「ムード・インディゴ~うたかたの日々~」人生をどう歩くのかは本人次第。霞を食べては生きられない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ムード・インディゴ~うたかたの日々~」の試写会に行ってきました。


ストーリーは、

仕事をしなくても生活できる財産があり気ままに生きていたコラン(ロマン・デュリス)は、純粋なクロエ(オドレイ・トトゥ)と付き合うことに。その後、友人たちに見守られながら結婚した二人は幸福に満ちあふれた生活を送っていたが、ある日クロエが肺にスイレンが咲くという奇病に侵されてしまう。ばく大な治療費を稼ぐために仕事をし始めたコランの人生は徐々に狂い出し、クロエも日増しに弱っていき……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

ミシェル・ゴンドリー監督らしい、不思議な映画に作られていました。でも、原作自体が、不思議な話のようです。私は、原作を読んでいませんが、恥ずかしながら、とても有名な作家ボリス・ヴィアンの作品だそうで、まるで、日本の不思議なアニメのようなお話だなって思いました。何故、ここで日本のアニメかと言うと、舞台設定自体がとても不思議なのですが、しっかり世界観を作ってあるので、作品にのめり込んでしまうと、その不思議な話が、不思議で無くなるんです。ほらほら、日本のアニメって、いきなり”イカ娘”とかが出てきて家に住んでいても、違和感無く、話が進んでいくでしょ。そんな感じなんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

財産持ちのコランは、好き勝手に何もせずに生きていたんですけど、クロエと出会って、恋に落ちた事から、人生が変わって行きます。ま、クロエと出会わなくても、何か起きたら、財産だけで暮らしているんだから、あっと言う間に没落すると思うけどね。このコランの根本的にダメなところは、自分で稼いだお金が溜まったから、後は仕事もせずに遊んで暮らすという生活ではなく、人が残してくれた金で生きて行こうと思っているところ。私が友達なら、”てめぇ~、人生舐めてんじゃないよっ!”って言っていると思うけど、コランの友達は、自分の好きな事のみを追う人で、この友達も人生を踏み外してるんですよね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

話としては、人生良いことばかりじゃなくて、良い事が1つあると、悪い事が2つ出てくるという、人生倍返しの法則を実践している内容ですね。悪い事がたくさん来ないように、みんな苦労して働いたりしてるんじゃん。しあわせな事だけ楽しんでられるなんて思ったら大間違いよ。でも、しあわせな二人の姿は、本当にうらやましかったです。こんなしあわせな時間を持てたら、倍の不幸が襲ってきても、耐えていけるかもしれない。

2人のしあわせな時間を、美しくて不思議な映像と、ステキな音楽で描いているのですが、これがミシェル・ゴンドリーの作品だぞって言うような、これでもかっていう感じが出ていて、私、大好きでした。この不思議な感覚は、なんて言うのかな、まるで自分がクリオネになったような気分になる感じかな。水の中を、ゆっくり羽ばたきながら移動して行く感じなんです。その感覚が、とっても良いんですよねぇ~。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

そんなふわふわした感じから、どんどん不幸に落ちて行く2人の世界は、どんどんモノクロになり、視野が狭くなり、窮屈で息苦しい感じに変わって行きます。それは、クロエの肺に寄生したハスの花が、彼女の肺の機能を止めて行くように、こちらの視覚の気持ちよさを止めて行きます。

最初は、まるで、子供の頃に読んだ夢の絵本のようなのに、王子様とお姫様の生末は、暗い現実の世界を裸足で歩かされるような人生に変わります。それは、まるで、現実を直視しろと言われているようで、帰ってきてから、仕事頑張りますって思ってしまうような感じでした。働かざる者食うべからずですよね。(笑)


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

内容は、さて置き、映像がとっても素晴らしいです。毎回、ステキ~って思うんだけど、ミシェル監督の感覚って、日本のアニメで育ってきた私たちには、ピッタリだと思うのよね。この監督が、”あの花~”とかを実写化したら、本当に、ステキになるだろうなぁ。萩尾望都先生の漫画も、ミシェル監督なら、素晴らしい映画化が出来ると思うのに、そんな事、あり得ないんだろうな。でも、この感覚は、とても近いと思うんです。

話戻して、この映画は、とてもしあわせな時間を描いては居ますが、人間が生きるという事は、どれほど辛くて、大変なのかということを、深くえぐって描いています。だから、ハッピーエンドで、スッキリするということはありません。苦しいけど、人間とはこういうものなんです。そう、アリとキリギリスのキリギリスのお話と言えば解りやすいかも知れません。但し、アリさんが助けてくれることはありません。そんな辛辣な話を、美しい映像と音楽で表現して行きます。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

原作自体が、こういう夢のような、ふんわりした話のようで、それを忠実に映像にすると、こんな感じになるそうです。但し、主人公たちのイメージは、金髪の天使のような美男美女という設定だそうですが。(笑)映画化は2度目なのかな?前作も、ステキな映画だそうです。


試写を観た後、ジャズミュージシャンであり沢山の肩書を持つ菊地成孔さんがいらして、映画に使われている音楽や、原作小説についてお話をしてくださいました。。映像や音楽の事を、解りやすく説明してくださると、映画の場面場面が思い出されて、再度、映画を見返しているような気持ちになり、とてもためになりました。菊地さんのお話があったからこそ音楽の重要さも理解出来ました。音楽、良いですよぉ。ジャズ好きな方には、たまらないそうです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-インディゴ

私、この映画、とてもお勧めしたい映画だと思いますが、全く受け入れられない人もいらっしゃると思います。この映画は、好き嫌いが分かれるでしょうね。漫画とかアニメが好きでない方は、この映画を受け入れるのは難しいと思います。何故なら、話の展開が、本当に漫画やアニメ的なんです。現実とは違うということが普通となっているので、それを、変だと思ってしまう方は、理解は難しいと思います。それを解って、自分に合うか合わないか、判断してください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ



P.S :  9月24日に東大本郷キャンバスでこの映画の原作者ボリス・ヴィアンの時代の詳しいお話を、原作の翻訳者であり東大の准教授の野崎先生と菊地さんがお話してくださるそうです。もし、お時間があるようなら、行ってみると、面白いと思いますよ。事前に、光文社古典新訳文庫のウェブサイトで予約の必要があるそうです。私も、仕事がサボれたら行きたいな。




ムード・インディゴ~うたかたの日々~@ぴあ映画生活




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