☆仕組まれたロト宝くじ『 6 』大空への分かれ道・短編小説"1462yuki" product | yuki1462のブログ

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「気の向くままの散歩道」ユッキーの部屋

♪=ありふれた一日を、記憶に残る素敵な時間に..♪
☆少しでも視聴された方が、ひと時の憩い所になればと・・・

人生のある局面を、鋭く鮮かに切りとっていきます。 

短い・・・

故に・・・ 

起承転結がイメージできなければ途中で読むのを止めたくなる・・・・ 

最後に何が起こるのか? わくわくさせてくれるのが妙に気持ちいい・・ 

 

【短編小説】 仕組まれたロト宝くじ ★計画・6  ● 大空への分かれ道

 

「みどりちゃん♪明日出発だからね…」
「分かっているけど…あの件、大丈夫?」
「分かんない?だから一日でも早く行かなきゃ!」
「チケットと別荘の権利書、それに豪ドルと米ドルの両替、忘れるな!」
川口とみどりは、オーストラリアに出発の為、身支度をしていた。


派手好きな城之内から豪で所有する不動産やクルザー、それに車を格安で譲り受けていた。
 

「川口さん、有難う!この前は断られたので駄目かと思っていました。でも、なぜ急に?」
「君が闇金融からの借金で困っていると相談されたので、可愛そうになったんだよ…それに今までの付き合いもあるし…」
「悪かったな~この恩は決して忘れないから…でもシドニーの別荘とクルザー、それにポルシェであの価格は絶対お買い得だからね~この三千万は大事に使わせてもらうから…」

 

やむを得ない事情で城之内から買受けたとはいえ、別荘やクルザーは眼中に無かったが、ポルシェだけは気にいっていた。
別荘は、オーストラリアにおける日系の不動産業、中 不動産から譲り受けた緑に囲まれた日当たりの良い一戸建て。

シドニー(Sydney)は、オーストラリア南東部に位置するニューサウスウェールズ州の州都で、同国最大の世界都市である。
オーストラリア最大の人口を有し、メルボルンとともに南半球屈指の経済、文化の中心都市である。

オセアニアを代表する国際的な観光都市でもあり、海に臨むオペラハウスなどが著名で、世界で最も美しいといわれる都市のひとつである。


300 km南西に、特別区である首都キャンベラが所在するが、経済や文化の規模ではシドニーのほうが活発である。

それもあってか、シドニーがオーストラリアの首都であると誤解する者も少なくない。
2000年には夏季オリンピック、「シドニーオリンピック」の開催地となった。


川口は、シドニーの片道チケット2枚を取っていて、オーストラリアの別荘に向かうところだ。
片道チケットとは気になる所だが、大金を手に入れた上の事だから、長期滞在のつもりなのか?


■名古屋発・中部国際 ビジネスクラスで行く オーストラリア/シドニー・ブリスベン 格安航空券 CI(チャイナエアライン)
種別 ビジネスクラス
行先都市 シドニー(SYD)・ブリスベン(BNE)
有効期限 1年間有効:片道
利用便:名古屋発着便利用限定
残席クラス:J-J(C)
料金(片道/単価:円)\117,000 


翌朝、中部国際の発着便の搭乗手続きは、出発の3時間前からOKだが、用心?の為、搭乗手続きカウンターの締め切り時間(チェックイン締切時刻)ギリギリを狙っていた。


みどりの周りに、搭乗手続きカウンターに並び始めた頃から、チョッと目が鋭く人相の悪いスーツ姿数人の人影が目立ち始め、観光には不似合いない格好で、ビジネス?とも思えない様子に感じられる。


洗面所に行っていた川口がみどりの所に戻ろうとすると、その異様な感じを察知、スーツ姿の男達に感ずかれる事なくその場を離れていった。


搭乗手続の順番で、カウンターの前に来た時、みどりに男が声をかけてきた。
「チョッと失礼!私は愛知県警の大林といいますが、”大河内 みどり”さんですね?パスポートを持って、警備員と一緒にあちらの事務所にご同行して頂けますか?」
「・・・」
空港警備員に左右を挟まれたみどりは無言で付いていき、何の事だか察しがついているようだ。
数日前、公園で刺殺体を発見、身元は”篠崎”と分かり、現場に残された出金伝票がみどり名義と判明、状況から重要参考人として同行を求められたのだ。


数秒の差で警備員と”同行”を逃れた川口は、急きょキャセイパシフィック航空《名古屋発》 香港経由 シドニー行きのチケットを取り、オーストラリアに向け、羽ばたいていった。

その頃、中部国際空港奥にひっそりと佇む取調室では、普段着に着替えたみどりの詰問が行われていた。
天井の蛍光灯が妙に暗く、部屋全体を淡く照らし、中央に位置するみどりの座った机には、対座する二人の刑事が腰を据えている。
格子が付いた窓の傍らに潜む、奥の机には書記らしき男がノートを広げ、机の片面に座る恰幅のいいスーツ姿の女は、女性容疑者?につく刑事?らしい。取調べで以前より宝くじの偽造を竹山から聞いていた事も自白。

 

殺人も目の前で起こるのを目撃したが黙認など、十分に調べ終えると、向かいの刑事がみどりの手前に来てこう言った。


「ロト宝くじ協会からは「告訴状」が出されていますので、その件は詐欺罪、及び篠崎哲也の殺人ほう助罪で19時13分逮捕します。手を出して…」


普段は澄んだ目をしたみどりではあったが、逮捕の瞬間には涙で目は充血していた。
刑事に視線をやりながら、手錠で繋がれた手で拝む様に刑事に呟いた。


「お騒がせしました…」
持ち物検査で机の上に出した米ドルが、妙に寂しそうに見えた。

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