韓国人と「家族」になるということ | ゆうきの韓国スケッチブログ

ゆうきの韓国スケッチブログ

ソウルに住んで16年目の日韓夫婦。韓国の日常をつれづれなるままに文字や写真やイラストでスケッチしていきます。

今日は韓国ではハングルの日、

長かった10連休もいよいよ終わろうとしています。(ノ_-。)

 

さて、秋夕に合わせて嫁はんの実家のある釜山に里帰りしてきたことは

前回の記事でも書いたとおりなのですが、

今回ひさしぶりに釜山に行ってきて、自分の中でちょっと感じるところがあったので

今日はそのことを書いてみようかと思います。

 

 

嫁はんの両親はすでに他界しているのですが、

釜山には兄弟をはじめ大勢の親戚が今も暮らしています。

 

その中に「ザ・釜山サナイ(男児)」という言葉がピッタリのお兄さんがいます。

釜山の男性は韓国人の中でも情に厚く喧嘩っ早い熱血漢のイメージを持たれていますが

まさにそんな釜山サナイを代表するようなお兄さんです。

 

話す言葉ももちろんバリバリの釜山弁。

しかもやたらと声がデカいので、普通に話しているだけで何だか怒られているような気がします。

 

こちらを聞いていただくと、どんな感じなのか

ちょっとは伝わるんじゃないかと思います。


 

 


 
 
昭和世代の方なら、この方のイメージそのものと言えばわかっていただけるのではないかと…。
{8BCAF7DC-10E3-4346-923D-EDC9562610ED}
 
 
とにかく強引で荒っぽくて、「デリカシー」という言葉からは
最も遠いところにいるようなタイプのお兄さんです。
 
僕は実のところ昔から親戚の中でもこのお兄さんがどうも苦手でした。
もちろん僕たち家族のためを思っての行動なのですが、
「ああしろこうしろ」ととにかくお節介で、頼んでもいないことをしようとするし、
ゆっくり考えたい話をサッサと自分一人で進めてしまって、ずいぶん振り回されたものです。
 
しかも前述したとおり、とにかく語気に釜山仕込みのドスと迫力があるので
反論することもままならず、結局押し切られてしまい内心迷惑に思ったことも一度や二度ではありませんでした。
 
ところが今回の釜山訪問で
自分自身の姿に新しい変化がありました。
 
それは、そんなお節介大魔王のお兄さんに対し
軽口を叩いたり
冗談まじりで口答えをしている自分を発見したのです。
 
「せっかく釜山まで来たんやから◯◯は行っとけ!アソコの✕✕は美味いから絶対に食わなアカンど!」
とか言われても
今までだったら「はい」とか「大丈夫です」とかしか言えなかったのが、
 
「え~でもあの辺って駐車するのが大変そうだしなあ、駐車料金お兄さん持ちなら行きたいですけど、でもどうせお兄さん飲むんでしょ」
的なことが言えるようになっていたのです。
 
もちろんお兄さんからは
「何言うとんねんアホか!駐車料金ぐらい自分で出さんかい!」
的な言葉が帰ってくるのですが、表情は妙にニヤニヤしてて
本気で怒っているというよりは、むしろこういうやりとりを楽しんでいるような感じすらするのです。
 
こういう口答えが出来るようになったことは
僕にとってかなり衝撃的な進化であり、驚きでした。
 
上手く説明することが難しいのですが、こういうやりとりを通して
「この人たちと家族になったんだなあ」
という感慨が湧いてきて、胸の奥のほうがじわっと温かくなるような感じがしたのです。
 
あ、そうかこれぐらい肩の力抜いて言いたいこと言ったりしていいんだ
という発見。
 
思い返してみると、今まで僕は「行儀よすぎた」んだと思います。
ガンガン僕との距離を詰めてくるお兄さんや親戚の人たちに対し、
よそよそしい礼儀正しさで知らず知らずのうちに壁を作ってしまっていたんだと思います。
 
その壁を一旦取っ払って
そっちがそう出るならこっちだって言いたいこと言わせてもらいますよ
的なスタンスを取ったほうが、逆にいい関係が築けるんじゃないか
そんな手応えがたしかにありました。
 
 
数多ある日韓夫婦のブログを見ていると、
配偶者の(あまりにも韓国的な)両親や親戚に対する愚痴を見かけることが少なくありません。
 
でも、それらの不満やストレスを当事者にしっかり伝えている日本人は
実はとても少ないように感じます。
 
日本人は幼い頃から「他人に迷惑をかけてはいけない」と教わって育ちます。
そしてその反動として「他人が迷惑をかけてくること」に対してもかなり神経質に反応しがちです。
 
でも、韓国人と家族として上手くやっていくためには
「適度に迷惑をかける方法」を身に着けたほうがむしろ上手くいく気がするし、
何よりも精神的なストレスがだいぶ軽減されるんじゃないでしょうか。
 
例えば「夫の両親が連絡もなく訪ねてくる!ありえない!」と憤るだけでなく
自分の方からも突然「お義母さ~ん!なんか急にお義母さんの料理が食べたくなっちゃったんです!今から行ってもいいですかあ?」と愛嬌たっぷりにメッセージ送ってみるとか…笑
 
え、そんなことしたら迷惑なんじゃ…と思うかもしれませんが
おそらくお義母サイドはむしろ嬉しいと思うし、本当にダメならダメと言ってくれるのが韓国。
 
それがいいか悪いかは別問題として
韓国では家族はお互いにベタベタ甘えるものなので、
勇気を出して甘え上手になってみるのもいいんじゃないでしょうか。
 
まあ、なかなか難しいですけどねw