帰ったら、女性器を切除されてしまうという、なんとも生々しい恐ろしい話があり、「デザート・フラワー」という映画を思い出しました。現在でも、実際に行われているのだと言う事を実感しました。

ユダヤ人の男の子が、良心がネオナチに命を狙われて、仕方なく、フランスに逃れてきたという話もあり、え?ネオナチ?今もまだ、そんな危険な考え方があるんだと、またも驚きでした。ナチなんて、戦争時代の死語なのかと思っていたけど、まだ、この恐怖に苛まれている人がいるのだと知り、驚きでした。ファッションとして、ナチっぽい服装をする方もいらっしゃいますが、本当に、ネオナチというものに脅えて生きている人がいるなんて、日本に居たら、知りませんよね。

こういう話が、子供、一人一人にあり、親との関係も、親と離されて、子供だけでフランスに逃れてきている場合もあったり、10年も親と別れて暮らしていて、フランスでやっと親と一緒に暮らせるという子供も居たりして、こんな小さな頃から、沢山の苦しみを背負って生きている子供たちの姿を見て、自分たちのしあわせを有難いと思いました。
私など、両親に不自由なく育てて貰い、勉強もさせて貰って、ずーと同じ言葉で、同じ顔で、同じ宗教で、誰と戦う事も無く、食べるものもあり、衣服もあり、住む所もあり、友達と遊んでばかり。今の生活に不満ばかり言って、感謝することなど、ほとんど無い。この映画を観ると、そんな自分が恥ずかしく思えてきてしまいました。
でもね、どんなに辛い事があっても、学校では、勉強して、楽しく遊んで、友達と戯れて、本当に楽しそうです。宗教が違っても、それで、強く言い争う事は無いし(ちょっとあるみたいだったけど。)、人種差別も無く、誰もが、違うけど、一緒なんです。それは、先生の努力の賜物なんだろうなと思いました。先生は、誰に対しても平等で、公正で、生徒が先生に文句を言っても、言い負かす事は出来ないんです。何故なら、先生が、一番、正しい事を言っているのですから。そして、子供たちも、正しいことには反発出来ません。そういうところが、教育なんだろうなと思いました。
こんな素晴らしい先生が居たら、親が文句を言ってきても、一喝出来るんだろうな。だって、間違っていないですもん。
私は、この映画、超、超 お勧めしたいです。公開は、2014~2015年の年末年始になるようです。この映画、出来れば、親子で観て欲しいなぁ。学校とかでも、こういう映画、観せてくれないかな。日本の子供が、どれほど恵まれているのかという事を、知って欲しいです。同じ年代の子供たちが、こんなに様々な困難を抱えているのだと言う事を、知って欲しい。とても未来に向けての勉強になると思いますよ。
ぜひ、観てみて下さい。