人生のある局面を、鋭く鮮かに切りとっていきます。
短い・・・
故に・・・
起承転結がイメージできなければ途中で読むのを止めたくなる・・・・
最後に何が起こるのか? わくわくさせてくれるのが妙に気持ちいい・・
【短編小説】 仕組まれたロト宝くじ ★計画・5 ● 八億の残高伝票
「川口く~ん、さっきからそんな所で何してる~ん♪♪」
「みどりちゃん!課長が亡くなってまだ一週間しか経たないのに、何でそんなに元気なの?」
「丁度別れようと思っていたんよ、イイじゃない♪二人で8億もはいるんだから…」
「でもな…奴らが諦めるとは思えないし…俺達のネコババがバレタラ、如何するんだよ!山分けしたほうが良いんじゃない」
「やだ~ん♪減っちゃうじゃない!それよりか、こっちへ来たら♪」
篠崎や三竹、それに城之内にもロト6の当たり券が出てこないと返事はしてあるが、三人共、どうも信じていないようだ。
特に疑り深い篠崎が、やたらと川口とみどりの周辺に纏わり付、ボロを出すのを伺っていた。
いつのまにか二人は恋人?の付き合いになっていたようだ。
それ以上に城之内は、当てにしていた分配金が入らず、最近イライラが通り越して青い顔になっていた。
元来、金使いが派手な上、高級クラブへ毎週のように通っていた。
それに高級スポーツカーでは飽き足らず、海外のシドニーの別荘やクルーザーまで手に入れていたのだ。
当然金は使い果たし預金残高は六桁までに減っていた。
「城之内さん、返済日が来週に迫って来てますが、宜しくお願いしますね♪」
「ハイ!~分かっていますから!~」
オドオドした口調で、精一杯の会話をしているのは、闇金融からの事前集金予告に返事をしているのであった。
東京から着のみ気のまま新幹線で急きょ浜松に駆けつけた城之内が、川口に頼みこんでいた。
「川口さん、金をチョッと貸してくれないかな~」
「駄目ですよ!僕らの間では誰とも貸し借りはナシ!って最初からの約束でしたでしょ!」
「そんな~本当に券は見つからないの!?」
「貸してって?金なら総額億単位で分配しているでしょ...」
「もう無いよ・・冷たいな~」
借りに来た理由は、、今回が最後になるであろう分配金の一億六千万を当てにし、闇金融で金を借り、ハイリスクの先物取引に失敗していた。
通勤途中でも考え込み、返済期日が刻々と近ずくので、気が気ではないようだ。
会社から外周りに出ている川口に、みどりがルンルン声で電話をかけていた。
「川口くん♪今入金があったからね~来週の旅行、スッポかしちゃ駄目だよ~ん♪♪」
みどりが銀行で旅行資金を下ろした帰り道、急に現れた篠崎にバックをもぎ取られ、通帳を見られていた。
「ヤイ!みどり!この残高は如何したんだ!?やっぱり隠していやがったな!」
「や~だ...ばれちゃった...貴方着けて来たのね!」
「ウーゥ~ウーゥ~」
「ピーポーピーポー」
みどりが篠崎に預金残高を見られた翌日の早朝に、公園に遊びに来た子供に中年の刺殺体が発見され、けたたましく救急車とパトカーが公園に入っていった。
現場検証が徹底的に行われ、衣服のポケットから一枚の伝票が発見され、鑑識に回された。
調べた結果、昨日の日付けで、みずなみ銀行浜松支店発行のATM出金伝票があり、先輩の鑑識官が驚いた様子で呟いた。
「おぉ~凄い残高だ!」
「先輩!何を驚いているんですか?」
「この出金伝票の残高が…八億円余りあるぞ!…」
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