「ペタルダンス」 小さな出来事が大きな負担となり、死を選んでしまう事ってあると思う。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ペタルダンス」を観てきました。


ストーリーは、

大学からの友人である、ジンコ(宮崎あおい)と素子(安藤サクラ)。ある日、同じく大学時代の友人で、一人だけ地元で暮らしているミキ(吹石一恵)の妙なうわさを耳にする。それは、彼女が自分から海に飛び込んでおぼれたものの、助かったというものだった。ジンコたちは休みを合わせ、うわさの真相とミキの様子を確かめようと、彼女のいる町へと向かうことにする。ジンコが勤め先の図書館で出会った原木(忽那汐里)も運転手として加わり、一泊二日のスケジュールで車で旅をする三人だったが……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ペタルダンス

何がどうなるっていうお話ではなくて、どっちかと言うと環境映画のように、普段の女性を描いているんです。音楽も無くて、その場その場で流れているその環境の音があるだけで、淡々と描かれていて、ハッキリ言って、あまりに普通の音なので、眠くなりました。でも、映画は、とっても雰囲気が良いんですよ。

大学時代の友達が自殺未遂をしたらしいと聞き、二人の同級生が会いに行くんです。自殺の原因もなにも、ハッキリしないんだけど、でもとにかく、会いに行ってみようとするんです。これって、すごく大切なことだよね。


自殺って、マジな話、フッとしてしまうことってあると思うんですよね。もちろん、すごく苦しんで苦しんで自殺を選ぶ人もいるのだと思うけど、ああー、苦しいな~って思って、フッと飛んでしまうとか、解かるんです。私もそれなりに、色々生きてきているので、そんな気持ちの時もあったりして、なんか、この彼女たちの、曇天の気持ちって、すごく解かるんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ペタルダンス

もちろん、映画では、1人だけ自殺をしたんだけど、ここに出てくる彼女たちは、同じようなスッキリしない気持ちを抱えていて、不安で、誰が一歩踏み出してもおかしくないと思うんですよね。何が原因というのではなく、生きて行くことへの不安が、その一歩を出させてしまう。


不安を抱いて生きている女の子って、たくさん居るんだよね。メルアドや電話を知っている友達はいても、本当の悩みを打ち明けられる友達を持っていないし、もし居たとしても、悩みを話してみても、相手は全く真剣に聞いていないなんてことばかりでしょ。まして、何を話して良いのかも、自分自身が良く解からない。不安の原因なんて、自分でも解かっていないんです。だから、どうして良いのか解からずに、どんどん自分に引き篭もってしまって、マイナスの方向に動いていってしまう。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ペタルダンス

そんな弱っている時に、全然会っていなかった同級生が会いに来てくれたって、すごく嬉しいと思う。どうしようって、悩んでしまった時に、そんなに親しいと思っていなかった友達が、ひょっこり、会いに来てくれて、”どうした、大丈夫?”って一言言ってくれるだけでも、なんか、心に引っ掛かっていた何かが落ちていくんです。自分を気にしてくれている人が居るって解かっただけで、ちょっとホッとするんですよね。

この映画では、ほとんどセリフも無く、多くの演技をしている訳でもないと思うんだけど、彼女たちの空気をフィルムに納めているんです。そこに立ったり、歩いたりしているだけで、不安な気持ちや、心がやわらかくなっていく様子などなど、心の動きを的確に表現しているんです。なんてことない、淡々とした映画なのに、気持ちが映画に描かれていて、じんわりと伝わってくるんですよ。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ペタルダンス

女性だけではなく、男性だって、同じように不安ってあるでしょ。人間なら当たり前だよね。思うように行かないことが沢山あるし、努力しても報われないことなんて山ほどあるし、ズルイを事している奴ばかりが得しているし、なんて世界って不条理なんだろうって思うけど、そんな世界でも、きっと、自分が倒れそうになった時に支えてくれる人が居るから大丈夫。ヒーローじゃないけど、きっと助けてくれる人が来てくれると思う。そんなかすかな希望で、人って生きていけるんだよね。


私も、先日、久しぶりに大学の友達たちと飲み会をやったんだけど、やっぱり安心しました。別に、何が変わっているわけでもなく、普段の生活の話をしているだけなんだけど、あー、みんな生きてたって言うか、色々な問題を抱えているんだろうけど、でも、必死で生きているよなっていうのが解るし、何か在ったら、きっと会いに来てくれそうだもん。友達って、そういうもんでしょ。何を求めるわけでも無いけど、でも、崖っぷちに立った時、遠くからでも”どうしたの?”って声をかけてくれそうなの。それが、心の支えになる。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ペタルダンス

もし、一歩踏み出したくなっちゃったら、今一度、周りを見回してみてください。あなたを見つめている人が居るかも知れないよ。あなたは、本当は、とても幸せな人なのかも知れません。そんな事を感じられた映画でした。

私は、とてもお薦めしたい映画だけど、あまりにも気持ちよくて眠くなるかも知れません。この映画、途中でウトウトしちゃってもいいんじゃないかな。それくらい、柔らかい映画なので、楽に観に行ってくださいね。

ぜひ、楽しんできて下さいね。





ペタル ダンス@ぴあ映画生活