【ドゥーラについて in Spain】 | タブーから自由になって、より健康で豊かな月経ライフを! ~バスク在住ドゥーラ 寺本裕美子~

タブーから自由になって、より健康で豊かな月経ライフを! ~バスク在住ドゥーラ 寺本裕美子~

月経、妊娠・出産、育児や更年期。心とカラダの健康について、女性のエンパワメントのためのブログです。

こんにちは!
スペインバスク在住のドゥーラ、ユミコです。
 
いよいよ年末、今年はパンデミックの影響でいつもの過ごし方とは違いますね。
スペインは夜中の1時には帰宅すること、食事会など集まるのも人数制限があるため、
いつも20人くらい集まる家族は調整が大変です。
 
どんな環境でも、皆さまが良い年末年始を迎えることができますように!!
 
 
さて、

先日、育成の経過やプログラムの内容など、初心に振り返ることが出来るような、

ありがたいご質問を受けたので、こちら投稿したいと思います。

 

ドゥーラとは何なのか、各国の違いや私の経緯を含め、関心がありましたらお読みください!

 

 

 

私は13年前に長男を産んだ後、すでに暮らしていたスペインで

ドゥーラの育成を受けたのですが、ドゥーラは医療者ではないこともあり、

 

立ち位置が曖昧だったり、継続的なエモーショナルサポートの大切さが

今よりもっと過小評価されていた時代だった当時は、お産のプロである

助産師連合から敵視されたり、病院(分娩室見学や検診の付き添い、

お産立ち会いなど)に入れてくれないこともありました。

 

ザ・魔女狩り的SNSを通して攻撃的な出来事もあり、

わかりやすくてそれはそれでいいのですが、

結果的にはこれがきっかけで、女性へのサポートは良くなりました。

 

 

 

ドゥーラ育成はちゃんと合法なものとして行われてはいますが、

世界で共通する明確な育成の規則というものはないようです。

 

国によって文化背景、社会的価値観や信条にまつわるニーズが

違うことも理由かと思います。

 

スペインは、国内のドゥーラ連合で定めたドゥーラの規則や育成基準、

ネットワークのほか、自治州単位の連合のそれもあります。

(詳しくは政治に絡むので省きます。)

 

 

 「助産師はじめ医療スタッフと協力し、干渉することなく

補完的かつ継続的な支援を提供するのがドゥーラの役目」と明言されています。

 

 

育成は通常5か月から1年(だいたい週に3、4時間構成のプログラム)かけて行われますが、

まずはじめに、

 

「自分自身の体験を理解し受け入れること」

 

からスタートする構成が多いです。

 

 

これは、後々の気付きはもちろんあっても、

寄り添うこととなったお母さんや家族に、自分の体験を映し出したり、

いらない感情移入を防ぐなど、「ジャッジしない」ことが必須である

ドゥーラにとって、一番の修行となるなと感じています。


 

私がドゥーラになろうと思った当時の主な動機は、

 

「女性の身体、妊娠・出産・産後に関して情報の権利が十分に

満たされていない当時の仕組みに納得がいかなかったこと」

 

「自分自身の出産で得た喜びや学びを、何らかの形で誰かと共有したい、

女性が主人公である出産が増えてほしい」

との願いからでした。

 

 

ドゥーラ連合の育成の後、悩んだ結果次に選んだ育成コースは、

教育学者・心理分析学専門家でもあるドゥーラ、社会人類学者、

産婦人科女医の3人の講師(女性2名・男性1名)によるもので、

 

 

ドゥーラを目指す方の他、

医療、社会福祉、教育、母子支援などの分野に携わるソーシャルワーカーや

助産師、セラピスト、心理セラピスト、小児看護師、教育者、

 

母乳コンサルタント、理学療法士、産婦人科医、ドゥーラなどが参加した、

非常に多様性ある、非常に濃厚な刺激あるプログラムでした。

 

個人的な関心で、自身の体験をより理解できる知識を得たい方、

より充実した育児をしたい方も一期目に参加されました。

 

 

このプログラムを選んだのは、

周産期だけに焦点を当てたものではなく、 グローバルな視点で

まさに多角的かつ横断的なサポート網を目指す講師達のメッセージに惹かれたからです。

そして、社会人類学の視点は本当に学びになりました!

