【TIFF】「もうひとりの息子」(コンペティション) 取り違えっ子の悲劇を微妙な地域で描く感動作 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭のコンペティションで、「もうひとりの息子」を観ました。


ストーリーは、

兵役用健康検査の結果、両親の実子でないことを知ったイスラエル人の青年。出生の際の手違いが明らかになり、やがてイスラエルとパレスチナふたつの家庭のアイデンティティと信念とが大きく揺さぶられる事態に発展する。根深い憎しみからの解放を巡る感動のドラマ。
という内容です。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-息子

日本でもある病院での赤ちゃん取り違えのお話です。それも、この2家族、片方はユダヤ人でイスラエルに住み、片方はアラブ人でパレスチナ自治区に住んでいます。宗教の違いから戦いになり、アラブ人はイスラエルから追い出され、ユダヤ人がその地を聖地として国を確立したんですよね。今でも、内乱が起こっている地域での取り違え。本当に、家族の苦しみが良く描かれていました。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-息子

18歳となり、兵役検査を受けると、親と血液型が違うことがわかり、出生を調べると、取り違えが解るんです。病院側は、取り違えた家族を合わせ、話し合って、子供を取り替えるか、そのままにするか、考えて欲しいというのですが、そんな事、簡単に言われてもねぇ。18年も一緒に暮らしてきて、育ててきた息子ですよ。誰もが予想だにしなかったことです。その時の家族の気持ち、そして、本人たちが一番驚いて、動揺してしまいますよね。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-息子

どちらの息子側からも描いていて、ユダヤ人の立場、アラブ人の立場、どちらもそれぞれの生活をしていて、全てを信じていたのに、血が違うというだけで、家族で争いになったり、隠さなければならなかったり、いくつもの問題が持ち上がります。でも、親たちは、産んだ子も自分達の子供、育てた子も自分達の子という考えを持ち続けます。どちらも自分達の子供で、愛しているんです。

子供たちも、それぞれ不安になったり、疑心暗鬼になったり、色々ありますが、やっぱりどちらの親も自分の親だし、どちらなんて決められない。自分は自分なのだと思い始めます。一番、思春期で難しい年齢で、そんな事が起こってしまったら、どうして良いのか、解らなくなりますよね。でも、二人の親、家族は、ちゃんと息子たちを愛していて、それが伝わるんです。すごいですよね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-息子

どちらの親も、自分の息子を独占しようとせず、子供の考えに任せます。それは、すごい決断だったと思うのですが、どちらの親も、それが出来るというのがすごいと思いました。普通だと、あちらの家に行くなとか、色々言ってしまうでしょ。それを、ガマンするんです。親として素晴らしいなって思いました。


最後の息子たちのたどり着いた結論というか、考え方を良く読んであげてください。色々な出来事で成長した息子たちの姿を見ることが出来ます。何があっても、人間は、答えを出すことが出来るんです。ステキな彼らを観てきてください。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-息子

親子のあり方を、難しい地域を使って描いていて、とても心に訴える映画でした。私は、この映画、ステキだなって思いました。出来たら日本公開して欲しいけど、これだと単館系かな。考える映画だから、アクション好きとかには辛いかもしれません。でも、とても良い映画です。ぜひ、時間があったら、ご覧になってくださいね。カメ



東京国際映画祭 コンペティション もうひとりの息子


http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=21