東京国際映画祭のコンペティションで、「イエロー」を観ました。
ストーリーは、
安定剤に頼って自我を保っている代理教員の女性が、疎遠だった家族と向き合うことで自らの過去と現在に対峙していく人間ドラマ。ポップで斬新なイメージがヒロインの心象風景を彩り、豪華な配役の張りつめた演技がドラマに奥行をもたらす。N・カサヴェテス監督の新境地!
という内容です。
色彩豊かな映像の中に、現代女性が抱えている問題を色々詰め込んで描いていて、ああー、そういうことあるよなぁ~って感じがとても良く描かれていました。監督のお話の中にもありましたが、現代女性は、昔と違い、強くなって、自分の好きな事を優先し、言いたいことを言い、どんどん外に出て行くというようになって来ていますよね。外に出て、自分の力で生きていくとなると、その分、悩みも当然深くなる。多くなるんです。そして、ストレスもたくさん抱えてしまう。
主人公のメアリーは、小学校で臨時教師をしているんですけど、精神安定剤をバンバン服用し、周りの事を気にしないように、ストレスを受けないようにしています。何も感じないと言いながら、本当は、たくさんの事を感じているのに、それに気がつかないように、薬でコントロールしているんです。もう、ストレスの塊みたいな彼女。
あまりにも、周りの人間にストレスを受けると、もう、逃避して、妄想の世界に入ってしまうんです。映像で、突然空を飛んだり、アニメの世界に入ったり、舞台で演劇をしていたり、すごい妄想なんですよ。それが、とっても面白いの。小学校では、いきなり、壁を伝って、水が溢れてきたり、彼女の心の中が映像化されるんですけど、とっても面白いの。色彩も、とてもカラフルで、まるで”原宿”のかわいいのデザイナーさんが作る世界のようで、楽しかったです。
私、このメアリーの気持ち、解るんだよなぁ。どちらかと言うと、私、女の厭らしさというか、ねちねちした感じが大っ嫌いなんですね。学校とかでも、あの子ってウザいとか悪口を言ったり、町内でも、どこの奥さんはどーのこーのとか、女の群れが超嫌い。それに、お友達よねとか言ってベタベタしたり、私のこと嫌いなのとか言ったり、もー、イライラするぅ!!一人一人でしっかりしようよ。人の事なんかかまってられるほど、あんた、余裕あんの?みたいに思っちゃうんです。だから、私は、犬にはなれず、猫なんだと思います。若い頃はいちいちケンカもしてたけど、オバサンになると上手く笑って受け流せるようになりましたけどね。でも、たまに、プチッと切れちゃうのよ。(笑)
だから、このメアリーが、学校の先生が群れてイジワルを言ったり、家族が意味無くべちゃくちゃ話していたり、そういうことから目を背けたくなる気持ちがすごく解るんです。逃避したくなるよね。私も、出来るだけ、周りがそうならないように、個人で行動しているんですけどね。だから、ペットにも話しかけるし、映画にものめり込むんです。一人で出来るでしょ。
あ、でも、もちろん一人じゃ寂しいから、人とは関わるけどね。ベッタリしないってこと。猫なんです。(笑)猫型の人は、この映画、結構、解るんじゃないかな。
私は、この映画、とっても好きです。私の琴線に触れる映画でした。でも、他の人はどう観たんだろう。これ、賛否両論出ると思うんです。だって、いきなり展開が変わったりして、単館系に慣れていない人は、結構、辛いかも知れません。日本公開、どうなんだろう。イメージシアターフォーラムとかでやってくれないかしら。とってもキレイな映像だし、芸術系なものとして公開したら、結構、良いんじゃないかと思いました。ぜひ、観てみてくださいね。
http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=27