 

プログラムをざっと説明すると、(長いです)

 1期目:自身の体験の振り返り、癒し、理解と、

女性性・男性性についてや妊娠・出産・産後のサポートを学ぶ内容

 

 2期目:テーマ別(フィジカル・エモーショナル・ソーシャル/行政・医療施設・教育)に

多角的支援を学ぶ、実演実習含めた内容 (1期、2期それぞれ4か月半)

 

【1期目】

1.)私たちのオリジン ・男女の思春期と成熟期へのアクセス ・女性性の歴史

・性プロセスとそれに寄り添う専門職の間の溝と問題点

 

2.)妊娠とは

・現代の女性と男性の妊娠へ至る顕在/潜在的動機の分析、パートナー関係の心理

・妊娠を理解する( 個人やゲスト体験談シェア)

 

3.)出産 ・出産をめぐる社会的変化

・生理的、医療的、社会心理的視点から理解する出産とケア

・医療管理について/医療処置とそのエビデンス、必要とされる条件

・出産中に起こる社会的心理的変化

・WHO推奨や助産師連盟ポリシーと実践、各自治州の周産期リポートと

医療施設プロトコルの比較、産婦人科学会推奨とポリシー、

厚生省の出産におけるストラテジー  (量が多すぎて死ぬかと思った)

・出産中の人間関係とその心理

・出産体験談 ・自分の誕生

 

4.)出産直後と産後の生活

・出産後の関係性(女性とパートナー、赤ちゃん、医療)

・産後の家族生活 ・産後の母親の心理的精神的症状

(精神病、産後うつ、マタニティブルース)

・The motherhood constellation

・新生児の発達

・パートナーの役割 ・産後の性生活


 

【2期目】

 1.)文化的、社会的、医療的要素

・性交渉、妊娠、出産、育児の背景にある文化的、社会的、

医療的要素への批判と理解

・社会的変化(医療利用者と医療施設、消費社会と技術進歩による

社会的行動、家族関係、プライベート)

・母乳育児にまつわる医療関与のメリットとデメリット

 

2.)心理的、教育的要素 ・女性的役割と男性的役割

・家庭内の心理 ・支える側の役目

 

3.)プライベートなプロセスの寄り添い方 (中絶、流産、死産)

 

4.)グループでの寄り添い方 ・集団心理とその分析

・グループサポートのプロジェクト作成

 

5.)実演と実習

 

 

 

このほか、多くのドゥーラさんと同じように、

補完的にドゥーラ連合による集中コースやワクチンについて、

赤ちゃん・幼児の発達科学、リフレクソロジー、

ベビーマッサージ、母乳コンサルタント、月経教育の講座などを

受けてきました。

 

 

 

ドゥーラの一人一人が、

自分を分析したり得意分野を明確にしたもとで、

相手の人柄や気持ち、その背景を尊重する。

 

ただそこに「いること」も大事だということ。

女性が望む時期に、女性が望む形でサポートすること。

 

頼まれないアドバイスはしないこと。

ジャッジは決してしないこと。

 

色々と求められることがあります。

 

 

 

助産院と言う施設はほぼなく、

自宅での分娩も少ないスペインでは、

始めは自宅出産を望んでも、保険でカバーはされず、30万円ほどの

費用は経済的に自己負担できない場合が多かったり、

(日本のような出産一時金制度はありません)

 

病院の方が安全だということで諦める方も多いのです。

付き添い人は一人となると同行するのはパートナー。

 

なので、個人的な経験は、妊娠初・中期にサポートをはじめ、

ちょうど居合わせることはほぼないですが、

産気づいたころに電話で連絡をもらい、陣痛期に付き添ったり、

様子を伺ったりお話したりの、電話越しのサポートの方が多いです。

分娩室の外で待つこともあります。

お父さんと交代して入ることはできても、一緒に付き添うのが難しい。

 

 

だから、産前産後での個人やグループでの

サポートが多いのが私の現実ですが、

安心できる場で信頼関係を築き、

「いってらっしゃい!」「いってきます!」 って感じです。

 

自分が提供できることや、知っているといいかもしれないね、ということを

伝えて、相手が求める順番やリズムで伝えていく。

必要あらば一緒に調べる。とことん話を聞く。

 

そう言う形で、医療施設で助産師さんによる教室と補完的に

情報が得られて、自分で選べるように促すよう努めています。

 

 

産前に、パートナーにも参加してもらい、色んなお産を動画で見たり

ゲストの話を聴いたり、

本人の役目を自覚してもらうようなワークをしたり、

 

イメージトレーニング(赤ちゃんがどうやって生まれるのか)、

分娩に適した環境づくりや医療スタッフとのコミュニケーション術(笑)、

分娩中にできることのヒントについて…

 

施設の見学、

医療処置のメリットデメリット、

バースプラン、

お産の生理的な仕組みについて…

 

たくさんありますよね。

 

 

 

産後は呼ばれたら病院に駆けつけたり(早く会いたい 笑)、

自宅訪問したり、授乳のサポート、

お産を振り返りたいと思う頃には儀式をしたり、

夫婦関係、上の子との関係について相談されたり…

 

出産後は色々なことが変化したり「崩れたり」することがあります。

悪い意味ではありませんよ。なんというか、「生まれ変わる」というか。

そのプロセスを共にできるのは、人として学びになると

いつも思います。

 

 

…って偉そうに書いてしまいましたが、

まだまだのわたしです!!!

 

 

お読みいただきありがとうございました!

 

 

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