ついに「中国韓国同盟」を唱え始めた

文在寅(Moon Jae-in,문재인)

トランプ大統領は「韓国は北朝鮮側の国」と分類

https://www.dailyshincho.jp/article/2019/12131600/

鈴置高史(Takabu-mi Suzu-oki

 

TrumpClasifiesS-KoreaAsCountryOnN-KoreaCinaSide3

TrumpClasifiesS-KoreaAsCountryOnN-KoreaCinaSide2

TrumpClasifiesS-KoreaAsCountryOnN-KoreaCinaSide1

트럼프 대통령 "한국은 북한의 국가 '로 분류3

트럼프 대통령 "한국은 북한의 국가 '로 분류2

트럼프 대통령 "한국은 북한의 국가 '로 분류

トランプ大統領「韓国は北朝鮮側の国」と分類 3

トランプ大統領「韓国は北朝鮮側の国」と分類 2

トランプ大統領「韓国は北朝鮮側の国」と分類

 

文在寅(Moon Jae-in,문재인)大統領の特別補佐官が

「中国韓国同盟」を公然と語った。

トランプ(Donald Trump)大統領は

北朝鮮の非核化包囲網から韓国を外した。

 

米国韓国同盟は断末魔だ。

韓国観察者の鈴置高史(Takabu-mi Suzu-oki)氏が実況する。

米国韓国が語り始めた「離婚話」

 

鈴置(Suzu-oki):

米国韓国同盟の消滅に備える時が来ました。

双方の政府が「離婚話」を語り始めたのです。

 

 文在寅(Moon Jae-in,문재인)大統領に

代わってその本音を語ると韓国で見なされる

文正仁(Chung-in Moon,문정인)

大統領統一外交安全保障特別補佐官が

124日、公開の席で中国韓国同盟に言及しました。

 

「韓国は米国との同盟を打ち切って、中国と同盟を結ぶつもりか」

と米国で注目を集めました。

もちろん、「韓国の裏切り」に米政府は不快感を隠していません。

 

 この発言は韓国の国立外交院がソウルで開いたセミナーで、

米国中国韓国の外交専門家、計3人が

北東アジアの安全保障を議論する最中で飛び出しました。

 

 中央日報(JoongAng Ilbo)系のテレビ局、JTBC

〈ファクト・チェック〉文正仁(Chung-in Moon,문정인)

特別補佐官、中国に『核の傘』を要請したのか?

125日、韓国語)によると、状況は以下でした。

 

中国の核の傘に入る

 司会役の文正仁(Chung-in Moon,문정인)特別補佐官

はカプチャン(Charles Kupchan)ジョージタウン大学教授に

「最近、(在韓国)米軍の撤収可能性がこと挙げされている。どう見るか」

と聞きました。

 

 カプチャン教授は「その可能性は低い。あるとしても

(北朝鮮との)平和協定締結の後であろう。

締結して即、撤収すれば米国の誤りとなる」

と答えました。

 

 すると文正仁(Chung-in Moon,문정인)特別補佐官は、

今度は中国の専門家に対し「北朝鮮が非核化する前に米軍が撤収したら」

との条件で、以下のように聞いたのです。

 

 米国務省の所管する放送局、VOAVoice of America)の

波紋呼んだ『中国の核の傘』の質問…『北朝鮮と中国の挟撃招く危険な概念』

127日、韓国語と英語)から引用します。

発言は英語でなされています。

 

・Then it is pretty likely that the Koreans ‘OK, you leave.’

Can China intervene and persuade North Korea and provide South Korea

with nuclear umbrella?

(そうなれば、韓国人は『いいとも、出て行け』と言うことになるだろう。

中国は北朝鮮を説得したうえで、韓国に核の傘を提供しうるか?)

出て行きたいなら出て行け

 

――中国が韓国に核の傘を提供する

……つまり中国韓国同盟ですね

 

鈴置(Suzu-oki):

その通りです。

核の傘を提供する

――究極兵器で守ってやると約束する以上、同盟を結ぶことが前提です。

要は、韓国大統領の特別補佐官が、公開の席で

「韓国は中国と同盟する手もあるのだぞ」と米国に言い放ったのです。

 

 米国は韓国に対し在韓米軍の駐留経費を引き上げるよう要求しています。

米メディア報道によれば5倍に増やすよう求めています。

 

 さらに「それを呑まないなら、在韓米軍を撤収するぞ」と脅しています

(「GSOMIAbutUSpredictKoreaWillContinueAproachChina2

GSOMIA 유지하지만 미국 "한국은 앞으로도 중국에 접근"2

GSOMIA維持しかし米国「韓国は今後も中国に接近」2

参照)。

 

 それに対し文正仁(Chung-in Moon,문정인)特別補佐官は

「撤収したいならしろ」と叫んだ。

「売り言葉に買い言葉」です。

そのうえ「韓国は中国と同盟するから困らない」とまで踏み込んだのです。

 

 

米国を聴衆に中国韓国が合唱

――かっとなっての発言でしょうか

 

鈴置(Suzu-oki):

思い付きの発言とは思えません。

「中国韓国同盟」という話題を振られた中国の専門家は

清華大学・現代国際関係研究所の閻学通(Yan Xue-tong)院長です。

 

