「夢売るふたり」 夢を売った報酬は、いったい何だったのか。そこに未来は見えたのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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先日、「夢売るふたり」を観てきました。


ストーリーは、

東京の片隅で小料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)。店は小さいながらも順風満帆だったが、火事で全てを失ってしまう。ある日、貫也が常連客と一夜を共にし、すぐに里子の知るところとなるが、里子は結婚詐欺で金をだまし取ることを考案する。結婚願望の強いOLなど寂しい女たちの心の隙につけ込んで、店を再開するための資金を稼ぐ二人。しかし、夫婦の関係に影が差し始め……。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ふたり

結構、シビアな話で、最初は、笑って観ていられるんだけど、段々と、貫也と妻の里子の気持ちの変化が伝わってきて、息苦しくなってくるんです。店を再建することを目標として必死でお金をかき集め始めた時は、それしか目に入っていないから表情も明るいんですけど、欲が出てくると、段々と周りも見えてくる。そこからが怖いんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ふたり

西川監督には珍しく女性が主役なので、どうなるのかなって思っていたら、女性の深い嫌な部分もしっかり描かれていて、観ていて辛かったです。この映画、きっと、男性が観るのと、女性が観るのとでは、まったく感想が違うのではないかと思っちゃいました。妻の為に浮気をする男と、お金の為に夫を売る女、これ、全然立場が違うでしょ。どちらも辛いけど、考えてみれば、ふたりで同じ方向を向いているのではなく、ふたりが全く違う方向を向いてやっているんです。だから、どちらに共感出来るかで、全然違うような気がしたんです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ふたり

最初はお金の為だと割り切って、自分の夫を他の女にけしかけるんですけど、そんなに簡単に割り切れるもんじゃないですよ。自分の好きな人が自分の為に、他の女と寝てるなんて、心が割れてしまう。解っていても、耐えられなくなってくる。女なら当たり前です。一度や二度そこら辺の水商売の女と寝るとか、風俗に行くなら、別に心は関係なく下半身の問題だけだから、なんとか許せても、相手の女からお金を引っ張るとなると、ある程度本気でかからないと、相手も心を許さないでしょ。そんな夫の姿を横で見ていなければならないなんて、耐えられないと思います。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ふたり

そして夫の方は、たまたま酔っ払って、一度浮気をしてしまったことが妻に見つかり、そこから妻の言うとおりに女に近づき、騙してお金を引き出すことを始めるのですが、元々、正直な人間なので、人を騙すことに罪悪感を感じるんです。だから、罪悪感を消す為に、精一杯、相手の女性の事を思い、世話を焼いて、その報酬としてお金を借りていると思うようにしているのではないかと感じました。

ふたりとも、それぞれに色々感じながらも、お金を集めてお店を再建しようとがんばっているんです。そんなふたりは、とても良さそうな夫婦に見えるんですけど、でも、心の中はドロドロ。ふたりの未来は、どんどん違う方向に向かってしまう。いやぁ、まるで転がるようなふたりの運命、すごかったです。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ふたり

騙される女たちですが、どの女性も独身で、ひとりが寂しいと思っています。あのね、あまり書くと反感を持たれるかも知れないんですが、一人で飲み屋とかレストランに平気で入れるようになる、俗に言う”お一人様”が平気になってしまった女性って、危ないと思います。素人男性はそんな女性を怖いと思い、騙そうとする男性にとっては良いカモに見えると思うんですよね。ここで騙される女性は、みんな、”お一人様”がバリバリ出来そうな女性ばかり。強い女性もステキだけど、あまりに強くなりすぎると、男性は引いてしまいます。結婚したいと思ったら、”お一人様”に慣れてしまうような事は辞めた方が良いですよ。


不思議と、騙された女たちは、それほど怒っているように見えないんです。彼は良い人だからって話しているんですよねぇ。面白いです。ただ一人、ちょっと怒る人もいるけど、まぁ、それはお楽しみに。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-ふたり

私は、この映画、お薦めしたいと思います。大人向けですので、大人の考える映画が大丈夫な人、ぜひ行って観てください。面白いです。男と女の関係の、ドロドロした、不思議で、楽しくて、恐ろしい世界を、堪能してきてください。私は、好きな作品です。私はお金より、主人に浮気をしないで欲しいって、心底思いました。ぜひ、楽しんできてくださいね。


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