「トゥ・ザ・ワンダー」 テレンス・マリック監督の新作は、神の目線からの人間の罪。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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今日は、「トゥ・ザ・ワンダー」の試写会に行ってきました。


ストーリーは、

エンジニアのニール(ベン・アフレック)は旅行で訪れたフランスのモン・サン・ミッシェルで、シングルマザーのマリーナ(オルガ・キュリレンコ)と出会い付き合うことになる。アメリカで一緒に暮らし始めた二人だったが、やがて心が離れていくように。そんなある日、ニールは学生時代の友人ジェーン(レイチェル・マクアダムス)と久しぶりに会い、やがて彼女に心の安息を感じるようになり……。

というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ワンダー

ストーリーを書きましたが、このストーリー通りには進まないので、あまり充てにしないで下さいね。最初に断わっておきますが、テレンス・マリックの作品なので、とても宗教色が強く、イメージフィルムっぽい様相を表しているので、普通の映画と思って観に行ってしまうと、あれ???という事になります。気を付けてくださいね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ワンダー

大まかに言うと、主演のベン・アフレックとオルガ・キュレリンコの恋愛が始まってから壊れるまでのお話なのですが、この二人を遠くから見守る神父役をバビエル・バルデムが演じています。この神父がキーになるのですが、彼は神に仕える者であり、神をいつもそばに感じていたいと、善行を積んでいます。だけど、人間は、必ずと言って良いほど、罪を重ねてしまいます。神がそばに付いていてくれるはずなのに、何故、人間は、これほど罪深いのか、と、いつも悩んでいるのです。


そんな神父の教会に通っていたニール(ベン)とマリーナ(オルガ)が、深い愛で結ばれて、結婚に至ったということを喜びながらも、その愛が壊れて行くのを見て、二人の罪をも一緒に嘆きます。あれ程に愛し合っていた二人でも、その愛が錆びれて、お互いを傷つけあってしまう姿は、現実に良くある姿ですよね。でも、神が結び付けた二人なのだから、宗教上から行くと、別れるはずが無いんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ワンダー

カトリックは、確か、離婚は表立って許されていなかったと思うのですが、この映画の中でも、マリーナは最初の離婚を教会での手続きをしていないので、まだ前の夫と結婚したままとなっているというくだりがあるんです。まして、夫以外の人と関係を持つなどなど、不貞を働くなど、カトリックではもっての外だと思うのですが、色々、あるんですよ、これが。


そんな、神を冒涜するような人間ばかりであり、神は、本当に人間のそばにいてくれるのだろうかと、神父は、いつもいつも、神に語り掛けながら、善行を積んでいきます。その姿は、まるで長い長い旅の途中の旅人のようであり、人生は旅であり、人間は神を探して歩く旅人であると語っているようでした。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ワンダー

神を求めて旅をする神父と、神を崇めながらも、神の教えに対して、反したことばかりをしてしまう人間は、神に祝福されているのだろうか。この悲しい人生は、神のバツなのではないのかと思う部分もあるのですが、美しい自然の素晴らしさがたくさん映像の中に収められていて、どんなに神を冒涜するような事をしている人間も、神の子であり、神に愛されているのだということを感じるようになります。

「ツリー・オブ・ライフ」の時もそうでしたが、キリスト教がどーのこーのというよりも、神は人間に寄り添っていて、愛おしいと思ってくれているからこそ、私たちの周りには、素晴らしい自然があり、どれほど人間が愚行を重ねようとも、親である神は、子供を上から見守っていてくれるのだという、大きな愛を描いているのだと思います。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ワンダー

今回は、カトリック教会と神父が出てきますが、だからと言って、偏っている訳ではなく、美しい自然は、仏教にもイスラム教にも、プロテスタント教会にも、なんにでも通じる物として描かれていると思います。

この映画は、宗教的な事を理解している方が、受け入れやすいと思います。普通の恋愛映画と思って観てしまうと、全く解らずに、ボーっとして終わってしまうと思いますので、気を付けて行ってください。間違っても、何を描いているのか解らないからと言って、酷い映画だと評価してしまわない方が良いですよ。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ワンダー

私は、映像が素晴らしいし、大きな愛を描いているので、お勧めしたいと思いますが、観る人を選ぶと思います。宗教的な考え方を勉強してから行くのでしたら、良いと思いますが、難しい事がイヤな方は、ちょっと辞めた方が良いかと思われます。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





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