●お母さんの役割って何? | ◆「生まれてきてよかった」そんな実感を持てる子に育てるヒント!◆

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勉強だけできても意味はない!

学習のコツや勉強する意味を一緒に考えると共に

勇気づけでお子さんの健全な心も育ててあげませんか?

あの人の事例をアドラー心理学的の“課題の分離“という考えで、ひも解いてみようと思います。


あの人?


昨日の記事でも紹介した中村文昭さんです。


昨日も書いたように、中村さんは高校卒業後、上京し、そこで人生の師匠に出会います。


そして野菜の行商をしながら、仕事が終わると何時間も「いかに生きるか」の勉強会の日々。


しかし、少し前まで、したい放題のやんちゃな生活を送っていた中村さん。


あまりに厳しく、過酷な生活に音をあげます。


あまりにも厳しいので、置き手紙をして実家に逃げかえったことがあるそうです。


電車を乗り継ぎ、夜になって、やっとのこと三重の実家に帰ると、お母さんは誰かと電話をしている。


誰と話しているのだろうと、会話に耳を傾けると、電話の相手は中村さんの師匠であることはすぐにわかりました。


電話は夜の12時を過ぎても終わらず、延々と朝方まで続き、お母さんが受話器を置いたのは朝の5時。


普通だったら考えられませんね。


お母さんは、中村さんにひと言いいます。


「おまえ、大変な人と一緒におったんやな」


中村さんは、ここぞとばかり、師匠の厳しさを言い連ねます。


「・・・最初はこの人こそ師匠やと思ったけれど、ついていけっちゅう方が無理やねん。・・・」


お母さんは、中村さんの話を聞きながら朝ごはんを用意してくれて、洗いものをはじめます。


後ろを向いたままのお母さんの肩は、細かく揺れていました。


さて、少し寝床について、中村さんが起きると、


そこには一通の手紙が!


お母さんからの手紙でした。


「たった一人の人間も乗り越えられんかったやつに、食べさすごはんはあらへん。さっきの朝ごはんが、お母さんがおまえにつくる最後の食事や。

東京へ戻って、あんたの師匠から卒業証書もらうぐらいのところまで、根性見せて頑張ってこい。あのお方は電話で、私に言ったんや。

『お母さん、命懸けで子どもを産んで、自分にとって都合のいいペットを育てているのか? 世の中に役立つ男を育てているのか? どちらが母親としての役割なんでしょうか?』とね。・・・

もし、おまえがまだ、家の中におる気配があったら、お母さんは家に帰らへん。この手紙を読んだら一刻も早く荷物をまとめて東京に戻りなさい」


お母さんは、東京に帰るよう、その思いを手紙にしたためていたのです。


おそらくお母さんは、心を鬼にして手紙を書いたことでしょう。


お母さんの気持ちたるや、本当に複雑だったと思います。


そんなにしてまで厳しい生活を強いる師匠の元に、愛する息子を帰らせることに、ためらいの気持ちもあったことでしょう。


実際に、文昭さんのお母さんは、息子に会って話を聞いたら、息子かわいさに思いが揺れて、迷いが生じてしまうのではないかと思って、あえて、手紙を書いたということは後から知ったそうです。


中村さんは、その時のことについて、こう書いています。


あの時、オカンに抱きしめられていたら、今の僕はないと思っています。・・・・・いわゆるわかりやすい母親の愛情でくるまれていたら、僕はラクばっかりを選ぶ人生を生きたのだろうと感じます。


そしてこのように結んでいます。


親が子供にするべき本当の教育って、やさしさだけじゃない。厳しさの向こうにある愛情も、確かにあるのではないでしょうか。


いろいろ考えさせられますね。


ちなみにこの事例をアドラー心理学的にみると・・・


課題の分離という考え方があります。


「その問題は誰の問題か?」を考えます。


その問題によって困るのは誰か?


問題は中村さんの問題であり、それによって困るのは中村さんですね。


お母さんの問題ではない。


だから、お母さんが、中村さんの問題に介入せずに「東京に帰よう」促したと考えると、アドラー心理学的にも的を射たことなのかもしれません。(アドラー心理学なんて知らないはず)


とはいえ、本当に、つらい選択だったと思います!


でも、それが中村さんを育てたんですね。


お母さんの役割って何なのでしょう?


●参考図書

「話し方」一つで、人生はでっかく変わる!

中村文昭著