【演劇】「蒼の乱」民の為に立ち上がった将門を愛してしまった女の歩いた道とは。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「蒼の乱」を観てきました。


ストーリーは、

朝廷では貴族たちが贅沢三昧にくらし、地方の民たちには税が重く課され貧しい暮らしを強いられていた。不満のたまる地方の民たちは小さな叛乱を起こしては貴族によって封じられていた。あるとき、左大臣の屋敷で国の行く末を占っていた渡来衆の一団が、国家大乱の卦を出したことを口実に武士たちに襲われ、窮地に追い込まれた。その時、坂東から京に出てきていた将門小次郎(松山ケンイチ)に救われる。小次郎と蒼真の二人はその運命に導かれ夫婦となり、小次郎の故郷・坂東の地を目指し都を後にする……。坂東に戻った小次郎と蒼真は、彼の叔父と国司らの蛮行を許せず、彼らを一気に蹴散らし、純友と常世王と共に反乱軍を組織し“将門新皇”として朝廷と戦うことになる。しかし、小次郎は、ある出来事をきっかけに行方をくらましてしまい、妻である蒼真が小次郎の意志を継ぐ者として、“将門御前”と名乗り、反乱軍を率いていくことになるが……。
というお話です。


蒼の乱

平将門をモデルに、彼を愛した女性を中心に描かれています。パワフルだけど、単純な男性を愛すると、女性は、結構、苦労するのよね。将門も、この舞台では、とってもパワフルで正義感溢れる男性だけど、結構、おバカなのよ。私なら、おまえ~、アホな事言ってんじゃないよっ!って叩いてると思うけどね。蒼真は、とっても優しい女性なんです。優しくて、強い女性なの。理想よね。こんな女性が居たら、どんな男性も、参っちゃうだろうな。素晴らしい女性でした。

蒼の乱

貴族と民の貧富の差が、激しく広がり、民は食べるものも無い状態に陥ったその時、貴族に反旗を翻したのが、将門と純友でした。将門は、貴族に余興の為に殺されそうになった占い師の蒼真と桔梗を助け、故郷の坂東に戻り、乱を起こします。


坂東の地には、朝廷から遣わされた国司と、その権威を借りて私腹を肥やす、将門の叔父の姿があったんです。甥の将門の領地まで奪い取った叔父に対し、将門は戦いを仕掛け、領地を取り戻し、貧困に喘いでいた民たちを助けます。そんな将門に手を貸したのが、”蝦夷”という一族の王”常世王”でした。常世王の手足である夜叉丸という腕の立つ男が加勢し、将門軍は、数は少ないが、朝廷を恐れさせるだけの力を持つこととなりました。


蒼の乱

そんな力を持った将門を支えながらも、自分が過去に都を亡ぼさせてしまった経験を元に、助言を与えて行く蒼真。しかし、力を持ってしまった将門を、簡単に止める事は出来ず、事態は、どんどん悪い方向へ拡大して行ってしまいます。沢山の闘いを経て、夫の将門は、とうとう、亡霊に悩まされ、正気を失って失踪してしまいます。窮地に陥った将門軍を建て直し、再度、闘いに駆り立てたのは、蒼真でした。蒼真は、闘いながら、将門が帰って来るのを待ち続けていました。

蒼の乱

この蒼真という女性は、渡来衆と言い、滅んだ国から流れ着いた民です。自分の国が滅びてしまい、居場所を求めて、この国へ渡ってきたんです。故郷を失った彼女が、新しく見つけた居場所は、またも、闘いの場であり、辛い日々でした。でも、深く愛する男を見つけたから、きっと、先に進む事が出来たんだと思います。

蒼真の愛し方は、本当に真っ直ぐで、もちろん、将門も、それに答えていて、まるで馬と騎手のように、走っている時は、人馬一体という感じなんです。でも、片方が弱ってくると、その分を片方が補おうとする為に、バランスがとても悪くなり、進めなくなるんですよね。バランスというのは、大切なんです。愛し合っていればこそ、どちらかが弱くなれば、それに寄り添って一緒に立ち上がって行くようにしなければね。

蒼の乱

蒼真の愛は深くて強くて、将門の為に全てを捧げて闘っていたんです。過去の哀しみを再度味わう事になろうとも、彼の為なら厭わないと思っていたんだと思います。それこそ、真実の愛ですよね。自己犠牲だと思いました。だからこそ、将門は蒼真の元に帰って来るのだろうと思うし、最後に繋がって行ったのだと思いました。もし、将門の最後に、こんな話があったのだとしたら、あの”将門の首塚”は、祟ることは無いだろうと思うんです。もしかしたら、祟っているのではなく、都市を護ってくれているのかも知れません。皆さんは、どちらだと思います?あれだけ坂東を愛した将門なら、護ってくれていると、私は思いたいけどな。

私は、将門に対して、良い印象を抱いているので、ここに描かれている将門は、とてもイメージに合っていました。こんな風に、陽気で真っ直ぐな人だったと思いたいな。よく描かれている、恐ろしい顔の武将じゃないよね、きっと。将門は、国を愛し、外から来る害虫を淘汰する為に、自分がどう思われようと、恐ろしい戦いを繰り広げたのだと思います。

蒼の乱

それにしても、このキャストと制作陣で頭を張れる女優は、天海さんしか居ないでしょうね。周りが素晴らしいのは当たり前ですが、天海さんの輝き具合と言ったら、もう、言葉で表せないほど素晴らしいものでした。カッコイイし、美しくて、女ながら、ドキドキときめいてしまいました。誰もが、彼女を使いたがる意味が解ります。凄いっす!!!!


私は、この舞台、とってもお勧めしたいです。理不尽な取立てに立ち向かう平民たちって、消費税を上げられてムカついている今の私たちに似ていて、それに反旗を翻してくれる将門は、まさにヒーローです。そこには、沢山の犠牲があるのですが、でも、立ち向かうという気持ちが大切なんですよね。いつも闘うという姿勢を持つことも、生きる中に必要な事だと思います。ぜひ、お時間があったら、観てみて下さい。当日券や立ち見券が、若干あるようなので、観れると思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ


P.S : 私も、そろそろ、将門の首塚にお参りに行ってこなくっちゃ。もう、10年くらい、あの場所には行っていないので、パワー切れのような気がしています。ここぞって言う時は、将門の首塚にお参りに行ってみると力が蘇りますよ。関東を統一したような方が、関東の人間を悪い方向に向かせる訳がありません。ここぞって言う時は、将門様に力をもらって、立ち上がり、進撃するべきです。頑張ってくださいね。


いのうえ歌舞伎「蒼の乱」 劇団新感線    http://www.aonoran.com/


蒼の乱 (K.Nakashima Selection)/論創社
¥1,944
Amazon.co.jp

平将門 (上巻) (新潮文庫)/新潮社
¥885
Amazon.co.jp

平将門 (下巻) (新潮文庫)/新潮社
¥926
Amazon.co.jp