先日、濃い茶系のスーツを着て仕事に出かけました。
そして仕事をこなして家に帰って妻に言われました。
「そのスーツの上着とパンツの色が違うじゃない!」
「えっ?」と思いよく見てみると・・・
確かに色が違う!
茶系のスーツが2つあるのですが、一つは濃い茶色。
もう一つは薄めの茶色。
なんと薄めの茶色のパンツ、濃いめの茶色の上着を着て仕事をしていたのです。
そんな姿で仕事をしていたことを思うと穴があったら入りたかったなと思ったしだいです。
私に対応して下さった方も、私の姿にさぞかし違和感を感じたことでしょう。
「あ~、恥ずかし」
ところで、先日の「アドラー心理学から見た子どもの発達と病理」というセミナーで講師の先生は、子供が健康な人格を培うためには次のようなことが重要であると話していました。
●自分が好きである(自己受容感)
●世界、人々を信頼している(基本的信頼感)
●自分が役に立っていると感じられる(貢献感)
ここまでは表現がちょっと違いますが、何度も述べている点だと思います。
上記のような感覚を持っていると子供は精神的に健康で安定した生活が送れるわけです。
そして、カウンセリングなどでもその子の問題を探る上で、これらの感覚があるかどうかがアセスメントのポイントともなってきます。
ちなみに先生が話していたんですが、3月の災害のような現場で、多くの方が被災して避難所生活を強いられるような場合、まずは、安心して過ごせる場所を確保するのが重要だそうです。
それはもちろんですね。
そしてある程度、慣れてきたら援助物資を受けるだけの生活というよりも他の人に役に立つような仕事をしてもらったりするのが心の安定にもつながるんだそうです。
それはやはり貢献感を感じていただくことは、基本的信頼や自己受容感にも相互につながっているのだと思います。
震災関係のニュースで、子供たちが情報をまとめたり、バスの誘導をしていたりしたシーンが映し出されていましたが、それを思い出して、人にとって貢献感は、とても重要なのだと再確認しました。
さて、上記の3つの点に加えて先生は以下の点も付け加えていました。
●「不完全でいる勇気」を持つ
人によっては何でも完璧にこなさないと気が済まないという人がいるかもしれません。
でも、人にとってすべてを完ぺきにこなすことは難しい場合が多いですね。
そんな時、完璧主義の人は、気がふさいだり、自信をなくしたりすることがあるかもしれません。
その落ち込みの落差が激しいと鬱にもなりかねないでしょう。
その点で、アドラー心理学は「不完全である勇気」を持つことを勧めています。
完璧に仕事や育児、勉強をこなせないとしてもOKなのです。
私のアドラー心理学の師匠、岩井俊憲先生は、研修の機会などがあると参加者の方に聞くそうです。
「あなたは多少自分にう不満足な部分があるとしても、自分をイエスと受け入れられますか? それとも良い点がるとしてもノーと否定しますか? どちらか一方に手をあげてください」
こんな質問をすると最近では70%くらいの方が「良い点があるとしてもノーと否定する」に手を上げるんだそうです。
それでは心の病を抱えてしまうのも不思議ではありません。
だからこそ「不完全である勇気」を持つ必要があるのだと思います。
その点でお母さんが「不完全である勇気」を持っているとそれは子どもにも伝染する可能性が高いのではないかと思います。
完璧にこなせなくてもOK。
失敗したってOK。
冒頭でスーツのことを書きましたが、以前の私ならしばらく恥ずかしさのために立ち直れなかったかもしれません。
しかし、いまは「おじさま」になったせいで、鈍感になったこともあるかもせれませんが、「不完全である勇気」を持つとよいことを学んでいるので、すでに立ち直っています。
次回、同じ所に行った時、「先回来た時、違和感を感じませんでした?」なんて聞いて笑いのネタにしてしまおうと目論んでいたりします。
「不完全であることの勇気」、子供にぜひ、身につけてほしいものですね。
参考図書
心の壁を乗り越える生き方の知恵
岩井俊憲著