「しつこくできない点を注意していました! でも、ダメでした!」
アドラー心理学をベースにした親子関係を扱うスマイルという講座に参加した時のこと、一人の参加者の方の言ったことが、とても印象に残っています。
それが今日のタイトルの言葉!
その方は、学校の先生ではないのですが、住んでいる地域で、子どもたちにバスケットの指導をしているという方でした。
それまで、バスケットの指導をしていく中で、その方は子どもたちのできていない点を注意していたそうです。
でも、なかなかうまくいかない。何度言っても結局はダメだったそうです。
その方をTさんとしましょう。Tさんは、そんななか、アドラー心理学を学びます。そして正の注目と負の注目について学ぶことになりました。
「そうだったのか!」
と目からうろこの落ちたTさんは、指導法を変えます。
Tさんは、それまで、できない子に注目して、そのできない点に注目していたのを、できている子に注目することに変えたんだそうです。
すると、みんなが、できるように変化していったんだそうです。
それがなぜ、うまくいくようになったか、次に紹介する本は参考になるかもしれません。
それは、「ヨコミネ式」の横峯吉文さんの『子どもに勉強を教えるな。「ヨコミネ式」自学自習の10カ条』という本です。
読んでみると、アドラー心理学と似たことが結構ありました。例えば、6章には、「子どもをほめるな」という章もあったり・・・もちろん、アドラー心理学とは相違点もあるのですが!
その本の中に、こんな記述がありました。
「たとえば、体操のブリッジを習得させたい場合、先生がいくらやり方を指導しても、なかなか覚えてくれません。でも、その子どもたちの集団に、ブリッジが得意な子どもを混ぜて実際にやらせれば、みんなまねを始めて、ほどなく全員ができるようになります。」
横峯氏はこんなことも書いています。
「すべての子どもが生まれながらに備えている、このまねる力を上手に使うと、子どもたちはどんどん伸びていきます。」
これは心理学の用語で、モデリングなんていいますが、優秀な人をまねてしまうのが、何かを習得するのに一番効率がいいようです。
先ほどのTさんの例に戻りますが、Tさんは、できない子に注目していたので、指導を受ける子どもたちも、何をまねしたらいいのか、わからなかったに違いありません。
でも、できる子に注目してあげることによって・・・
子どもたちは、誰の、何を、まねをするといいかがわかった。
しかも勇気づけを学んだTさんは、意識して勇気づけを行ったものと思われます。それによって子どもたちは、やる気と元気がわいてきたんでしょう。
しつこくダメな点を注意しても変わらなかったことも、できている点に注目して、それを指摘してあげることによって、子どもたちはプラスの変化をするようです。
ぜひとも、お子さんのよい点、できている点に注目してあげるのはいかがでしょう?