【東京フィルメックス】「エピローグ」 老人がお荷物だという政府は、滅びの道を歩むのみ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京フィルメックスで、「エピローグ」を観ました。イスラエルの現代を描いています。


ストーリーは、

テルアビブを舞台に老夫婦の1日を描く作品である。映画は早朝の風景から始まる。かつては労働運動のリーダーだったベレルとその妻ハユタはみすぼらしいアパートで暮らしている。二人は決して恵まれた老後を送っているとは言えない。ハユタは糖尿病を患っているが、その薬代を払うことすら彼らにとっては容易ではない。突然訪ねてきたソーシャル・ワーカーも、彼らに敬意を払っているようには見えない。二人にはニューヨークで暮らす子供がいるが、それも時おり電話で話すだけの関係になっている。ベレルはある夢を持っていたが、それももはや実現する可能性もない。やがて二人は最後の旅に向かうためにアパートを出てゆく...。
というお話です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エピローグ

これも衝撃作でした。イスラエルのお話なんですが、日本の姿を見ている様で、哀しい気持ちになりました。80歳を過ぎた老夫婦は、国からの給付金で暮らしていますが、国は、福祉の予算をどんどん減らし、軍事費や他の事につぎ込み始めています。減らされていく給付金、苦しくなる生活、動かなくなる身体。二人は、夢も希望も無くし、絶望の淵に立っています。


二人には、息子がいるのですが、イスラエルの変貌に付いていけず、昔の労働運動をしていた頃の夢を追い続ける父親と対立し、アメリカへ渡ってしまっています。息子にも頼れず、国にも見捨てられてしまう老人夫婦。これって、日本でも、これからありえる未来ですよね。恐ろしいです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エピローグ

確かに、頑固で扱いにくいお年寄りはたくさん居ます。ボケてきて、動くのもゆっくりだし、いつ倒れるか分からないような状態で、二人だけで暮らしているとか、本当に、周りがどう扱ってよいのか、困る事もあると思います。でも、いつの日か、自分もそうなるのだし、普通に、一緒に、地域で暮らして行けるように出来ないのかな。せめて、一日一回、顔を見るとか、地域で出来れば、違うんじゃないかしら。


イスラエルの老人問題を取り上げながら、これから先のイスラエルの未来が見えない不安な社会を描いていて、イスラエルという国の社会が迷いに入っているのだなというのが解りました。イスラエルを描いているんですけど、日本も一緒ですよね。未来が見えなくて、国民全般が、やる気を無くしてしまっている感じって、とても通じるものがあると思いました。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エピローグ

政治家たちも、アホな箱物行政やってないで、福祉に金を使って、福祉インフレみたいのを起こせないの?老人介護をやったら、バンバン儲かるみたいにして、その関係職業にもお金が周るようにすれば、いいんじゃないの?もちろん、バリアフリーなどの補助金もバンバン出してくれれば、建設業だって儲かるし、少し頭を使ってくれよ。大手の企業にお金を回しても、自分の所に溜め込むだけで、インフレなんて起きないんだから。出来るだけ中間層にお金を回さなくちゃ良くならないって、どうして解らないの??


社会が老人を受け入れて、一緒に歩いていかない限り未来は無いって事が、冷静に考えれば解ると思うのですが、イスラエルの社会はそんな余裕が無く、どんどん戦争の方に目が行ってしまっていて、危ない状況のようです。ユダヤ人というだけで、被害者という意識が強く働いてしまい、戦わなければ、また迫害されると思ってしまうのでしょうか。なんか、哀しい民族ですね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エピローグ

そんな軍事優先国として進みつつあるイスラエルですが、街中の映像は、穏やかそうでした。夜に外を歩いていても、強盗に襲われるのでもなく、暴力が行なわれている訳でもなく、一見、日本と変わりないような街並みに見えました。それなのに、すぐ隣で紛争が起きているなんて、不思議な感じでした。


いつの日か、イスラエルも本当の国となり、民族も落ち着くのでしょうか。人が住んでいた場所を奪い取っての建国なので、そう簡単には行かないのだろうとは思いますが・・・。もう少し、ユダヤ人も大人の考え方を持って、イスラムの方々と、聖地を分け合うという気持ちになれないんですかね。イスラムの人々が可哀想です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-エピローグ

私は、この映画、老人の問題を考える上で、とても役に立つ映画ではないかと思いました。イスラエルの酷い福祉のあり方を見て、日本は、こういう方向には行ってはいけないという事を考えて欲しいです。


日本公開は決まっていませんが、もし、観れることがあったら、観てみてくださいね。福祉というもののあり方を、考えさせられると思いますよ。ぜひ、楽しんできて下さい。カメ





【東京フィルメックス】「エピローグ」     http://filmex.net/2012/fc02.html