「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」を観てきました。
ストーリーは、
吸血鬼でありながら、どんな弦楽器でも弾くことができるミュージシャンとして活動中のアダム(トム・ヒドルストン)。アンダーグラウンドな音楽シーンに身を置いて人間たちと共存しているが、何かと自己破壊的な言動を取る彼らに対して複雑な思いを抱いていた。そんな中、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼のイヴ(ティルダ・スウィントン)が、アダムが暮らすデトロイトへとやって来る。久々の再会を楽しもうとする二人だが、イヴの妹エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が現われる。
というお話です。
やっぱり、ヴァンパイアは、こうでなくちゃね。夜に動き回り、血を飲んで、色白で、ひ弱で、痩せてなくちゃね。健康的で、太ってるようなヴァンパイア、見たくないもん。まして、筋肉質なんて、あり得ません。このヴァンパイアは、王道で良いなぁ。理想の吸血鬼像です。内容としては、このヴァンパイア達の日常と、現代社会での生きにくさを描いていて、とっても理解しやすいんです。
何百年、何千年も生きている彼らが、何処から来て、何処へ行くのかは、全く問題視されてなくて、今、現代を、どう生きるかということを描いていて、その対処の仕方が、長い時間生きてきた彼らの経験の上に成り立っていて、色々、感心出来るんです。人間の血を吸ってしまうと、現代では殺人犯として追われてしまうことになるので、証拠はすべて消さなければならないとか、同じ場所に居られないとか、色々、ヴァンパイアも大変なようでした。
映像は、とても美しくて、ヴァンパイアの、ゆるく、薄暗い感がとっても良く描かれていたと思います。特に、映画の導入部分で、上から、寝ている彼らを見下ろして、ぐるぐる回るような映像が、ヴァンパイアの何度も繰り返す時間を表しているようで、ステキでした。時代は変わっても、同じ時間の繰り返しで、場所を移動しながら、その生を全うしていく。それが、いつまで続くかは解らない。でも、この映画では、ヴァンパイアでも、万能で、永遠の命を持っているという訳では無いということが解りました。何故かというのは、映画を観てくださいね。
ある歴史上の有名な人がヴァンパイアだったって事になっていて、面白いなぁと思いました。芸術は、結構、ヴァンパイアによって生み出されているのかも知れません。私たちが気が付かないだけで、もしかしたら、あの小説も、この小説も、同じヴァンパイアが書いていて、作家として世に出るのは、選ばれたゾンビ=人間なのかも知れない。何世紀も違う時代なのに、文体が似ているなって思う作家が居たら、もしかして・・・。なんて思ってしまうような内容もありました。面白いです。
イブの妹のエヴァが出てくるのですが、このエヴァが、とんでもないヴァンパイアで、自分勝手だし、どちらかと言うと、悪寄りなんです。だから、彼女が起こした罪を、姉のイブとイブの夫であるアダムで、何とか隠さなければならず、大変そうでした。ま、とかく、兄弟姉妹の下の子は、甘やかされているので、自分勝手であることが多いですもんね。困ったもんだ。
このエヴァの事件のせいで、デトロイトに居られなくなったアダムは、イヴと一緒に、移動することにします。同じ場所にいたら、自分が疑われるし、そうなると、身元を証明するのも大変なので。ヴァンパイアも苦労するなぁと思いました。ずっと、姿が変わらないというのも、不思議に思われるので問題ですよね。
内容的には、大したことは起きず、エヴァのことでゴタゴタはするけど、全体的には、ヴァンパイアのゆるい感じが満載です。ゆるいですが、一応、ヴァンパイアなので、本気を出すと、強いみたいでしたよ。すごいスピードで動けたりするようでした。ま、一瞬しか、そんな事、しませんけどね。目立つことしちゃったら追われることになるから、出来るだけ、目立たず、静かに、ゆっくりと生活するというのが基本ですね。
私は、この映画、お勧めしたいと思います。ヴァンパイアの王道というべきものを見せてもらえて、とても満足でした。映像は美しいし、話的にも、結構楽しめるのではないかと思います。二人の姿は、とても美しいですよぉ。この二人のヴァンパイアを見ているだけでも満足出来ると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。