人生のある局面を、鋭く鮮かに切りとっていきます。
短い・・・
故に・・・
起承転結がイメージできなければ途中で読むのを止めたくなる・・・・
最後に何が起こるのか? わくわくさせてくれるのが妙に気持ちいい・・
【短編小説】 【仕組まれたロト宝くじ】 ★計画・4 ● 一癖ある女
救急車で搬送されたばかりの患者が、脳動脈瘤破裂でくも膜下出血の為、海南浜松病院での緊急開頭手術が行われようとしていた。
脳動脈瘤とは?脳内の動脈にできた異常な膨らみ(こぶ)が脳動脈瘤です。
我が国では毎年人口1万人あたり1.5~2人に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が生じていると推定され、脳動脈瘤は破裂によって明らかになる場合が多く、破裂すると血液が脳周辺のくも膜下腔に流れ込み、くも膜下出血を引き起こします。
くも膜下出血は、出血性脳梗塞や脳機能障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある。
そのため、破裂した脳動脈瘤(くも膜下出血)に対する最も重要な治療は再出血を防ぐ治療です。未破裂で見つかった動脈瘤にも、破裂予防のための治療を実施します。
くも膜下出血は「脳に血液を送る太い動脈にできたこぶ(動脈瘤)が破れて、脳の表面に出血する」病気である。
そして、もしくも膜下出血になってしまうと、最悪の場合即死してしまい、一般に、くも膜下出血の患者さんのうち約1/3の方は出血と同時に死亡してしまう、あるいは何とか病院には運ぶことができたものの重症過ぎて死亡してしまうか寝たきりの状態になってしまうといわれている。
逆に、約1/3の方が何らかの後遺症を残され、残りの1/3の方は順調に経過してご自宅に退院、社会復帰を果たされるといわれています。
病院の待合室には、亀崎(株)関係の見舞い客が次々と集まっていて、そこには川口やみどりの顔ぶれもあった。
それに、川口の連絡で駆けつけた二人の男が、近寄ってくる気配はないが、遠巻きで様子を伺っている。
その男達に川口が他人を装い、屋上へ上がるエレベーターにチラッと目で合図して、乗る様に誘いの目配りをした。
屋上に出た男三人が、他に誰も居ないのを確かめた後、口火を切ったのは川口だった。
「課長はくも膜下出血の為、今から緊急手術をやるそうです…篠崎さんも三竹さんも聞きたいことは分かります…8億の宝くじ券の事でしょ?」
「そうだけど、券の在り処は分かっているのか?」
「課長の家だと思うけど、確かではないな~」
「みどりが知っているんじゃないのか?」
「さっき聞いたけど、”知らないわ”の一点張りで…」
「あのアマ!一癖あるからな~」
「後からもう一度念を入れて聞いときますから、今日の所は帰った方が良いと思います…」
「でもな~気になるな~」
「篠崎さん!こんな所を知り合いに見られるとマズイですよ!連絡は入れますので」
篠崎と三竹は渋々帰って行ったが、川口も宝くじ券の事が気がかりでしょうがなかった。
篠崎は元、亀崎(株)の社員ではあったが、宝くじ売り上げの集金を担当していて使い込みがバレ、解雇されていた。
ところが解雇される寸前に、竹内課長や川口達の悪巧みを察知し、必要に付回していて来るので、仕方なく仲間に入れて宝くじの当たり役を演じさせ、分け前を分配しているのである。
もう1人の外部仲間の三竹の素性は、現役”浜松中税務署”の職員で、プロの税務職員の力は凄く、不正方法(イカサマ)ではなく、分配金の流れや、同じ発売場での当選確率の多さに不審を抱き、ピンポイントで調べられた。
言い訳の限界が来て、みずなみ銀行宝くじ部への詳細な問い合わせ(脅し)をチラつかせ、不正方法を知った後、コレマタ仲間に加わってきたのである。
換金者の変更だけではなく、当選くじの発売場所は、みどりが売り子をしている場所が比較的多かった為、発売場の変更を疎かにしたのが災いしたのだ。
「みどりちゃん、課長とは同居に近い状態だったから、なにか心当たりはないの?」
「川口君もクドイわね~課長とは近々別れようと思っていたのよ…ところで”あの”ロトの宝くじって?幾ら当たっているのよ!」
「”あの”って!みどりちゃん!宝くじの事知っているんだ!」
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