私の恋愛遍歴は少ない。
って言うか、無しと言ってもいいくらいじゃないかなぁと。
だってそんな余裕もあの頃の私には無かったんだもん。
あれは中学一年生の初夏だったかな。
中学高校の私は多分ひねくれてたと思う。その原因でもある出来事。ちょうど離婚したパパが再婚するからと新しいママを連れてきた時だった。
そうだなぁ…身長はちょっと小柄だったけどグラマーで普通に綺麗かも。
でも最初は私はその人が再婚する相手だとは思わなかった。だって隣にはハタチ過ぎくらいのこっちはスラッと背の高い若い男の人が一緒だったから。
因みに超イケメン。
それがピッタリと並んで歩いてるし、何か親密そうな雰囲気もあったし…カップル??って思った。
パパはドア開ける前からずっとソワソワしっぱなしでそれは面白かったけど。
「良く来てくれたね。あぁ未那斗君も一緒か…まぁ遠慮しないでゆっくりとしていって欲しい」
「ねーパパ誰か友達来たの?」
「いや、まぁ叶も挨拶して‥」
「なんで?」
普通なら初対面でパパの知り合いなら挨拶したんだろうけどその時はなんか素直にできなかったの。
「だからこれから一緒に暮らすんだから。仲良くしないとな」
「え??意味分かんないよ。何で知らない人といきなり一緒に暮らしてしかも仲良くしなきゃならないの?」
「それはこれからちゃんと説明するから」
「ちゃんとって…大体パパっていつも唐突過ぎなんだから。計画性無いし。しかも空気読めないしー。今度から店長なんだからしっかりしないとダメなんだから。私をちゃーんと素敵な大人の乙女に育てないといけないんだからね」
「うるさい…分かってる」
それでパパはしかめっ面をした後にドヤ顔みたいにして下を向いていた目をその女の人に合わせた。
「あぁ、勿論今度からは4人になるわけだからな。パパに任せておけばいいさ」
「え?なんで一緒に住むだけじゃなくて生活費までださなきゃいけないの?」
「そりゃお前…家族だからな。新しい。ママとお兄さんだな。叶はお兄さん欲しいって言ってなかったか?」
「って…ええーーーっ!!」
「お前の願いを叶えてあげたんだからもうちょっと喜べって」
いきなり言われて喜べる訳ないじゃん。それ所じゃないし。もっと早く言ってよ。相談してよ。パパのバカバカ。
それに歳の近いお兄ちゃんが良かったもん。あれどう見たって10歳は離れてそう。
そんな事を考えてるうちにパパは未来のママをエスコートしはじめた。
「じゃぁ奥のリビングにでも」
そう言うとパパは2人を連れて奥に入っていってしまった。
一瞬チラッと未那斗ってヤツが私に流し目してったのは見逃さない。あれがお兄ちゃん…?って。
無理。
無理に決まってんじゃん。そりゃカッコいいかもだけど…
なんか無理。私は直感的にそう感じたんだった。
3LDKのマンションの一階のはじっこ、親子2人じゃちょっと広いけど自由で私は良かったのに…。
何で邪魔するの…
何度か私を呼ぶパパの声がする。仕方ないから私もリビングに行く。
「叶ちゃんだね…?徳之助さんから聞いてるよ。これから宜しくね。何でも気軽に言ってよ」
未菜斗が何か言ってるけど私は無言。それで微かに唇を尖らせてみせる。
って徳之助さんなんだ。お父さんって呼ばないんだ。でも…パパの名前、私は結構好き。
昔な感じするけどなんかカッコいいよね。
周りからは[徳さん]って呼ばれてたりするらしいけど今度からはきっと店長って呼ばれるんだろうな~。
なんてどうでもいい事を考えながら紅茶を飲んで居心地の悪さに耐える。
そこで次期美人ママがやっとこっちを向いて口を開いた。
「叶ちゃん、私は菰田弥生って言います。1度徳之助さんのお店で見掛けたんだけどやっとこうしてお話ができたわ。本当はラフに遊びがてらどこか外で会ってみたかったんだけど徳之助さんがそんなのいいって言うものだから…やっぱりすぐに打ち解けるのは難しいかもしれないけど、ウチの息子もずっと歳上だから何かと頼りになると思うの。だからなんでも言ってみてちょうだい。勿論私もママとして頑張るわ」
わっ…ちゃんとした挨拶きた。これは応えない訳にはいかないかぁ。
割と中身はしっかりしてるのかな…
でもでもこのくらい大人なら当たり前だよ。
そう思って態度は変えない。
