- 長唄全集(7)老松/浅妻船/寒行雪の姿見(まかしょ)/芳村伊十郎(七代目)
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まかしょ、まかしょ、まいてくりょ
まつか諸方の門々に、無用の札も何のその、構馴染の御祈祷坊主
昔かたぎは天満宮、今の浮世は色で持つ、野暮な地口絵げばこから、
引田してくる酒の酔、妙見さんの七つ梅、不動のお手の剣菱の、ぴんと白菊花筏
差すと聞いたら思う相手に、あほッ切、あふる手元も足元も、雪を凌いで来りける
君を思えば筑紫まで、翅なけれど飛梅の、すいが身を食う此の姿
一寸お門に佇みて、とこまかしてよいとこなり、ちょっとちょぼくる口車
春の眺はナア
上野飛鳥の花も吉原、花の中から
花の道中柳腰、秋は俄にナア、
心も浮々、浮れ烏の、九郎助稲荷の、角の長屋の年増が目に付き、
ずっと上ってむ、門の戸ぴっしゃり
しまりやすぜ
あれあの声を今の身に、思い浅黄の手ぬぐいに
紅の付いたが腹が立つ、そこを流しの神おろし
奇妙頂来敬って白す、夫日本の神々は、伊勢に内外に二柱、夫婦妹背の盃も、済んで初会の床浦明神、
哀愍納受一じゅう礼拝
屏風の外に新造が、祭も知らずねの権現、繻子の隙間洩る風は、遣手に忍ぶ明部屋の、
小隅に誰を松の尾明神、地色は坂本山王の、
廿一二が客取盛り、間夫は人目をせき明神、奇妙頂来懺悔懺悔、六根罪障
拗ねて口説を四国には、中も丸亀名も高き、象頭山、今度来るなら裏茶屋で、愛愍納受と祈りける
其御祈祷に乗せられて、でれれんでれれん口法螺を、吹風寒き夕暮に、酒ある方を尋ね行く行く