TIFFワールドフォーカス「魂を治す男」を観ました。TIFF12作目です。
ストーリーは、
死んだ母親の特殊な能力を受け継いでいると言われるフレディ。しかしトレーラー暮らしで人生に対する不安と虚無感を抱えたフレディはそれどころではない。ある事故をきっかけに、人を治す事は大切な事だと感じたフレディは、事あるごとに、ヒーラーの力を使って人の痛みを治し始める。しかし、心を病んでしまった女性の心を治すことは、ヒーラーの力では出来ない事を知り、人間として、彼女の苦しみを癒したいと思うようになる。
というお話です。
母親から引き継いだヒーラーの力に自信が持てず、まして、その力を不安に思っているフレディ。自分に人なんて治せるのかと思い、拒否をしているのですが、ある事故が起きて、少年に重症な怪我を負わせてしまうんです。フレディが全面的に悪い訳では無いのですが、その少年の姿を見て、やっぱり、自分の持つ力を使って、人を治すことが必要なのだということに気が付き、ヒーラーの力を使い始めます。

ある日、仕事のプール掃除をしていると、その施設のマッサージ室で騒ぎが起き、内臓から出血しているらしい男性が苦しんでいるのを見て、直ぐに手を当てて、治し始めます。次第に出血は止まり、救急車が来るまでの時間、助ける事が出来ました。それが評判になり、彼のところに、次々と救いを求めてくる人が集まってきます。
来る人は、藁にも縋る思いで来るのですが、必ず治る訳では無いし、もちろん、直ぐに全快するなどあり得ないので、フレディに罵声を浴びせて帰って行く患者もいます。そんな時でもフレディは何も言い返さず、自分の伝えるべきこと以外は話しません。だから、フレディの方にも、たくさんのストレスが溜まって行き、子供の頃に起きていた発作が、また起きるような状態になって行きます。
そんな時、バーで出会った女性に興味を持ち、交流を深めて行きます。彼女は、亡き夫が忘れられず、酒に溺れる毎日。フレディは、そんな彼女を癒すことが出来ないかと頑張るのですが、病気の治療は出来ても、心の治療は出来ない事に気が付きます。
みんなに、神のような力と言われても、本人は全く楽にはならないし、人の心を治す事は出来ないんです。心を癒すには、時間と愛を与えることなんだなぁと考えさせられました。簡単に、手を当てるだけでは、全く治らないんですよね。心は、どんな病気よりも難しいんです。
誰もが、それぞれ、色々な力を持っていますよね。でも、それが、何の役に立つのか、普通の人間は解らないまま、死を迎えてしまいます。でも、このフレディは、自分の力に気が付き、人を癒す事を始めました。自分の力に気が付くというのは、とても運が良いと思うんです。そんな運の良い彼は、これから、きっと良い人生を送る事が出来ると思います。もちろん、辛い事もあるでしょうけど、でも、自分の生きる意味を理解出来た事は、とても彼にとって、良かったと思いました。未来は、きっと、彼の微笑むのではないかなと思える最後でした。
私は、この作品、まぁ、好きな方です。話が、淡々としていて、読み取るのにちょっと疲れるので、単館系の映画が好きな人には、受け容れられるかなぁと思います。これ、日本公開は、ちょっと難しいかな。でも、良い映画なんですけどね。もし、観る機会があったら、ぜひ、観てみてくださいね。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/lineup/works.php?id=W0009