東京フィルメックスにて、「RIVER」を観てきました。実は、観る予定が無かったのですが、友人がチケットを譲ってくださって、観ることが出来ました。コンペ作品ではなかったので、あまり内容を読んでいなかったのですが、秋葉の殺傷事件や東北の震災について取り上げている作品と知り、観るチャンスを頂いて、本当に良かったなって思いました。チケットを下さった、お友達さん、ありがとうございました。m(__)m
ストーリーは、
恋人の健治を数年前に秋葉原で起こった殺傷事件で失ったひかりは、いまだに心に折り合いをつけることができないでいる。健治の面影を探すかのように、ひかりはあてもなく秋葉原の街を歩き、様々な人々に出会う。女性カメラマン、メイド喫茶のスカウトマン、そのメイド喫茶で働く同世代の少女......。やがて、ひかりは地下道で暮らす青年・佑二に出会う。佑二は親と喧嘩して家を飛び出して東京にやってきたという過去を持っていた。そして、彼が捨ててきた故郷の変わり果てた様子がテレビ画面に映し出される......。
というお話です。
恋人をアキバの殺傷事件で殺された主人公ひかりが、アキバの町をふらふらと彷徨う場面から始まります。すごい長回しで、ちょっと途中で、いつまでやってんの?って思ってしまいましたが、アキバの現在の状況を生々しく映し出していて、面白く観ました。あんな事件があっても、普通に人が行き来していて、誰も事件の事を思い出さないんですよね。復活することは大切だけど、何もかも忘れてしまうのは、どうなのかなって思いました。
ひかりは、色々な人とアキバで出会い、恋人が死んでから、ずーっと閉じこもっていた殻から、少しづつ出てきて、未来へ歩き出すというお話です。でもね、この映画、被害者の関係者の方々が観たら、どうなんだろうなってちょっと思いました。心の傷って、人からとやかく言われて治るものではないし、人から「頑張って。」って言われれば言われるほど、ムカつくと思うんです。なんで同じ出来事を経験していない貴方に、そんなこと言われなきゃいけないのって・・・。だから、本当に経験した方が時間をかけて癒しているところに、この映画は、ちょっと観せたくないなぁって思ったりして・・・。
そして、アキバでひかりが出会う佑二は、東北出身者で、自分の実家が震災にあったという設定なんですね。東北を捨てて出てきた男が、震災後、実家に戻って、その惨状を目の当たりにします。これもねぇ、震災の酷さも解るし、悲しみも解るんだけど、やっぱり、外から来た人間に、あーだこーだ言われたくないって思うんじゃないかなぁ。きっと、震災にあった方々は、涙も出なかったと思います。さっきまで一緒に居た家族が亡くなったりしているんですから。それに、どうやって生きていこうかと必死で、泣いているヒマなんて無かったと思います。だから、時間が癒してくれるのを待つしかないし、他の人間が頑張れとか生きろとか、言う資格は無いように思うんです。見守って、後ろから補助をしていくしか、彼らを癒せないのではないでしょうか。
こういう事件や震災に偶然に遭遇してしまうのは、仕方ない事です。だから、誰であっても、自分に降りかかっても、癒すまでの時間を与えて欲しいんです。周りから、頑張れとか、未来があるとか、元気になれとか、そういう追い詰めるような事は言わないで欲しい。見守って欲しいなって思いました。
映画の感想とは違ってきちゃってゴメンナサイ。でも、今、まだ映画として描くには、ちょっと早いのではいかと思ったので、つい、書いてしまいました。ドキュメンタリーならまだしも、ドラマ化は、どうなのかなぁ・・・。
映画としては、長回しで感情の動きを追っていたりしていて、上手いんだろうなって思うんですけど、どーも、事件や震災の事を思ってしまうと、素直に感動出来ないというか、映画として観れないんです。
ゴメンナサイ。良い感想を書きたいんだけど、私は、どうしても、まだ、この事件や震災を、映画として観ることが出来ませんでした。今も、あの映像は脳裏を離れません。時間をかけて、癒していくしかないんです。そして、一つづつ、片付けていくしかないんです。だから、他人が口出しする権利は、まだ無いって思うんです。
この映画を観て、こういう事を考える機会を与えてくれて、良かったと思います。観なければ、そのまま一切関わらずに、忘れていくだけだったのですから。人を癒すのに、どれほどの時間が必要なのか、そして、いつになったら、笑うことが出来るのか。それは、実際に事件に関わった方にしか判りません。そして、周りの人間は、その事件や事故を忘れずに、彼らを見守っていくことが必要なのだと感じました。
いつでも、私のような者でも役に立つことがあるのなら、何かしたいと思っています。きっと、たくさんの方も、そう思っていると思います。事件に遭われた方、震災に遭われた方、周りの誰もが、あなた方の事を思っています。見守っています。安心して、ゆっくりしていてください。いつの日か、一緒に笑えるように、一緒に映画が楽しめるようになると良いですね。
東京フィルメックス
http://filmex.net/2011/