5日目の2作目は、「隠れた瞳」(コンペティション)を観ました。
ストーリーは、
1982年、軍事独裁政権末期のアルゼンチン。厳格なエリート養成学校の女教師が、規律と欲望の間に挟まれていく様を描く。ヒロインの心境に社会情勢が巧みに重なり、広がりのある映像と細やかな心理描写を並立させる演出力は必見。
というお話です。

主役のマリアが、規律に縛られて、息も付けなくなっていく様子がとても良く表現されています。
普通なら、恋に落ちて、楽しい生活を送れるはずの年代に、独裁政権が確立されてしまい、男性と付き合って遊んだり、音楽を聞いたり、踊ったりなどの楽しい事は、すべて堕落した人間がやることだというような認識を植えつけられて、息苦しくなって、それが今にも爆発しそうになってるんです。
アルゼンチンは、1976年から1982年、軍事独裁政権となり、1982年にフォークランド諸島への進攻によって戦争が起きて、アルゼンチン軍の降伏によって、軍事政権崩壊となる。そんな時代に学校の先生をしているマリアは、まるで鋼鉄の処女のように、強く硬くというイメージで、周りに人間を寄せ付けないような女性です。すごい美人なので、周りの男性教師や上司などは、彼女を物欲しそうに見ているのですが、彼女は一切を撥ねつけています。

そんなマリアも、いい年齢の女性なので、ま、男性が気になるんです。自分の教え子にタイプの子が居て、その子をこっそり見ては欲情したりして・・・。あまり女性が欲情するって感覚が解からないんですけど、これほど抑圧されていると、女性もこんな風になるんですかね。日本に住んでて良かった・・・(笑)
ある日、学生を取り締まるという名目でマリアがやっている事が上司に見つかり、問題となります。彼女はその場は切り抜けますが、だんだんと窮地に陥っていくんです。学校というところは、公共の場という名の密室なので、色々な事が起きても解かりませんよね。恐いです。これは、日本の同じですよね。

学校は、実際に使われていたものを再現して撮影しているそうです。厳格な学校で、今も、そのエリート学校があるそうですが、撮影には使えないので、同じようなものを作ったそうです。ナチスドイツのような感じで、建物さえも、硬そうでした。
この映画は、公開は難しいかな~。面白い話だし、映像も良いのですが、話が暗くて、あまり万人受けしそうにありません。女優さんもとってもきれいなんですけど・・・。もし、公開かDVDになったら、見てみてください。結構、最近の過去に、こんな政権があったということを知るのも面白いと思います。
ディエゴ監督と主演のフリエタさんです。