WSJ「FRBは外国中央銀行と

為替(foreign-exchange,환율)スワップ拡張を」

https://shinjukuacc.com/20200312-03/

 

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WSJ "FRB는 외국 중앙 은행과 통화 스왑 연장을"2

WSJ "FRB는 외국 중앙 은행과 통화 스왑 연장을"

WSJ「FRBは外国中央銀行と為替スワップ拡張を」2

WSJ「FRBは外国中央銀行と為替スワップ拡張を」

 

韓国がEUに8兆円(7582憶USドル,92大韓民国ウォン)

の通過スワップの申し入れ

2018/03/18

 

アメリカ紙「スワップは必要だ!」露骨な工作の裏側

2020/03/13

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米国メディアWSJに今週、

「米国FRBは中国、韓国、香港、オーストラリア、台湾

などとの為替(foreign-exchange,환율)スワップを締結すべきだ」

と主張しました。

これについて状況を調べてみると、

たしかに米国は2008年の金融危機の際には14ヵ国・地域の中央銀行

とのあいだでドル資金流動性供給スワップを締結しているの

ですが、現在、米国はこのスワップ協定を

 

連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)と

 

欧州中央銀行(European Central Bank, ECB),

 

英国イングランド銀行(Bank of England),

 

スイス国立銀行 (Swiss National Bank),

 

カナダ銀行(Bank of Canada, BOC

 

日本銀行(Bank of Japan

 

の5中央銀行に限定してしまっています。

もっとも、オーストラリアや台湾はともかく、

米国本FRBが中国、香港、韓国との間で

為替(foreign-exchange,환율)スワップを締結するのかどうかは疑問ですが…。

 

WSJ「為替(foreign-exchange,환율)スワップ再開を

 

米国メディアのウォール・ストリート・ジャーナル

(WSJ)に現地時間月曜日、こんな社説が掲載されていました。

 

The Fed’s Market Emollients WSJより

(米国夏時間2020/03/09()19:14

=日本時間2020/03/10()08:14付)

 

emollients”とは見慣れない単語ですが、辞書で調べると

「膏薬」、「緩和剤」などの訳語が出てきます。

敢えて意訳すると、

「(米国の中央銀行である)FRBは市場の混乱を鎮静化することができる」

といった主張でしょう。

 

ごく簡単にいえば、WSJはFRBに対し、

2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻に際して外国の通貨当局と締結した

「金融市場にドル資金を供給するための仕組み」、

つまり「為替환율スワップ」と呼ばれる協定を復活させてはどうか、

と提案しているのです。

 

WSJの社説によれば、

米国内の金利は実効FF金利が1.09%、

10年利回りが0.60%を割り込んでいるなか、

ニューヨーク連銀が月曜日、翌日物レポを1000億ドルから1500億ドルに、

2週間レポを200億ドルから450億ドルに増やしたことで、

米国内の流動性には不安はないと指摘。

 

しかし、外国に対するドル資金供給の仕組みが不十分であるとして、

「為替(foreign-exchange,환율)スワップ」

を外国中央銀行と結んではどうか、と述べます。

該当するくだりは、次のとおりです。

 

The Fed currently has swap arrangements with the central banks of Canada,U.K., European Union, Switzerland and Japan.

It could extend the se swap lines to other countries with markets in tumult like Australia,South Korea, China, Taiwan and Hong Kong.

Foreign central banks should also be encouraged to supply dollars to their banks if needed.”

 

意訳すると、次のとおりです。

 

FRBは現在、カナダ、英国、欧州連合(EU)、スイス、日本の

各中央銀行とのあいだでスワップ協定を結んでいる。

しかし、これらのスワップ協定は市場が動揺している

オーストラリア、韓国、中国、台湾、香港などに対しても拡張されるべきだ。

外国中央銀行はまた、必要に応じてドル資金を民間銀行に供給すべきだ

 

米国の為替(foreign-exchange,환율)スワップ史

 

この点、FRBのウェブサイト

Credit and Liquidity Programs and the Balance Sheet

によると、米FRBは200712月以降、次の14の外国中央銀行と締結した

為替(foreign-exchange,환율)スワップ

(“dollar liquidity swap lines” )を締結したものの、

それらは2010年2月に終了したそうです。

 

豪州準備銀行(the Reserve Bank of Australia, RBA)

ブラジル中央銀行(the Banco Central do Brasil)

カナダ銀行(the Bank of Canada, BOC)

デンマーク国民銀行(Danmarks Nationalbank)

イングランド銀行(the Bank of England, BOE)

欧州中央銀行(the European Central Bank, ECB)