 この人こそは、「米国とだけでなく、中国とも同盟を結べ」

と韓国に要求してきた人なのです。

もちろん、個人の発想ではありません。

米国韓国同盟を弱体化する、

可能なら米国韓国同盟を消滅させるのが中国共産党の目標です。

 

 2014424日、閻学通(Yan Xue-tong)院長は朝鮮日報の記者に

10年後の世界は中国・米国の2極構造となる。

韓国が米国韓国同盟だけを維持しては不利になる。

中国とも同盟関係を確立することが中国韓国両国の利益だ」

と語っています。

 

 同紙の

10年後の世界は米国・中国2極構造…韓国は中国とも同盟結ぶのが有利

2014425日、韓国語版)が報じました。

 

 今回も、閻学通(Yan Xue-tong)院長は

文正仁(Chung-in Moon,문정인)特別補佐官の問いに対し

「そうですね。

この地域の地政学的状況をそのように造成するのはとても新しい考え方です」

と答えています。

 

「中国韓国同盟の提案」に、

すかさず「やぶさかではない」と声を合わせたわけです。

そもそもこのセミナーが企画されたのも、

中国韓国合唱を米国の専門家に聞かせるのが目的だったのかもしれません。

 

 前出JTBC

「〈ファクト・チェック〉文正仁(Chung-in Moon,문정인)・

特別補佐官、中国に『核の傘』を要請したのか?」

で閻学通(Yan Xue-tong)院長の発言を読めます。

 

 

VOAで反撃した米国政府

――米国は「中国韓国合唱」に反撃しましたか

 

鈴置(Suzu-oki):

米国政府はノーコメントを通しています。

下手に反応すると「中国韓国の挑発に慌てふためいた」

と受け止められかねないからでしょう。

ただ、メディアを通じて牽制に乗り出しました。

 

 先ほど引用した、VOA

「波紋呼んだ『中国の核の傘』の質問…『北朝鮮と中国の挟撃招く危険な概念』」

127日、韓国語と英語)がそれです。

 

 VOAとしては異様に長い記事で、米国の専門家を総動員し

「中国韓国同盟」がいかにばかばかしい発想かを執拗に強調しています。

 

 記事の見出しとなった「中国北朝鮮による挟撃」を語ったのは

米国・民主主義守護財団のマクスウェル(David Maxwell)上級研究員。

発言は以下です。

 

・If there are no US troops there and there's no more alliance with the United States, China and North Korea form what is like a pincer movement,

you know, one from the north and one from the west and, they really could dominate.

 

・If US forces leave the peninsula and China gives a security guarantee,

what I expect to happen is China will support North Korea's subversive efforts and to try to undermine South Korea,

and really to make the South Korean government collapse.

 

「米軍が撤収し米国韓国同盟がなくなれば、

中国北朝鮮両軍が韓国を挟み撃ちにして北と西から攻撃する」、

 

「中国が韓国の安全保障に責任を持つようになれば、

中国は北朝鮮を助けて韓国を壊滅する。韓国政府も崩壊する」

と、脅しあげたのです。

 

 

――本当に「中国北朝鮮が韓国を挟撃」

するのでしょうか

 

鈴置(Suzu-oki):

普通の韓国人はそうは思いません。

韓国が米国から離れ、中国の懐に転がりこめば中国は大喜びする。

中国は北朝鮮以上に韓国を大事にするから、

北が南を威嚇しようものなら叱ってくれる

――と考える人がほとんどでしょう。

 

新参者の韓国は大事にされない

――米国人と韓国人の認識の差は大きい……。

 

鈴置(Suzu-oki):

米国人は「ともに共産圏に属する中国北朝鮮の絆は深い。

中国と韓国が同盟関係を結んでも、新参の韓国は仲間外れにされる」

と予想するようです。

 

 VOAのこの記事も、国防総省のコーブ(Lawrence Korb)元次官補の

「もし朝鮮半島で何か起きたとして、

中国人が共産国家の北朝鮮に核兵器を使うだろうか?」

との発言を紹介しています。

 

 さらに、ブルッキングス研究所のオハンロン(Michael O’Hanlon)上級研究員の「核の傘は『モノ』ではない。

相互の責任と密接な外交関係を長年、積み重ねて生まれる義務なのだ」

との談話も引用しています。

 

 こうした意見を読むと、

米国韓国の世界観の違いに驚かざるを得ません。

 

 中国北朝鮮は共産主義というイデオロギーによって団結しているのではありません。

米国と対立してきた北朝鮮にとって、中国は強力な後ろ盾です。

中国にとって、北朝鮮は米国に対する防波堤です。

地政学的に相互を必要としているに過ぎません。

 

 そこに、中国をにらむ米軍基地が置かれていた韓国が中国側に寝返って来るのです。

そんな「可愛い」韓国を核で脅す北朝鮮に、中国が甘い顔をするとは考えにくい。

 

 確かに、中国北朝鮮の軍事同盟は1961年に結ばれ、60年近くの歴史を持ちます。

ただ、決して両国は良好な関係にありません。

川ひとつで隣り合い、しばしば干渉して来る中国に、北朝鮮は警戒を緩めません。

 

 中国も「言うことを聞かない北朝鮮」に頭を痛めています。

一方、韓国は米国と同盟を結ぶ今でさえ、中国の命令を実によく聞きます。

 

だから韓国人は

「同盟さえ結べば中国は、北朝鮮よりも大事にしてくれる」

と信じているのです。