「もうひとりのシェイクスピア」 直筆の原稿が無いということは、もしかしてという事も・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「もうひとりのシェイクスピア」を観てきました。


ストーリーは、

16世紀のイングランド。エリザベス一世統治下のロンドン。宰相として権力を振るい、王位継承者にスコットランド王ジェームスを据えようと企むウィリアム・セシル卿は芝居を忌み嫌い、それが民衆にもたらす力を恐れて弾圧する。それを目の当たりにしたオックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアは、セシルの陰謀に反抗するように、自作の戯曲を劇作家のジョンソンに託し匿名で上演させる。芝居は喝采で民衆に迎えられるが…。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-シェイクスピア

作り方が、とってもオシャレと言うか、上手いなぁと思いました。最初、劇場の舞台に、ある役者が走って入ってきます。舞台の開幕ギリギリに間に合ったという感じ。そして、シェイクスピアの成り立ちについて、話し始めます。シェイクスピアは素晴らしい戯曲をたくさん書いてはいるが、直筆のものは一つも無く、彼の家族は、まったく字が書けなかったというのです。あれほどの話を書いたのに、おかしいと思いませんか?そして、大胆な仮説を立ててみました、という言葉から、映画の内容に入っていきます。


私、ローランド監督の作品の中では、これが一番好きだなって思いました。シェイクスピアと言いながら、シェイクスピア本人を描くのではなく、シェイクスピアを作り上げた人々を細かく描いていくのです。運命に弄ばれて、悲劇的な結末に向かってひた走るエドワードを中心に、彼が愛するエリザベス女王とその取り巻き、その時代の民衆の生活などを、美しく描いています。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-シェイクスピア

若く美しいエドワードは、武道にも学問にも秀でていて、エリザベス女王に気に入られています。そんな彼は、両親を無くし、セシル卿の家に引き取られる事に。セシル卿がエドワードの後継者となったのは、彼の家の財産を思い通りにするためだとエドワードは考えていました。そしてエドワードは、セシルの娘と無理やり政略結婚させられることになります。なぜ、セシル卿がエドワードにこだわるかは、最後に解りますが、そこにもすごい謎が隠されています。

セシル卿は、演劇や文学などを無駄なものと思い、エドワードにも芸術ではなく、政治をするように強要しますが、エドワードは、隠れて戯曲を書き続け、政治には興味を示しません。そんな中、エリザベス女王の後継者問題が浮上し、エドワードも巻き込まれることに。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-シェイクスピア

驚いたのは、エリザベス女王には、隠し子が何人か居て、でも、隠し子だから後継者としての権利を与える訳に行かないということでした。大奥だったら、隠し子でもなんでも、血筋を繫ぐ為に、全部認知していたのだろうけど、日本とはちょっと違うんですね。公になっている後継者に継がせることとなっているようでした。生きている内に、自分の隠し子でもなんでも、認知して、後継者として指名してしまえば良いのに、不思議ですよね。母親としての愛情とかって、あまり無いのかしら。


この後継者問題に巻き込まれたエドワードは、友人の為に、エリザベスの気持ちを変えるために、自分の書いた戯曲を、庶民の芝居小屋に居る脚本家に渡して、その脚本家の戯曲として発表するようにと指示します。脚本家は、納得出来ずに、愚図っていると、舞台に立っている役者のシェークスピアが、代わりに名前を出してしまいます。とってもお調子者のシェークスピア。もし、本当にシェークスピアがこんな人間だったなら、腹が立ちますね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-シェイクスピア

自分の作品として戯曲を発表したシェークスピアは、どんどん欲を出し、お金をエドワードにせびるようになります。最低の人間ですよね。でも、エドワードは、どうしても民衆を動かす為に、自分の書いた戯曲を発表せざるを得ません。そして、事態は、どんどん悪い方向に・・・。

いやぁ、衝撃の結末に、驚きました。そういう繋がりなのかって思って、あまりの神の悪戯に、悲劇を通り越して、酷すぎると思いました。ここまでやられたら、エドワードも壊れてしまうでしょう。それでも最後まで戯曲を書き続けたエドワード。そして、それを守った舞台脚本家のジョンソン。それを悪用したシェイクスピア。得をしたのはシェイクスピアで、人間の真理を追究したエドワードとジョンソン。

今までの話とは違う、シェイクスピア像を見せてもらえて、とっても楽しめました。確かに、もしかしてこんな話もあったかも知れないと思うと、本当にミステリーに満ちていて、面白い時代だなって思いました。まったくのフィクションなんですけど、本当に楽しめる作品でした。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-シェイクスピア

私は、この映画、映画好きな方や、小説をよく読む方には、超お薦めしたい作品だなって思います。娯楽映画だけを楽しむ方には、どうかな~って思いますけど、映画や文学を深く考える方には、とっても面白いミステリーだと思います。ぜひ、観てきて下さいね。カメ




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