今日は、「ザ・ロード」を観てきました。
ストーリーは、
文明が崩壊して10年あまり。空を厚い雲が覆い、寒冷化が進んだ世界には生物の姿はなく、食料もわずかしかない。生き残った人々のなかには、人を狩り人肉を食らう集団もいた。そんな大地を、ひたすら南を目指して歩く親子がいた。道徳や理性を失った世界で、父親は息子に正しく生きることを教える。自分たちが人類最後の「希望の火」になるかもしれないと。人間狩りの集団におびえながらも、二人は海にたどり着く…。
というお話です。
ピューリッツァー賞受賞の原作だそうですが、これ、小説で読んだのなら感動するかも知れないけど、映像で観せられると、”何故”とか”どうして”という言葉が出てきてしまい、あまり納得の行く映画とは思えませんでした。確かに、これ、小説で読むと(どこかのレビューで原作に忠実と書かれていたので。)迫って来る心理描写や荒廃した地球、壊れていく人間達が想像できて、面白いと思うのですが、映像にしてしまうと、その重苦しい描写などが上手く描けていなかったような気がしました。
ただただ、南の方に行って海に出れば、何とかなるって、言っているのですが、根拠も何も無く、先が見えないんです。辛い映画でした。いやいや、映画の中の彼らじゃなくて、観ているこちらが辛いんです。だって、明るい要素が一つも無い、暗いことばかりで、地球が死に向かっているだけという風にしか見えなかったんですもん。
先日観た、「ザ・ウォーカー」も同じように地球が壊れてしまった後を描いているのですが、未来があるような内容なんです。ちゃんと再生に向かおうとしている。だから明るいし、共感出来たのですが、この”ザ・ロード”は、再生していく要素が見えないんです。人間としてのプライドを捨てずに一生懸命生きるのは良いと思うのですけど、再生の為に、何か欲しかった・・・。ま、全く無い訳ではなかったけど、地球が壊れていくんじゃ、どうしようもないもんね。そうそう、「ザ・ロード」にも、イーライさんが出てきましたよ。神も朽ちて行く地球、という感じの人物でした。
地球がどうして荒廃してしまったのかの説明などは無いのですが、もし、こういう事態に陥ったら、早く死んだもん勝ちっていう気がしてなりません。キリスト教では、自殺は許されないのだと思うけど、でも、人間として生きられない状況なら、神様も許してくれるんじゃないのかなぁ。人間が共食いするくらいなら、死んだ方がましだと思うんです。
ウィゴ様演じる父親が、妻(シャーリーズ・セロン)の事を、事あるごとに思い出して、ウジウジするんです。言葉で書くと、”寄せては還す妻への思い”みたいな感じでカッコいいけど、こんな状態で、守るべき子供もいるのに、ウジウジ、メソメソしてたら、守っていけないぞっ!って思ったのは私だけ?よっぽど妻の方が潔かったよなぁ。
この映画、うう~ん、ウィゴ様だし、お奨めしたいけど、ちょっとお奨め出来ないかも。観ていて、辛いんです。救いが無いから・・・。内容にもっと波があれば、楽しみもあるんだけどねぇ。でも、荒廃した地球と救われない人間を、一応、確認してみたいというか、そうなったときの参考として観に行くなら良いかもしれません。