●不適切な行動に注目をあたえるから、子どもも・・・ | ◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

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学習のコツや勉強する意味を一緒に考えると共に

勇気づけでお子さんの健全な心も育ててあげませんか?

K君は、おとなしく目立たない男の子。



K君は、成績が落ちたことをきっかけに、中学2年の一学期に登校拒否をしました。



しかし、2週間後、K君が学校に姿を見せると先生たちは驚いて彼を激しく叱責します。



なぜ?



彼は頭髪を脱色し校則違反の学生服を着てツッパリとして学校に現れたのです。



それを見た先生たちは、K君に厳しい態度であたります。しかし、彼は耳を貸そうとしません。



彼は非行グループと付き合ようになり、どんどん素行を悪化させていきます。そして警察のお世話にもなり、鑑別所に入るはめに!



彼は卒業しても進学も就職もしないで遊び暮らしていました。



しかし、中学時代と変わった点がありました。



服装が普通に戻ったのです。



彼が卒業する少し前から、カウンセリングをしていたカウンセラーは聞きました。



「卒業したらもう先生に叱られなくてすむから、さぞ面白い格好をするだろうと楽しみにしていたんだけれど、どうして普通の格好に戻ったの?」



彼は答えます。



「叱られないんだったら変な格好をしてもしかたがないじゃないか。」



行動には目的がある。



アドラー心理学では、そう考えます。



そして彼の行動にも目的があった。



「最初、成績が落ちて、このままではみんなにバカにされると思った。だって、ぼくみたいにネクラで、その上に成績が悪かったら、ただのバカじゃないか。いじめられても仕方がない。それで登校拒否をした。でも、ずっと登校拒否をしているわけにもいかないと思った。いろいろ考えた結果、ツッパリになれば、みんな怖がって、ぼくのことをいじめないだろうと思った。」



彼は、成績が落ちてきて、クラスにどのように所属をしたらいいかを思案し、ツッパリになるという選択をしたのです。



彼のツッパリをするという行動には、目的があったわけです。



そして先生たちは・・・



彼のツッパリになる目的を知ることもなく、不適切と思える行動に注目してしまった。



でも、不適切な行動に対して、叱ったりなどの注目を与えると、その行動が強化される可能性があります。



そしてみごとに彼の不適切な行動は強化され、どんどんひどくなっていったようです。



彼が卒業した後、カウンセラーは、K君に聞きます。



「もし、最初にツッパリルックで学校に来た時に、先生が『待っていたよ』と信頼を示し叱らなかったら君はどうしたと思う?」



それに対して、彼はこう答えた。



「一週間か、二週間はツッパリをやったろうけれど、その後は普通の子にもだったと思うな。だって、先生に叱られても叱られてもツッパリをしているからカッコイインであって、相手にしてもらえないのにひとりでやっていたんじゃ、ただのバカじゃないか。」



いかがでしょう。



彼のこの答えを読むと、先生の叱るという対応が、彼の不適切な行動を強化していることに気付きます。



そして、彼はどんどんその方向に向かっていった。



この事例を読んで、思いました。



もし、先生たちが、アドラー心理学でも学んでいて、不適切な行動に対する対処の仕方について知っていたら・・・



もし、最初にK君が学校に来た時に、不適切と思える行動に適切に対処できていたら・・・



きっとK君の人生の歩みは違ったものになっていたのではないかと思います。



ちなみに、カウンセラーは、野田俊作先生です。



私の住んでいる町でも、ある小学校で、高学年の子が先生を切りつけるなんてことが実際にあったそうです。



切りつけられた先生というのは、知り合いの息子さんなのですが・・・



もしかすると、その子の不適切な行動に対して叱ったりして、その子をクラスに所属出来なくするとともに不適切な行動を助長してしまっている、なんて可能性もあるのかもしれませんね。



もし、その先生がアドラー心理学を知っていたら・・・



お母さんたちをはじめ、学校の先生にもアドラー心理学を学んでほしいと心から思います。



できれば、パセージから・・・



参考文書

クラスはよみがえる―学校教育に生かすアドラー心理学