「チャイルドコール 呼声」を観てきました。2月頃に開催された北欧映画祭で上映された作品で、やっと公開になりました。北欧映画祭に行きたかったのですが、私のスキー旅行と重なっていて行けなかったんですよぉ。公開してくれて良かった。
ストーリーは、
夫の暴力が原因で、郊外に居住することになったアナ(ノオミ・ラパス)と8歳の息子のアンデシュ(ヴェトレ・オーヴェンニル・ヴァリング)。息子の安全のためアナは電器店で監視用音声モニターを買う。ある晩、モニターの混線により子どもの悲鳴を聞いたアナは、ほかの部屋で子どもが暴行を受けているのではないかと考え始める。
というお話です。
サイコスリラーと言ってイイのかな。この映画、とっても良く出来ていました。北欧の映画って、あまり日本で公開されないから、こういうスリラー系ってどうなのかなって思っていたら、いやいや、他の国の作品より、深くて暗くて、恐ろしい感じで、本当に楽しめました。
アナは、DV夫から逃れて、田舎町にひっそり移り住み、息子と静かに暮らすことを望んでいます。でも、DV夫の影にいつも怯え、誰もが自分と息子を引き離そうとしているという強迫観念に駆られていて、精神的に安定しません。いつも自分の手の届くところに息子を置いておかないと心配になってしまい、寝る時も、同じベッドで寝かしていました。
でも、息子も大きくなってきたし、そろそろ別々に寝る様にしなければと思い、息子に子供部屋を与え、ベッドの横に、チャイルドコールを置くことにします。無線機ですね。それでいつでも息子の様子が分かると安心していたのですが、ある日、子供の悲鳴がチャイルドコールから聞えてくるんです。
息子の部屋を覗いても、何の問題も無く寝ているし、一体どうして?と思い、電気屋さんで変な声が聞こえると訴えると、無線が混線しているのではと言われ、同じマンションで虐待が行なわれているのではと思い、調べ始めます。そして・・・。
なんか、この話、予想が付かない展開をするんです。オカルトかと思いきや、ちょっと違うし、サスペンスかと思いきや、誰かが罠を仕掛けているというのとも違うような気がするし、この展開は、おおっと思うと思います。途中で、あれ?もしかして、とは思うけど、でも、じゃ、もう一人は?みたいな感じで、謎が謎を呼び、誰が現実を歩いているのかというのが、解からなくなって来るんです。
ええ~、何が本当で何が嘘なの?とこんがらがってきそうなんだけど、そこは、ベースがしっかりと作ってあるので、最後は、納得の出来る解決に導かれます。これだけの内容を展開しておいて、しっかり結末をつけてくれるので、本当に楽しめるんです。ストーリーが、よく練ってあるよなぁと思いました。
あまり派手に宣伝していないし、単館でしかやっていないので、本当に残念だと思うのですが、アホなハリウッド映画のサイコスリラーを観るより、よっぽど良く出来ていますよ。観る価値があると思います。スリラーとは言っても、惨酷なシーンも無いので、本当に、観ている方も精神的に追い詰められていくような感覚を味わえて、これこそサイコスリラーというのを体験出来ます。
この映画、私は、とってもお薦めしたいんですけど、単館でしかやってない~!!他の劇場でもやって欲しい~!!映画好きな方に、北欧の面白い映画を、ぜひ観て欲しいです。私は、この映画、傑作だと思うなぁ。恐くて悲しいけど、母の愛は揺るがないということが、良く現れていて、そこも感動出来ると思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・チャイルドコール 呼声@ぴあ映画生活