私と親友の間で定期的に開催される、KKK(クソ下らなすぎる会談)
グダグダと続く長電話は、今迄最長三時間。
今回遂に記録の更新に成功し、三時間半の長丁場となった。
KKKが終了する理由、トイレに行きたくなった、スマホを持つ手がダルい、お腹空いた、喋りすぎて喉カラカラ等
いつも、毒にも薬にもならぬ無駄話に終始し、KKK(クソ下らなすぎる会談)の名に恥じぬ会談を執り行って来た私達。
今回、珍しく真面目にシリアスに、時には涙ぐみながら熱く語り合う事となった。
へっぽこ母
「常々愚痴って来たマダオの件で、私は今じょーちょふあんてーなの。
漢字の情緒不安定ほどシリアスではなく、わりかし元気だから、ちょっとアホっぽい感じも醸し出す、平仮名のじょーちょふあんてー」
親友
「拘りは、よーく分かった。続きをどうぞ」
「今迄絶対に嘘だろ、と気付いてはいたものの、面倒臭くて気付かない振りをしてきたが、遂に我慢出来なくてこっそり真相を突き止めたら、思っていた通りでした。
知ってしまった今「仕事で疲れたぜ」と溜息をつきながら帰宅し、休日はパジャマでずっと部屋に引き篭って寝ているか、スマホゲームをしている姿に、イライラとげんなりが益々募る様になったの。
四月から、休日にマダオが出掛けたのは幼男子の入学式の一日のみ。
子供と野球していたり、遊ばせながら自転車の修理をしているパパ達を見ると、もう悲しくなっちゃって。
以前、幼男子の自転車の組み立てをお願いした時も、無茶苦茶文句言いながら、イライラしながら舌打ちしながらやられて、側で幼男子がしょんぼり涙ぐんでいた事を思い出したら、こいつ好き勝手やって、自分は一切家族に合わせたくないのだな、ならば一生独身でいろよ、よくもいけしゃあしゃあと私と息子に嘘を付いて、自分勝手に振る舞っているな、つくづく私達を馬鹿にしているなあ、と。
自分の息子に嘘がバレていて「マダオ、本当に最低じゃん」と吐き捨てられている事にも気付かず、好き勝手やっている姿に殺意を覚える。
現在、私は嘘に気付かぬ振りをしたまま、仮面を貼り付けてバカな妻を演じております」
「うわー、最低。
モダオが、ぶっ続き徹夜で14時間スマホゲームをやって、その後疲れたアピールをされて大喧嘩したクソな思い出を思い出したわ。
へっぽこの場合、関西に幼男子君の大学受験に合わせて帰るでしょ。
要は後六年我慢するか、その前に決断を下すか、やなあ。
因みに、お金の事を気にしているけれど、それは絶対に大丈夫。あなたよりもお金が無い人も何とかなっているし、高校卒業までたった六年の話やで。
それより一番大事なのは、幼男子君のメンタルよ。私は、モダオと最後喧嘩が絶えなくて、娘の様子がちょっとおかしくなったの。
心が壊れたら一番大変だ、貧乏は何とかなる、と決断したの。
自分の父親が大嫌いで、子供が離れたい、と言っていて、母親がいつまでも別れないと、その内母親にも「自分の気持ちを蔑ろにする」と矛先が向くと思うよ。
お金の事を考えたら、後六年我慢した方が良いとは思う。
でも、もう自分の気持ちや子供がもう無理なら、離れたら本当にすっきりするよ。
お金は、絶対何とかなるよ。
あんた、幼男子君の特性に寄り添って、療育も頑張って、最適な環境を整えて、本当に一人でよくやって来たよ。
へっぽこがお母さんでなかったら、幼男子君はこんなに落ち着かなかっただろうなあ、と思っているもの。良いお母さんだよ。
だから、幼男子君の様子に気を配ってあげて。
お金よりも何よりも、メンタルが大事。
後は、あんたが覚悟を決めるだけやと思うで。
あんたに足りないのは、覚悟。
先ずはしっかり本を読んで、知識をつけなよ。
知っておいたら、もやもやも晴れるから」
ずるい。ずるいなあ。
いつもは、本当に好き勝手言っている癖に、私が弱っている時は、いつだって彼女は決まって、その時私が一番欲しい言葉をくれるんだ。
何気なく、さりげなく。
私の中高六年間は、彼女に巡り会えただけでも、きっと価値があったんだ。
ねえ、幼男子君。たった一人で良いからさ。
君が、ずっと一生付き合っていける友達を六年間の間に見つけてごらん。
自分のみっともない所も情けない所も曝け出せて、それでも「こいつはこんな奴だ」と笑いながら受け入れてくれる友達。
自分も、友達の駄目な所も情けない所も全部知っていて、それでもやっぱり大好きな友達。
多分、お勉強が出来る事よりも何よりも、大事な事なのだ、と母は強く思うのです。