「イタリア映画祭 2012」 閉幕しました。お疲れ様でした。
私は、結構、楽しめたと思います。有名どころが無かったという方も多いかも知れませんが、監督デビュー作が多くて、新鮮な雰囲気が良かったと思います。
少し、気になったのが、難民移民問題を取り上げた作品が多くて、確かに、イタリアでは大きな問題だからだとは思うのですが、まだ、日本では、移民問題というものが身近に感じられるものではないので(島国だからというのもあると思う。)、いま1つ、その切羽詰った環境というものの理解が難しかったです。イタリアということで、デザインやファッション系の映画や、楽しい映画、アニメなどがあったら、観てみたいと思いました。来年、楽しみにしています
映画後のQ&A、座談会で感じたことなんですが、やっぱり、日本映画は、まだ、成長途中なのかなということです。そして、観る方も、まだ成長しきれてない方が多いのでしょう。
Q&Aで、「最後、あの主人公はどうなったんですか?」とか、「あの後、彼女は助かったんですか?」みたいな質問をする方が居て、驚いてしまいました。ラストは自分で作るんですよ。監督に聞いてどうすんの?ワザと、観客に託してくれているのに、聞いてどうすんだっ!!って怒ってしまったのは私だけじゃないと思います。まだ、映画の見方をあまり解られてないのかも知れませんが、成熟した映画は、ラストを観客に委ねるものなんです。だから、観る人それぞれが、自分の体験から、幸福なラストにするか、不幸なラストにするのか、変わってくるものなんですよ。それが監督の狙いなの。だから、最後、どうなったんですか?って質問するのは、とても失礼な事なんです。いやぁ、驚いてしまいます。
確かに、邦画やハリウッド映画は、キチンと結末をつけるものが多く、すごく丁寧にすべて説明してくれるでしょ。それは、観客に何も委ねてくれてなくて、どちらかと言うと、子供向けに作っているという事なんです。だから、最近は、海外の映画祭でも、邦画の評判があまり良くないんだと思うんですよね。先日、Revival3さんからのコメントで、映画祭のコンペティションに邦画が1作も入れてもらえなかったというニュースを教えていただき、本当に、悲しい現実だなって思いました。
邦画のレベルが下がったのは、観る側が成長が無くて、全てにおいて説明するような映画ばかりが人気になるのが悪いと思うんです。TVドラマからの続きの映画も、既にTVで説明されているから、作りやすくて、興行収入も上がるからだと思うんですね。解りやすいですもん。たとえば、「スペック」も、ドラマで細かい説明をしていてくれたからこそ、2時間であの内容で行けたんですよね。映画だけじゃ、なんだか解んないでしょ。
座談会の司会者である岡本太郎さんが、質問として、「説明しすぎる映画について、どう思われますか?」と監督に伺ったら、どの監督だったか忘れてしまいましたが、「僕は、ラストをキッチリ決めるような映画は好きじゃない。だから、僕の作品は、ぼやかしている。観客に自分で想像して欲しいからだ。」とおっしゃっていたんですね。私も、もっともなご意見だと思い、頷いてしまいましたが、やはり、監督たちも岡本さんたちのような映画関係者の方達も、ハリウッド映画や邦画のように、説明しすぎる映画に、ちょっと嫌気がさしているのかなと思いました。
私も、いつもブログを書いていて思うのですが、私は面白いと思う作品でも、細かい説明と解りやすい完結に慣れてしまっている人にとっては、解らないかもしれないなぁと思い、単館系映画に慣れている方にはお薦めとかって書くようにしていますが、本当に、今は、難しい時期だと思っています。誰もが、映画の観方に関して、成長すれば、また、新しい邦画の道も開けると思いますが、このまま、すべての情報を与えて、観客に考えさせない映画が進んでしまえば、どんどん邦画のレベルも下がって行ってしまうかも知れません。
私は、映画って、クロスワードパズルのようなものだって思っているんですが、全てのワードが入っているわけではなく、幾つかのヒントを与えてくれて、自分で完成させるものだと思うんです。だから面白い。だから、観る人によって、映画は自分の物になっていくのだと思います。監督は作ってくれているけど、最後、完成させるのは自分です。それが本当の映画じゃないかなって思っています。それは、小説でもそうですよね。
誰もが同じ映画を観ても、感想が違って当たり前なんですよ。最後は、自分のラストなんですから。もっともっと、沢山の人に映画を楽しんで欲しい。楽しみ方を知って欲しいと思いました。
今回のイタリア映画祭は、本当に色々考えさせられて、良かったと思います。今年は、ゲストの方もいらしてくれて、とても楽しい映画祭でした。来年も楽しみです。