「別に…パパがいいなら…私はいいです。でもパパだけ見てればいいです」
か弱い中学生に出来る精一杯の皮肉のつもり。
私は早く優しくて私をずっと世界一愛してくれる恋人を見付けてこんな場所から出ていくんだから。
それまでの我慢…
「とにもかくにもみんな仲良く、だ。な?」
そこで見かねたのかパパが話を纏めにかかってきたから何となく空気も変わり、私はサッサと自分の部屋に逃げ込んだ。
でもパパのくせに空気読めたんだ、なんて。
たまにはヤルじゃん。
そんな最悪な初対面から約2ヶ月後にパパ達は籍を入れた。
お互い再婚だからと式は内々ごく親しい間柄でだけだった。
出たくなかったけど、パパの為だと強く自分に言い聞かせて私も出席した。
そして勿論、みんな一つ屋根の下。
それからの私は心の整理も付かぬままにずっと高校を卒業するまでもふて腐れて過ごして、気付けばパパともあまり口を聞く事も無くなってしまってた。
同性の一番の仲良しだった子の所にだけは良く行って色々話したけれど。
王子様も現れないし。
クラスや学校の男子はみんな子供っぽく感じてたし。
かといってアイツは…何よりも私を男嫌いにさせたのは未那斗。
凄く優しかったの。
何をするにも丁寧過ぎるくらいに親切だったし。
でも私にはそれが逆に鬱陶しくて堪らなかった。
高1の頃バッタリと渋谷で出くわした時なんてずっと付いてきて色々世話を焼こうとして。
極めつけに手‥握ってきたの、アイツ。
私はその瞬間体に電気が走ったみたいだった。
きっとこんな表現は好きな相手にだけ使うものだと思ってたけど、でも全く逆の意味でビリビリした。
それで完全にあぁ‥私とはダメなんだなって思った。生理的にムリ…。
でも今もそれに理屈なんて付けられないけど思春期だったからとかは絶対言われたくなくて、それが余計に自分をイライラさせた。
そんな十代を過ごしてきて私は高校を卒業して調理師専門学生になった。
基本的に3年制でそれぞれ1年ごとに和洋中と勉強してくシステムの学校。
私の場合調理師に栄養士もだったからかなり大変だったけど夢や目標があったから頑張れると思った。
それは大好きな人に沢山美味しい料理を作ってあげたかったから。単純かもしれない。けどいつの間にか私にとって似合う恋人と出逢う事が唯一の希望となってその為に出来る事をしたいと思ったから。
小さい頃はホントのママと料理はしてたし、って小2までだけど。ママ死んでからもずっとしてた。
パパは下手くそだしね。
それは再婚してからもちょくちょくやってたの。
時々パパも「叶の料理食べたい」って言ってたから。
それが半分は私のご機嫌取りだったとしてもそこだけは悪い気しなかった。
そして入学してすぐにパパがウチでバイトするかって言ってきたのを最初は家居るよりはいいかなって思って引き受けてみた。
その矢先…
私のお腹が壊れてるのが見付かった…
生理でもないのに不正出血があって。
お腹も超痛いし、最初はそのうち治るかなって我慢してたけど、パパが見かねて病院に連れて行ったの。
それが分かった時、お医者さんに話を聞いた時、これは夢なの?っとしか思えない自分が居た。
意味解るけど分かんない。そうゆう気持ち。
そして総てを閉ざしてしまった。じゃないと私の中の全部が空っぽになりそうだったから。
だから、笑った。
笑うようにした。
それは嘘の笑顔だったけど。
そうする事でしか私は私で居られなくなってしまったから。
病気から逃げた。
必死で逃げた。
パパにも優しくした。
弥生ママにも未那斗にも笑った。
そうすれば神様が許してくれないかってバカみたいな事考えて。
イイコになった。
私がみんなを受け入れなかったからバチが当たったんだって。
勿論、治療はやってたけどお薬飲むだけ。
手術は‥イヤだった。
女の子を捨てたくなかった。
いつか出逢う大好きな人の前で可愛い女の子で居たかったから。
ただそれだけだったの。
そしてパパはバイトの話しを無しにするかって言ったけど私は強情に働きたいってお願いした。
だけど、そこで‥やっと私は…悠ちゃんを見付けられたんだ。
最初は挨拶だけだったし、ろくに世間話も出来ずに居たけど、いつも悠ちゃんの仕事ぶりを見てた。口数少ないけど周りを気遣って、黙々と動く。
それは誰に対してもだけど自然と押し付けがましくもなくて。
