今日は、読んだ本について書きたいと思います。
「ピース」という、樋口有介さんの作品です。途中、どこに行き着くのかまったく予想がつかず、本当に最後まで楽しめた作品です。
ストーリーは、
埼玉県北西部の田舎町。元警察官のマスターと寡黙な青年が切り盛りするスナック「ラザロ」の周辺で、ひと月に二度もバラバラ殺人事件が発生した。被害者は、歯科医とラザロの女性ピアニストだと判明するが、捜査は難航し、三人目の犠牲者が・・・。県警ベテラン刑事は、被害者の右手に、ある特徴を発見するのだが・・・。
というお話です。
これ、詳しい感想を書いてしまうとネタバレになるので、あまり書けませんが、とにかく、最初は、誰もが怪しいんだけど、まったく事件に繋がらないんです。動機が無いんですよね。だから、どこからか犯人が現れてくるのかなって待っているんだけど、どう考えても、出てきている人の中に犯人が居るはずでしょ。とっても不思議なの。
普通だと、読み進んでいくと、段々と謎が解明されていくでしょ。でもね、謎が解明されていかないんですよぉ。どこまで行っても、怪しさが深くなっていくばかりで、謎ばかり増えるんです。読んでいるこちらは、どんどん深読みしちゃうの。それが、ある場所から、いきなり森が開けるように、バンって謎が解け始めるんです。”ええ~っ”て、本を読みながら、もう一度、2ページくらい戻って読んでしまいました。そんなところに着地するんかいっ!!って感じで、驚きました。
内容としては違うんだけど、ちょっと「告白」に通じるところがあるように感じました。子供は出てこないんだけど、いやいや、すごいです。読んでいて感じたんですけど、子供って、惨酷なところがあるでしょ。それって、人間が本来持っている惨酷さだと思うんです。それを、親が愛情を持って、人間として生きていく基本の優しさというか、人を思いやる気持ちを教えてやらなければいけないんですよね。悲しんでいる人間に対して、追い討ちをかけるとか、苦しんでいる人にもっと苦痛を与えるとか、物理的なだけではなく、精神的なことでも、結構、マスコミとかがやっているでしょ。見ていて気分が悪くなるんだけど、そういう事が出来る人って、やっぱり基本を子供の頃に学んでこなかったんだと思うんです。人間として、狂っている。そういう事が、この小説の深いところに描かれていたような、そんな風に思えました。
この小説、とっても面白いと思う。これ、連続TVドラマとかだったら、面白いだろうなぁ。バラバラ殺人だから、あんまりTVだと難しいのかしら。でも、ボカせば良いもんね。映画とかだと、ちょっと2時間じゃ、この内容は納まらないし、じんわり謎が深まっていく不思議な感覚を、毎週感じて観ていくっていうのが面白そうなのよ。毎回、店の常連客一人ひとりを主役にして進んでいって、最後に行き着くって、面白そう!!
ミステリー好きなら、ぜひ、読んでみてください。楽しめると思いますよ。でも、ごめんなさい。スッキリしたっ!!っていう気分は味わえないと思う・・・。(笑)
- ピース (中公文庫)/樋口 有介
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