東京フィルメックスで、「人山人海」(レンシャンレンハイ)を観てきました。
ストーリーは、
主人公は中国南部の貴州に住む中年男・ティエ。石切場での仕事中に同僚に大けがを負わせ、賠償金の支払いを迫られているティエを新たな悲劇が襲う。弟が何者かに殺害されたのだ。犯人のシャオは逃走し、警察もその行方を積極的に捜そうとはしない。自力でシャオを捜すことを決意したティエは友人を頼りに重慶の街を捜索するが、手がかりを得られない。やがて、シャオが北部の炭鉱に身を潜めているという噂を聞いたティエは、単身、北へと向かう......。
というお話です。

この作品、とにかくセリフが少ないんです。ずーっと無言で、その動きと視線のみで、ストーリーを進めていくんですよ。もちろん、ちょっとづつは、セリフがあるんですけど、あまり字幕を読む必要が無くて、結構、楽でした。でも、内容は濃いですよ。

主人公のティエが、超不幸なんですよ。でね、マジ、普通のオッサンなの。あー、中国のフィルムとか観ていると、こういう労働者のオッサンいるよなぁみたいな感じで、役者さんがやっているとは思えないほど馴染んでいたんです。だから、中国の田舎って、こんなに極悪な状況なのかと思ってしまい、怖いなぁ、関わりたくないなぁって思いました。本当に、出てくる人出てくる人、悪人なんです。日本映画の悪人みたいんじゃなくて、本当に極悪で、自分の利益しか考えていないんですよ。驚きます。

そんな地獄のような生活の中で、主人公がどんどん追い詰められて、何処に行き着くのかという内容なのですが、深かったなぁ。深くて、ドロドロしていて、観ているこちらが、超疲れます。辛くなります。そんな地獄のような世界で、どうして生きていかなくちゃいけないの?って思うほどです。本当に、こちらのメンタル面に、目一杯、打撃を与えてくれるような作品でした。
衝撃のラストが待っているんですが、ラストで一気にドーンと落とされましたね。本当の地獄に突き落とされて、閻魔大王が待ち受けているような、そんな風景が見えました。すごく恐ろしかったです。

この映画、ヴェネチア映画祭で銀熊賞(監督賞)を貰ったそうですが、確かに、観ている人間を惹き込むパワーはすごいです。でもね、あまりお薦め出来ないです。だって、恐ろしいし、暗いし、恐いんですもん。万人受けはしないと思います。ドロドロ系とか、キツい映画が大丈夫な方には、お薦め出来るかな。普通の方は止めてください。観ていて、辛いです。でも、映画としては、素晴らしいんだと思いますよ。映画ファンの方は、一度、味わってみると良いと思います。
東京フィルメックス
http://filmex.net/2011/