今日は、ユスフ三部作、最後の1作を観ました。順番的には、これが2番目なのかな。「卵」→「ミルク」→「蜂蜜」と作られて、たくさんの賞を取った作品たちです。
ストーリーは、
高校を卒業したばかりのユスフは詩を書くことが大好き。詩を文芸誌で発表し始めるが、母との貧しい生活の足しにはなっていない。そんな中、母と町の駅長の親密な関係を知ってしまう。このことがきっかけで、急に大人になることに不安を覚えるユスフだが……。
というお話です。
この作品は、ユスフが思春期を迎えて、未来に不安を抱えながらも、何が自分に出来るのかと探していて、思いにふけっている周りで、母親や友達は、どんどん新しい人生を歩き始め、自分だけ取り残されたような寂しさを抱えながら、親離れをしていくという話です。
こういう不安な気持ちは、誰もが、思春期に味わってきたと思います。今思うと、恥ずかしいような、懐かしいような。どうしてそんな事にこだわっていたのか、どうして許せなかったのかと、くだらないことなんですけど、その時は必死で、何もかもが許せなかったりしたんですよね。そんな心の揺れを、とても良く描いています。
ユスフは、この後の作品「蜂蜜」を観ると解るのですが、小さい時にお父さんを不慮の事故で無くし、まだ文字も覚えていない年齢なのに、母親を守らなきゃと思って、大人になるんです。一生懸命、お母さんを助けて大きくなってきた。そんな彼だからこそ、母親が新しい道を歩き出すことが、とても寂しいような、悲しいような、お母さんを取られてしまったような気持ちにかられて、なんとも言いようの無い表情を見せます。
お母さんは、超美しい人で、こんなに美しい人なら、男がほおっておくはずが無いですよ。ユスフは、こんなにキレイなお母さんを独り占めしてたんだから、お母さんの幸せを喜んで上げなきゃねぇ。でも、この年頃の男の子は、無理かもなぁ。
まして、詩=ポエムを書いて、本に投稿するような男の子だから、難しそう・・・。ロマンチストみたいです。私は、ちょっと苦手なタイプかな。いきなり、ポエムのような事を言われても、笑ってしまいそうだもん。なんたって、ホラー映画を観て笑っている人間には、ユスフのような、繊細な男子の気持ちは、受け入れられないかも。(笑)
この作品はも、とても良い作品で、ぜひ、映画好きの方は、観に行かれると良いと思います。このトルコの監督 セミフ・カプランオールさん、人間の心情を描くのがとても上手いですね。セリフは少ないのに、人物の動きや、その周りの光の使い方で、気持ちが観ているこちらに伝わってくるんです。言葉で簡単に伝えてしまうのではなく、こういう描き方は、素晴らしいと思います。映像の美しさも素晴らしいです。この3部作、傑作だと思います。
そういえば、トルコの生活って、日本にいるとあまり触れることがありませんが、日本にとても似ているんですね。家の中では、靴を抜いで生活しているし、休憩にお茶を飲んでくつろぐところなど、生活習慣が似ている気がしました。他の国より清潔に生活しています。日本人には、合っている国みたいです。トルコという国に、とても興味を持ちました。他の映画を観たり、本を読んでみようかな。
・ミルク@ぴあ映画生活
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