子どもがどんな子に育って欲しいか、具体的なイメージをお持ちですか?
アドラー心理学で、子育ての目標はというと、共同体感覚を持った子に育てること。
共同体感覚を持った子?
簡単に言うと、なにか出来事が生じた時に、「私は共同体の幸せのために何ができるだろう?」と考えられるような子に育てることです。
そのような子は、きっと周りの人から信頼され、必要とされることでしょう。
そのためには、お父さん、お母さんの模範も重要だと思いますが、次のような話を、機会を見て話してあげるのもいいかもしれません。
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その病室には死の宣告を受けた7名の患者が入っておりました。
ジミー・カーチスは、その一番窓に近いベッドに寝ていました。
自分で動くことができない患者の中で、ジミーだけが、唯一、窓の外を見ることができました。
死と隣り合わせの同室の患者は、みんなが心がすさんでいました。
その患者を前にして、ジミーは窓から見える光景を、みんなに語り伝えるのです。
「おーい、みんな、今日は子ども達が遠足だよ。
黄色い鞄をさげている子がいるな。
いやあ、ピンクの帽子をかぶっている子もいるよ。かわいいな。
3番目と4番目の子が手をつないで歩いている。
きっと仲良しなんだろうなぁ。あ、空には黄色い蝶々が飛んでいるよ」
ところが、ある日、朝起きてみると窓際に寝ていたはずのジミーがいません。昨晩、亡くなったのです。
すると、入口から2番目のベッドに寝ていたトムという男が、「俺をジミーが寝ていた窓際にやってくれ」と頼むのです。
しかし、看護婦さんたちは、顔を曇らせてなかなか言うことを聞きません。
業を煮やしたトムは、声を荒げて怒鳴ります。
それで仕方なく、看護婦さんたちはトムを窓際に移します。
喜んだトムは、
「俺はジミーみたいに外の景色なんかみんなに話してなんて聞かせないぞ。自分だけで楽しむんだ」
そう思って窓の外を見たのでした。
ところが、窓から見えたのは、灰色の古ぼけた壁だけだったのです。
その瞬間、トムはジミーの思いがすべてわかったのです。
「ジミーは、壁しか見えないのに、自分たちのすさんだ心を励ますために、その壁の向こうに広がるであろうすばらしい世界を、ああやって語り聞かせてくれたんだ。
それに引き換え、自分ときたら、自分だけ楽しもうなんて、なんと浅ましい心の持ち主であろうか。なんと恥ずかしい自分であろうか」
心から懺悔したトムは、ジミーに負けないくらい、素敵な思いやりを持って、次のように語り聞かせるようになったのでした。
「おーい、みんな、今日は花屋さんが通るぜ。車の中はバラの花でいっぱいだ。前の方は、あれはパンジーの花だな。あの隣の黄色いバラ。甘い香りがするだろうな」
=====ここまで=====
この話は、「あなたの人生が変わる奇跡の授業 (王様文庫)
」という本に載せられていたものです。
おそらく、人から信頼され必要とされる人生を送るためには、ジミーのように自分ができることで、人のために何ができるかを考え、実践できる人だろうと思います。
そしてこれからの時代を担う子どもたちにも、ぜひともそんな人になっていただけたらと思います。
ちなみに、紹介した本は、長野県の上田市にある専門学校で今も実際に行われている授業をまとめたものだそうです。
正直言って、本を読んでびっくりするとともに感動を覚えました。
その授業、とっても深くて熱いです。
ぜひとも中学、高校でこのような授業を行ってほしいなと思いました。
とはいえ、それは期待できないので、お父さん、お母さんがこの本を読んで、子供にも勧めるか、その内容を話してあげるなんていうのも、いいかもしれないですね。
この本には、子どもを人から必要とされ信頼される人に育てる上で、多くのヒントが詰まっています。
お勧め度、星5つ。