フィンランド映画祭、5作目は、「ヤコブへの手紙」を観ました。
ストーリーは、
恩赦で出所したレイラは、ヤコブ牧師の家で働くことになった。片田舎に一人で暮らす年老いた彼のもとには、悩みをもった人々からの手紙が郵便配達人によって毎日届けられる。レイラの仕事は盲目の牧師のために手紙を読み、返事を書く事。毎日届く手紙を楽しみにするヤコブと、生きることに希望を持てず嫌々ながら仕事をこなすレイラ。そして、突然現れたレイラに不信感を抱く郵便配達人。そんなある日、ヤコブへの手紙がぷつりと来なくなり、彼はすっかり気を落としてしまう。そんなヤコブにレイラは・・・。世界中の観客を魅了した、胸を打ち、あふれる涙に心洗われる物語。
というお話です。
![ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-ヤコブ2](https://stat.ameba.jp/user_images/20101101/22/yukigame/10/04/j/t02200124_0480027010834747712.jpg?caw=800)
この映画、すごく心を打たれました。
派手な映画でも、なんでもなく、淡々と話は進みますが、すごく深いんです。観てみると、この映画が、直ぐに日本公開が決まったというのが解かります。
出てくるのは、ほとんど3人だけ(牧師、レイラ、郵便配達)なんですけど、この3人ともが、その表情、行動など、とても繊細に演じていて、映像も、澄んだ空気が映っているような、そんな感じで、観ていて、とても和むんです。もちろん、ストーリーも、しっかりしていて、ブレません。最後まで、同じレベルで、安定していて、観ているこちらも、じんわりと感動が沸いてくるような、心が温かくなっていくような、そんな映画でした。
この映画が出来たのには、面白いエピソードがあるそうです。監督がお話してくださったのですが、クラウス監督が、新作映画の企画をして脚本を書いていたんですが、どうしてもまとまらず、挫折したその時、1通の手紙が送られてきたそうです。そこには、脚本と筆者の名前と電話番号のみで、なんのコメントも添えられておらず、監督は、なんて失礼な奴なんだと思ったそうです。読む気も無かったそうですが、挫折してやる事が無かったので、仕方なく、最初の10ページを読んでみたら、素人の文章ながらなんとなく止められず、先を読んでしまいました。これは作品になりそうだと思い、失礼な奴だけど、電話をして叱ってから話をしてみようと思い、電話をしたら、なんと女性の声だったそうです。彼女は、ソーシャルワーカーの40代の女性で、趣味で脚本学校に通い、卒業作品として、この話を書いたそうです。先生が、良い作品だから、監督に送ってみたらどうだと言うので、送ってみたというのだそうです。ドラマのような話ですが、本当のことだとおっしゃっていました。その彼女は、ぜひ原作者として表に出て欲しいと言ったのですが、私は近所の映画館でひっそり観ますから、監督の良いように原作を使ってくださいと言って、表に出る事を断ったそうです。なんだか、ステキなお話ですよね。
そんな風にして生まれたこの作品は、素晴らしい物になっています。面識も無く、関わりも全く無い人の為に、生涯をかけて祈っている牧師の慈悲深さと、そんな彼によって、人間としての尊厳を取り戻していく元死刑囚のレイラ、それを心配そうに見守る郵便配達人。彼らの素晴らしくて温かい思いを、この映画から感じてきて欲しいです。
この映画を観ると、とっても温かい気持ちになります。私は、この映画、すごくお奨め映画です。B級映画で大笑いするのも良いけど、こういう良い映画を観て、自分を高めるのも、良いのではないでしょうか。
公開は、2011年の正月第二弾だそうです。年明け、寒い時期には、とっても暖かくなる映画だと思いますよ。
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