先日、「わたしを離さないで」を観てきました。 あの映像と服装から予想していたストーリーとは、全く違う、SFの内容で、驚きでした。1965年から始まっているんだけど、私達の次元とは違う次元でのお話ですね。
東京国際映画祭で観たかったんだけど、チケットが買えず、当日券に並ぶ元気も無かったので、その日は、フィンランド映画祭に行ってしまったんです。やっと観れました。
ストーリーは、
寄宿学校「ヘールシャム」で学ぶキャシー、ルース、トミーの3人は、小さい頃からずっと一緒に暮らしている。外界と隔絶したこの学校では、保護官と呼ばれる先生の元で子供たちは絵や詩の創作をしていた。18歳になり寄宿学校を出て農場のコテージで共同生活を始めた彼ら。やがてルースとトミーが恋を育むようになり、キャシーは孤立していく。その後、コテージを出て離れ離れになった3人は、逃れられようのない運命に直面する事に…。
というお話です。
観初めて、あ、SFなんだって気が付いて、同じ内容を観たことあるなぁって思ったら、「アイランド」でした。ユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソンの、アレです。舞台が近未来のものと、現代に置き換えたものとの違いかな。3人の男女の恋愛事情などは、まったく違いますけど・・・。
映画が始まって、直ぐに、ここで描かれる世界が、現代とは違うということの説明があります。「医学の進歩により、人間の平均寿命は100歳を超えて・・・。」という世界で、どういう進歩の仕方をして、人間が100歳以上も生きれるのかということです。ここら辺の設定がSFなんですよ。でも、内容は、3人の男女の恋愛と、人間の命とは何だという問題を描いています。そういう世界だからこそ、人間として生きることの大切さ、愛とは何かということなんです。
人間が持つ心の中で一番醜いのは、嫉みなのではないでしょうか。この3人の恋愛でも、嫉みがキーポイントとなってきます。あの子は私より醜いのに、どうして彼氏がいるの?とか、あの子に負けたく無いから先に頼れる人を見つけなきゃ、とか・・・。嫉みは、人の心も醜くするけど、外見も段々醜く見せていきます。美しくいたいなら、人を嫉まないこと。でも、嫉みが無ければ、人は進歩しないんですよね。そこが難しいところ・・・。嫉みがあるから、技術の進歩もあるし、能力も上がっていくんです。その兼ね合いが難しいですね。この映画の中では、一方が引くことにより、展開が変わります。

この映画、見方が難しいなって思いました。SF的な設定を中心に観て行くか、3人の男女の恋愛と友情を観ていくのか、どちらも観れる方なら良いんだけど、私は、どーも、SF部分の設定などに目が行ってしまい、3人の心の動きが、それほど面白く感じられませんでした。ありふれた三角関係の話なのに、SF的な設定を絡ませて、恋愛の心の動きだけではなくて、死がいつも隣にある人間としての苦しみと諦めを絡ませて描いたという感じでした。なんとなく、私には、その絡ませ方が、あまり合っていなかったように思えたんです。ただ、暗い雰囲気が漂っただけみたいな・・・。出演者は、すごく良い人を集めているのにね~。
キーラとキャリー・マリガン(ウォールストリート)とアンドリュー・ガーフィールド(ソーシャルネットワーク)の3人なんて、すごいですよね。キーラは、もう既にトップクラスだけど、他の二人は、これからどんどん主役を張ってくる人でしょ。観ていて、確かに表情とかがとっても豊かで、良かったですね。それに加えて、シャーロット・ランプリングが出ています。彼女は、昔、”エンゼル・ハート”という映画を観たとき、あまりの怖い役で、恐いおばさんというイメージが強く付いてしまって、それからツボなんです。彼女を見ると、血を思い出す・・・。今回も、彼女からは、血の匂いがしました。
ハッキリ言って、評価とすれば、面白い部類の映画だと思います。そう来るかって言う切り込みで、展開も面白いのですが、どーも、”アイランド”を思い出してしまい、引っかかってしまいましたね。SF好きな私としては、この設定の、医学の技術革新があったのならば、他も進歩していておかしくないのに、医学以外は、まったく進歩していないんです。どーも、バランスが良くないよなぁと思ってしまいました。でも、SFの原理などを考えなければ、心の動きや結末に、感動すると思います。ぜひ、一度、ご覧になってみてください。宣伝に、まったくSF的という解説が無いので、知らないと、ちょっと戸惑います。
・わたしを離さないで@ぴあ映画生活
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