「フィルス」彼の姿はもう一人の自分の姿かもしれず、心に杭を打たれたような気持ちに・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「フィルス」を観てきました。


ストーリーは、

スコットランド警察の刑事、ブルース・ロバートソン(ジェームズ・マカヴォイ)。優秀な頭脳を誇り、活力あふれる彼だったが、その裏ではアルコールとドラッグの依存症に陥り、売春や不倫に手を出し、残業の不正申告を欠かさないという、刑事の風上にも置けない人物だった。そんな中、日本人の留学生が殺されるという事件が発生。目撃者ゼロという、この難事件を解決すれば出世コースに乗れると張り切るブルースだが、捜査を進めれば進めるほど自身の問題アリな過去も噴出するようになり、精神的に追い詰められていく。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-フィルス

この映画、良かったなぁ~!!私、ラストを観た後、ちょっと茫然としてしまいました。私のタイプにピッタリの映画です。人間の心の奥を、目いっぱいえぐって描いているので、きっと、誰もが自分の心の奥底を覗いてみると、主人公のブルースに似た自分が居る事に気が付くと思います。いやぁ、私、また観に行きたいなぁと思っています。


これ、ネタバレしないで感想を伝えるのが、とっても難しいんですけど、ちょっとがんばってみますね。

ブルースという刑事は、結構、頭も良くて、ちょっと周りの人間を見下しているような感じなんです。で、警部補に昇進出来るかもしれないチャンスがあり、なんとか周りの人間を出し抜いて、自分が昇進したいと思い、色々な作を練る事になります。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-フィルス

これだけ書くと、普通の警察ドラマのように思えますが、このブルース、警官でありながら、警官にあるまじき行為が大好きな、禿ダコ野郎です。ドラッグもアルコールも大好き、女も大好きで手当り次第に女に手を(アソコを?)出し、ヤリまくるんですよぉ。ちょっとぉ、アンタ、奥さんも子供も居るんでしょ~って思うんだけど、家の外では、そんな事お構いなしなんです。いやぁ、こんな奴が夫だったら、直ぐに離婚じゃ~!って思うんだけど、家庭は円満で、子供も可愛いらしいんですよ。どんだけ、スーパーマンなんじゃと思うんだけど、段々と、ブルースの本当の顔が見えてきます。

人って、どうしても見栄を張ってしまうし、強く見せてしまいますよね。自分の弱いところを隠し、弱味を隠し、自分を可愛がってしまう。それは、自分を守る為なんだから、仕方ないんです。でも、自分を甘やかしていることを認めたくない。自分は、誰よりも動いているし、頭が良いし、強いし、だから、優遇されるのは当たり前だし、悪い事をしても許されるし、誰よりも得をして良いんだって思ってしまう。もちろん、そのままで突き通して行ければ良いけど、普通、相手も居る事だし、自分ひとりで生きている訳では無いので、悪い事をしたら捕まるし、人も離れて行きますよね。それが現実です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-フィルス

このブルースって人は、現実に生きているんだけど、現実から逃避してしまっていて、刑事の仕事をしているんだけど、なんだか、妄想が見えたり、危ない状態なんですね。必至で自分を確認しながら、現実に引き戻そうとするんだけど、昇進の為に人を蹴落とさなきゃイケないし、事件を解決しろと命令されるし、ある秘密結社(イルミナティ)に属しているんだけど、その中での地位も確立しておかなければならないしで、超忙しいし、訳解らなくなるし、どんどん追い詰められていきます。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-フィルス

あ、でも、追い詰められていくんですけど、コメディタッチで、笑えるんですよ。キツイ内容でも、おお~いって笑えるようになっているので、ハッキリ言って、私は、楽しんでしまいました。人間の奥深くにキツいところを突いているんだけど、でも、笑えてしまうんです。そして、最後は、泣き笑いに突き進んでいきます。


本当に、まるで、一歩間違っていれば、自分だって、ブルースのようになっていたかも知れないと思えて、面白いし怖いし、でした。だって、誰でも出世欲はあるだろうし、その為に人を蹴落とすでしょ。自分の辛い部分は隠して、楽しそうな姿で仕事場に行くでしょ。それって、自分にも当てはまるんですよ。もちろん、ブルースのように、フィルス=クズのような事はしないけど、でも、誰でも、人前の姿と、本当の姿は違うでしょ。それが、とっても生々しく描かれていて、楽しい反面、辛い内容でした。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-フィルス

こんな風に、外面と内面のギャップが大きくなりすぎてしまうと、ブルースのように壊れて行ってしまうということなんだと思うんです。だから、普段から、自分はそんなに強くないっていう部分を周りに見せてしまっても良いんじゃないの?そんなに強い人って、尊敬されないよ。弱い部分もあり、強い部分もあり、どちらも人に見せれる強い精神を作る事が、一番、成長出来た人間だと思うし、尊敬される人間になって行くと思います。

ブルースだって、映画の中で、いくらでも、そこで一言打ち明けていれば、良い方向に向かえたかも知れないっていう場面があるんです。そこで弱味を見せていれば、助けて貰えたかも知れないし、心が楽になっていたかも知れないんです。それでも、それが出来ないというのが、とっても可愛そうで、辛くて、誰かが、彼のそんな子供のような精神を解って、助けてあげられないのかと思いました。最後に彼がたどり着く場所を、観てきてくださいね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-フィルス

私は、この映画、超超お勧めしたい作品です。私、これ、大好きです。下ネタバリバリなので、下ネタの隠語が解らないと笑えない部分もありますが、もし、解れば、これほど面白い言葉遊びを使っている映画はありません。こんなに笑いながら、その苦しみや悲しみを描いているというのが、何とも、好きでした。こういう映画が好きな方は、ぜひ、観てみて下さい。感動だと思います。

ぜひ、楽しんできてくださいね。





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