先日、「猿の惑星 創世記 ジェネシス」を観てきました。
ストーリーは、
現代のサンフランシスコ。高い知能を持つ猿のシーザーは人類に裏切られ、自分の仲間である猿を率い、自由のために人類との戦いに向けて立ち上がることに。人類のごう慢さが、猿の知能を発達させてしまう要因となり、人類にとって最大の危機を巻き起こしていく。
というお話です。

いや、まず驚いたのは、キャプチャーの素晴らしさですね。どう観ても、猿にしか見えなかったもん。あれを、人間が演じていたなんて、信じられません。本当に、知能のある、感情豊かな猿が苦しんでいるようにしか思えませんでした。最新の技術を見ると、もしかして、アルツハイマーの薬も開発され、猿が頭が良くなるのも、そう遠くないのかも知れません。

この映画を観ていて、頭が良くなった猿は、幸せなのか不幸なのか、考えてしまいました。人間もなんですが、頭が良くなれば良くなるほど、上を目指し、先へ先へ進んでしまう。どんどん便利になり、寿命も延びていくのだろうけど、その反面、悩みも増えますよね。現代社会は、躁うつ病など精神的な苦痛を訴える人が増えて、人間同士の関わりも薄くなっている。これって、本当に幸せなんでしょうか。猿を見ていて、もし、頭が良くならなければ、本能だけで生きていれば良くて、苦しむ必要は無かったのに・・・。
猿のシーザーは、たまたまウィルに引き取られ、幸せな子供時代を過ごします。頭が良くて、もっと人間に近くなるのかと思いきや、結構、猿のままでしたね。まだ、脳の発達途中だったのかしら。IQが高くなれば、「アルジャーノンに花束を」のように、本人(猿)が、薬の開発とかを手がけられるから、このアルツハイマーを治す薬の悪いところを彼が見つけて、開発を続けていけば完璧になっただろうに。
で、猿のまま、ある程度、頭が良くなったシーザーは、やっぱり猿の仲間と一緒にいることを望み、彼らは彼らだけで社会を構成して行こうとします。人間は人間、猿は猿、ちゃんと住み分けしていれば、問題が無いんですけどね。現在、熊やイノシシ、狸などの野生動物が人里に現れて問題になっていますが、すべて人間のせいです。人間の貪欲さは、動物の生息地まで汚染し、彼らの住処を奪っているのです。この「猿の惑星」は、そういう人間の貪欲さを良く表していると思います。彼らの聖域を侵せば、人間に復讐するに決まっているでしょ。熊が出るなら、人間がそこから立ち退けばいいんです。人間が侵略者なんですから。
猿のリーダーとなったシーザーは、仲間への愛情を最初に示します。全ての猿に同じものを分け与え、逃走計画を練って、みんなで逃げます。この逃亡劇、すごいですよ。やっぱり、上に立つものは、下の物に平等に分け与え、すべての者を守ろうという気持ちでいないと、付いて来ませんよね。自分が一番危険なところに立って、その気持ちを表現しない限り、何も伝わらないし、誰も動きません。とても原始的な考え方だけど、一番、正しい考え方ですね。
最後に、人間の愚かさを、とても感じました。人間が滅ぶのは、人間のせいなんです。やっぱり、自業自得、進化を貪欲に望みすぎて、結局は滅んでしまう。こうなっちゃいますよねぇ。ある程度、自然の摂理を守って、神の領域に手を掛けないようにしないと、自滅の道を歩むことになります。もう、ここら辺で引き返さないと、人間は、本当に、イケないところまで行ってしまうのではないでしょうか。恐ろしいです。
この作品、確かに、昔の”猿の惑星”につながります。面白いです。細かいところまでツッ込むと、まぁ、アラが沢山出てきてしまいますが、そんな事を考えているより、面白さが先行するので、満足出来る作品だと思いますよ。人間の歩むべき道がどこにあるのか、そんな事を考えさせられる作品でした。ぜひ、観に行ってください。
・猿の惑星/創世記〈ジェネシス〉@ぴあ映画生活
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