日本銀行(the Bank of Japan, BOJ)

韓国銀行(the Bank of Korea)

メキシコ銀行(the Banco de Mexico)

ニュージーランド準備銀行(the Reserve Bank of New Zealand, RBNZ)

ノルウェー銀行(Norges Bank)

シンガポール通貨庁(the Monetary Authority of Singapore, MAS)

スウェーデン・リクス銀行(Sveriges Riksbank)

スイス国民銀行(the Swiss National Bank, SNB)

 

また、FRBが現在、

ほかの主要5中央銀行とのあいだで

締結している為替(foreign-exchange,환율)スワップは、

期間、金額ともに無制限ではあります

が、「民間銀行に相手国通貨を供給するための

為替(foreign-exchange,환율)スワップ協定」

であり、

「ほかの中央銀行に対して為替介入などの原資を提供するための通貨スワップ」

ではありません。

 

日本米国英国欧州スイスカナダの6中央銀行や日本の財務省

などの通貨当局が

為替(foreign-exchange,환율)スワップ、通貨スワップを締結している相手国は、

欧州の場合はユーロ圏に近接する諸国、

米国の場合はNAFTAの相手国、

日本の場合はアジア諸国、

といった具合に個性が出ているようです(図表)。

 

図表 日本米国英国欧州スイスカナダ6ヵ国・地域がスワップを締結する相手

 

主体

為替(foreign-exchange,환율)スワップ

通貨スワップ

欧州中央銀行(ECB)

日本,米国,英国,スイス,カナダ

デンマーク,ラトビア,ポーランド,スウェーデン,中国

イングランド銀行(BOE)

日本,米国,欧州,スイス,カナダ

中国

米国FRB

日本,米国,欧州,英国,スイス,カナダ

メキシコ,カナダ

カナダ銀行(BOC)

日本,米国,英国,欧州,スイス+韓国

スイス銀行

日本,米国,英国,欧州,カナダ

中国

日本銀行(BOJ)

米国,英国,欧州,スイス,カナダ+豪州,中国,シンガポール

日本国財務省

インド,タイ,インドネシア,フィリピン,シンガポール

 

(【出所】著者作成)

 

米国が頑なに日本,米国,欧州,英国,スイス,カナダ、メキシコ

以外の諸国とスワップを締結しない理由は、よくわかりません

が、WSJが社説「復活させるべき」と主張しているのは、

文脈から判断して、

おそらくは為替(foreign-exchange,환율)スワップであろうと思います。

 

このうち豪州や台湾とのスワップについて

復活(あるいは新規締結)することは非常に望ましいと思います。

なぜなら、通貨スワップ・為替(foreign-exchange,환율)スワップには

金融面での協力という視点に加え、

金融市場や通貨市場の安全弁という役割もあるからです。

 

なぜか韓国メディアが狂喜乱舞

 

さて、このWSJの社説を見て歓喜したメディアがあったようです。

 

WSJclaimsFirstNeedsCurrencySwapWithS-KoreaEtc.2

미국 월가가 먼저 주장 "한국 등과 통화 스와프 필요"2

美 월가서 먼저 꺼냈다…"한국등과 통화스와프 필요"

米国ウォール街が先に主張「韓国などと通貨スワップ必要」2

2020.03.1207:50付 中央日報(JoongAng Ilbo)日本語版より)

 

韓国メディア『中央日報(JoongAng Ilbo)』(日本語版)は嬉々として、

「『韓国などと通貨スワップが必要だ』と米国ウォール街が先に主張してきた」

と報じているようなのです。

 

もっとも、

米国は欧州連合(EU)、英国、日本、カナダ、スイス

など5カ国・地域とだけ通貨スワップ契約を締結している

 

とあるのは、当然ですが通貨スワップではなく

為替(exchanging,환율)スワップの間違いです。

不思議なことに、中央日報(JoongAng Ilbo)を含めた

韓国メディアの報道を眺めていると、

常に通貨スワップと為替(foreign-exchange,환율)スワップを混同しています。

両者の性質が異なるという点について、

彼らがなぜ、頑なに無視するのかは理解できません。

 

そのうえで中央日報(JoongAng Ilbo)は、

WSJが「現地時間10日」(※電子版だと現地時間9日)、

 

10年ぶりに発生した金融市場パニックを収拾するために

FRBが韓国、中国、台湾、香港、オーストラリア

などの中央銀行と通貨スワップ契約を締結すべきだと主張した

 

とあるのですが、WSJの原文は“foreign-exchange swap lines

つまり「為替(exchanging,환율)スワップ」と正しく表記されています。