このブログの読者の皆さんなら、かつて「国民の妹」と呼ばれ
今でも広い年齢層の韓国人から愛されている歌手
IUをご存知なのではないでしょうか。
抜群の歌唱力と可憐なルックスで日本でも人気の高いIU、
自分の持ち歌だけではなく、70年代80年代のいわゆる「懐メロ」のカバーをよくしていることでも有名です。
さて、そのIUが最近発表したのがこちら
80年代に3人組アイドルグループ「ソバンチャ(消防車)」が歌って大ヒットした
「オジェッパム イヤギ(어젯밤 이야기=昨晩の話)」
で、ネットでこの曲を聞いた人たちの反応を見てみると興味深い特徴があることがわかりました。
まず韓国人
「おお~、IUがソバンチャをカバーしたのかあ(^∇^)」
続いて若い日本人
「へ~、IU新曲出したんだあ(^∇^)」
そして…若くない日本人
「えっ???????????????????これ…オジャパメン???????( ̄□ ̄;)!!」
さて、皆さんはどうだったでしょうか…。
そう…
僕を含む若くない日本人にとって
コレはどうしてもコレやろ!
オジャパメン! ナネガミオジョソ!!
そう、1996年当時「ダウンタウンのごっつええ感じ」でエンディングで流れていた
このメロディ!
このダンス!そして
この謎の歌詞!
コレが実は韓国アイドルの曲を空耳でカバーしたものだったとは…。
ある意味日本に初めて上陸した「元祖K-POP」と言えるのではないでしょうか。
しかし、僕はもちろん当時オジャパメンを聞いていた若くない日本人のほとんどは
やたらテンションの高いメロディにデタラメの歌詞を乗っけてうたっているだけの
単なるヘンテコソングだと認識していたというのが実際のところではないでしょうか?
どうですか?全国の若くない日本人の皆さん?僕はそうでした!
もちろん今のようにソーシャルメディアが発達する前の出来事。
テレビや新聞や雑誌などで報道されない情報は、
一般人にとっては存在しないも同然だった時代だということも一因でしょう。
しかし、本当に大きな問題はそこではないと思います。
つまり当時の日本人はこの曲を聞いて
「え?これ韓国語なんじゃね?」とはならなかったってことです。
もし中国語の歌を空耳で歌ったとしたら
「これ中国語では?」とピーンと来た人が多かったはず。
でも韓国語はそうじゃなかった。
つまり、20年前の日本人は
韓国語がどんな感じの響きを持つ言語なのか全く知らなかった
ということになります。
コレ、考えてみればすごいことです。
たった20年前です。
そしてすぐそこにある隣国です。
国交もちゃんとあったし、日本が韓国大衆文化を規制してたわけでもない。
(逆に韓国では日本の大衆文化は1998年まで規制されていました)
言うなれば鍵が開きっぱなしになっている隣のお店について
ほとんど誰も関心をしめしていなかったということです。
(ちょっと想像力を働かせて、20年前に韓国のコメディアンが日本のアイドルの歌を面白おかしく耳コピして歌ったとしたら…だれも日本語と気づかないなんてことが起きたでしょうか?きっとすぐに「イルボンの歌を放送するなんてケシカラン!」という声が上がったでしょう)
日韓の関係を語る時によく「近くて遠い国」なんて言葉が使われますが、
若くない日本人がちょっとは若かったころ、韓国という国は
「近いけどほぼ無い国」だったと言っても過言ではないのかもしれません。
そんなほんのちょっと昔の歴史を踏まえて現状を見ると
この20年で、韓国はあらゆる意味において日本人の意識の中でめちゃくちゃ存在感を増したんだなあということを感じずにはいられません。
ということで、最後は元祖オジャパメン、ソバンチャの原曲を聞きながらお別れです。