仕事だからって感じもしなかった。
単にカッコいいなって感じた。
だからすぐに好きになってた。
それに…きっと心の中は柔らかなほんわかとした優しさが詰まってるって感じたの。
それが今じゃ私の勘違いじゃなかったって分かってもっともっと悠ちゃんの事を大好きになった。
ラブラブ…ってきっとこんなかなぁ。
あ、でも一度だけ悠ちゃんとも大喧嘩したことある。
原因は‥プリン。
あの甘いデザートのプリンだよ。
悠ちゃんってあぁ見えてスッゴく可愛いの。
プリン大好きって。
食べてる時の顔がまた可愛い。
いつもニヤニヤしながら食べてるの。
そんなプリンの買い置きを私が食べちゃって、後で買いに行くつもりが忘れてたから。
仕事帰ってきた悠ちゃんは絶対に怒ったことなかったのに、その時はカンカンに怒って…。
「何でいつもいつも勝手な事をするんだよ。僕の楽しみを奪って楽しい?」
「だから買ってくるから。悠ちゃんごめんっ」
「どんだけ僕がプリンを好きか叶は分かってないんだよ。それにクリームたっぷりプリンじゃないとダメなんだからな」
「なによ~そんなにプリンプリンって。じゃ私とプリンどっちが大切なの?」
「そりゃ~ぷり……っんぷりんな叶」
「なにそれ、プリンなんじゃん。プリンでしょ。私はプリンのオマケじゃないもん。そんなにプリンがいいなら買いに行くよっ!!バカ」
でも私はそう言って上野のアメ横に居た。
悠ちゃんのアパートから二駅だったけどそこからメールをイッコだけ送って待つ。
『今上野に居るの。探しに来て。見付からなかったら別れる』
そしたら…
すぐに返信来た。
『上野ってどこに居る?』
私それ見てちょっと吹いちゃった。
だって言うわけないし。
絶対悠ちゃん慌ててるよって思って。
でもそう思うとなんかちょっとだけ可愛そうになって。1つだけヒントをあげた。
『アメ横から半径百メートル』
『そうか、分かった』
『まぁ精々頑張ってね』
それから何度か今ここメールが来て私はそれに曖昧に近いかな~とか離れたとか時々バカって言ってメールを返した。
そして4時間くらいして、やっとアメ横のゲームセンターでUFOキャッチャー越しに見付かった私。
「…あのプーさん取って。取ったら帰る」
「…やれやれ」
そう言うと悠ちゃんは見事100円で取ってしまったのを見て私はやっぱり悠ちゃんが大好きなんだな~って思っちゃった。
「はい、これ」
私は前もって買ったコンビニの袋に入ったプリンを悠ちゃんに手渡した。
「…ありがとう。でもこれ生ぬるじゃん」
「文句あるなら返して」
「…家帰ろう」
「うん」
そうしてしっかり手を繋いで歩き出した。
「大好き悠ちゃん」
「あぁ、僕もだよ」
…何か色々思い出しちゃったなぁ。
「なんか笑ってたけど大丈夫?」
「うん、私頑張ってくるね。ちょっとだけ待ってて」
笑顔はいつの間にか本物になってた。
私はもうすぐ手術を受ける。
大好きな悠ちゃんの為に。
悠ちゃんの為に生きるんだ。
例えどんな事になったとしても。
私は私らしく生き抜くと決めたんだから。。。
って言うか、無しと言ってもいいくらいじゃないかなぁと。
だってそんな余裕もあの頃の私には無かったんだもん。
あれは中学一年生の初夏だったかな。
中学高校の私は多分ひねくれてたと思う。その原因でもある出来事。ちょうど離婚したパパが再婚するからと新しいママを連れてきた時だった。
そうだなぁ…身長はちょっと小柄だったけどグラマーで普通に綺麗かも。
でも最初は私はその人が再婚する相手だとは思わなかった。だって隣にはハタチ過ぎくらいのこっちはスラッと背の高い若い男の人が一緒だったから。
因みに超イケメン。
それがピッタリと並んで歩いてるし、何か親密そうな雰囲気もあったし…カップル??って思った。
パパはドア開ける前からずっとソワソワしっぱなしでそれは面白かったけど。
「良く来てくれたね。あぁ未那斗君も一緒か…まぁ遠慮しないでゆっくりとしていって欲しい」
「ねーパパ誰か友達来たの?」
「いや、まぁ叶も挨拶して‥」
「なんで?」
普通なら初対面でパパの知り合いなら挨拶したんだろうけどその時はなんか素直にできなかったの。
「だからこれから一緒に暮らすんだから。仲良くしないとな」
