子どもの成績と子どもの有能感には大きな関連性がありそうです。
それを示す、こんな実験をご紹介します。
見かけは似ているのですが、難易度の違うパズルを2つのグループの被験者にやってもらいます。
1つのグループには、比較的やさしいパズル。
もう一つのグループにはほとんど解けないように実験的に操作したパズルをやってもらう。
そして実験後、内発的動機づけがどうなるかを調べる、そんな実験です。
すると結果は予想通りだったようです。
パズルがほとんど解けなかったグループの被験者は、内発的動機づけが低い。
それに対して、パズルが解けて有能感を味わったグループの被験者は、内発的動機づけが高かったとか。
この実験が示すように、有能感と内発的動機は関係しているようです。
つまり有能感があると内発的動機づけも高い。
では、有能感とは何でしょう?
それは「できる」という感覚であり、望む結果を達成するための活動を十分にこなせるという感覚です。
有能感があると内発的な動機で勉強に励む可能性もたかまるでしょう。
つまり、勉強ができる子は、「できるという感覚」があるので、自ら勉強がおもしろくてしっかり授業に参加し、家でも勉強する。
しかし、勉強を難しいと感じている子は、「できる」という感覚がないので、内発的動機づけには結びつかない。
それで勉強を嫌ったり、避けてしまうという傾向が見られるわけです。
勉強は、嫌々ながらやってもほとんど身につきませんね。
だから勉強を自らしてほしいと思うなら子供に「できる」という感覚、つまり有能感を培ってあげる必要がありそうです。
その点で、何度もご紹介している「格闘塾のどやさん」は、成績が1,2ばかりの子の高校受験の指導をされていますが、そんな子でも小学4年生くらいの問題に帰って問題を解かせ、階段を上るように少しずつ「できる」という感覚を培ってあげているとか。
それによって、なんとほぼ全員が、志望校に合格してしまうんだそうです。
やはり、「できる」という感覚は大切なのでしょうね。
それと、最近、おもしろい記事を読みました。
5月20日の宮崎中央新聞の「伊藤一彦」さんの記事ですが、そこには「素晴らしい」と言われる好青年、150人の学生を調査した結果に関して、そこに共通してみられる条件が4つが示されています。
まず、最初のポイントは・・・
①小さいころから何かになりたいと、夢や希望を持ってきた。
③周りからほめられてきた。
④家庭の中でものを言いあう関係があった。
このようなポイントがあったというのです。
あれ、②を忘れてますね。
それは・・・
②成長に合わせて「できるかな」という体験をしてきたこと。
この話しは、ある心理学者の研究をベースにした話しですが、②に関して、その心理学者は、それを「課題性のある手伝い」をしてきたかどうかだと述べているとか。
課題性のある手伝い? 具体的には、こんな例が・・・
たとえば、小学校2年生の男の子に、「今度お父さんは出張に行くから、みどりの窓口に行って何月何日の何々という電車の指定席を買ってきて」という課題を出します。子供は初めてなので「みどりの窓口なんてわかるかな」と不安に思います。でも、お父さんは「行ったらわかる」と、細かく教えないで切符を買いに行かせます。
それを聞いて、反応は様々だと思います。
もしかすると「うちの子はそんなことできない」と思うかもしれません。
でも、もし、子供がそれに挑戦して、駅員さんに聞きながら切符を購入できたとしたら・・・
それは、きっと子どもの自信、つまり「自分はできる」という有能感につながるでしょう。
そのようにして、年齢にあった課題に対して挑戦してもらう。
それによって、出会ったことのない事態に直面しても、逃げずに挑戦する体力が養われるというのです。
先行き不安な時代からこそ、子供達には有能感を育ててほしいと思います。
そのために「課題性のある手伝い」を行えるように勇気づけてあげる必要があるのかもしれません。
これからますます、勇気づけが大切な時代。
子供達の明るい未来のためにも、何かお役にたてばうれしいのですが・・・