老松-歌詞- | 『花のほかには』-fuyusun'sワールド-

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fuyusunの『何じゃこりゃ!長唄ご紹介レポート』
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邦楽舞踊シリーズ 長唄 大原女/老松/オムニバス
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げに治まれる四方の国、げに治まれる四方の国
関の戸ささで通わん。
これは老い木の、千代に八千代にさざれ石の
巌となりて苔のむすまで、松の葉色も時めきて
十返り深き緑のち、眠れる夢のはや覚めて
色香にふけし花も過ぎ
月にうそふき身はつながるる
糸竹のひかれて、うつらうつらと長生の
泉を汲める心地せり。
まず社壇の方を見てあれば
北に峨々たる青山に、彩る雲のたなびきて
風にひらり、ひらめきわたるこなたには
翠帳紅閨(すいちょうこうけい)の粧い
昔を忘れず、右に古寺の旧跡あり
晨鐘夕梵(しんしょうせきぼん)の響き
絶ゆることなき眺めさえ、赤間硯の筆ずさみ
ここに司をしるしけり。
松という、文字変われど待つ言の葉の
その甲斐ありて積む年に寿祝う常磐木の
調べぞ続く高砂の、名あるほとりに住吉の
松の老い木も若さを語る恥ずかしさ
ただ変わらじと深緑、嬉しき代々に相生の
いく世の思い限り知られず
喜びもことわりぞかし、いつまでも
清きいさめの神かぐら、舞楽を備うるこの家に
声も満ちたつ、ありがたさ。

松の太夫のうちかけは
蔦の模様に藤色の、いとし可愛いも
みんなみんな男は偽りじゃもの
拗ねて見せてもそのままよそへ
ある夜ひそかにつきあいの
雲のまがきの掛け言葉
エエ憎らしい木隠れに、晴れて逢う日を松の色。
ゆかたに遊ぶ鶴亀の、齢を授くるこの君の
行く末守れと我が神託の、告げを知らする松風
富貴自在の繁栄も、久しき宿こそめでたけれ。