「え??意味分かんないよ。何で知らない人といきなり一緒に暮らしてしかも仲良くしなきゃならないの?」
「それはこれからちゃんと説明するから」
「ちゃんとって…大体パパっていつも唐突過ぎなんだから。計画性無いし。しかも空気読めないしー。今度から店長なんだからしっかりしないとダメなんだから。私をちゃーんと素敵な大人の乙女に育てないといけないんだからね」
「うるさい…分かってる」
それでパパはしかめっ面をした後にドヤ顔みたいにして下を向いていた目をその女の人に合わせた。
「あぁ、勿論今度からは4人になるわけだからな。パパに任せておけばいいさ」
「え?なんで一緒に住むだけじゃなくて生活費までださなきゃいけないの?」
「そりゃお前…家族だからな。新しい。ママとお兄さんだな。叶はお兄さん欲しいって言ってなかったか?」
「って…ええーーーっ!!」
「お前の願いを叶えてあげたんだからもうちょっと喜べって」
いきなり言われて喜べる訳ないじゃん。それ所じゃないし。もっと早く言ってよ。相談してよ。パパのバカバカ。
それに歳の近いお兄ちゃんが良かったもん。あれどう見たって10歳は離れてそう。
そんな事を考えてるうちにパパは未来のママをエスコートしはじめた。
「じゃぁ奥のリビングにでも」
そう言うとパパは2人を連れて奥に入っていってしまった。
一瞬チラッと未那斗ってヤツが私に流し目してったのは見逃さない。あれがお兄ちゃん…?って。
無理。
無理に決まってんじゃん。そりゃカッコいいかもだけど…
なんか無理。私は直感的にそう感じたんだった。
3LDKのマンションの一階のはじっこ、親子2人じゃちょっと広いけど自由で私は良かったのに…。
何で邪魔するの…
何度か私を呼ぶパパの声がする。仕方ないから私もリビングに行く。
「叶ちゃんだね…?徳之助さんから聞いてるよ。これから宜しくね。何でも気軽に言ってよ」
未菜斗が何か言ってるけど私は無言。それで微かに唇を尖らせてみせる。
って徳之助さんなんだ。お父さんって呼ばないんだ。でも…パパの名前、私は結構好き。
昔な感じするけどなんかカッコいいよね。
周りからは[徳さん]って呼ばれてたりするらしいけど今度からはきっと店長って呼ばれるんだろうな~。
なんてどうでもいい事を考えながら紅茶を飲んで居心地の悪さに耐える。
そこで次期美人ママがやっとこっちを向いて口を開いた。
「叶ちゃん、私は菰田弥生って言います。1度徳之助さんのお店で見掛けたんだけどやっとこうしてお話ができたわ。本当はラフに遊びがてらどこか外で会ってみたかったんだけど徳之助さんがそんなのいいって言うものだから…やっぱりすぐに打ち解けるのは難しいかもしれないけど、ウチの息子もずっと歳上だから何かと頼りになると思うの。だからなんでも言ってみてちょうだい。勿論私もママとして頑張るわ」
わっ…ちゃんとした挨拶きた。これは応えない訳にはいかないかぁ。
割と中身はしっかりしてるのかな…
でもでもこのくらい大人なら当たり前だよ。
そう思って態度は変えない。
「別に…パパがいいなら…私はいいです。でもパパだけ見てればいいです」
か弱い中学生に出来る精一杯の皮肉のつもり。
私は早く優しくて私をずっと世界一愛してくれる恋人を見付けてこんな場所から出ていくんだから。
それまでの我慢…
「とにもかくにもみんな仲良く、だ。な?」
そこで見かねたのかパパが話を纏めにかかってきたから何となく空気も変わり、私はサッサと自分の部屋に逃げ込んだ。
でもパパのくせに空気読めたんだ、なんて。
たまにはヤルじゃん。
そんな最悪な初対面から約2ヶ月後にパパ達は籍を入れた。
お互い再婚だからと式は内々ごく親しい間柄でだけだった。
出たくなかったけど、パパの為だと強く自分に言い聞かせて私も出席した。
そして勿論、みんな一つ屋根の下。
それからの私は心の整理も付かぬままにずっと高校を卒業するまでもふて腐れて過ごして、気付けばパパともあまり口を聞く事も無くなってしまってた。
同性の一番の仲良しだった子の所にだけは良く行って色々話したけれど。
王子様も現れないし。
クラスや学校の男子はみんな子供っぽく感じてたし。
かといってアイツは…何よりも私を男嫌いにさせたのは未那斗。
凄く優しかったの。
何をするにも丁寧過ぎるくらいに親切だったし。
でも私にはそれが逆に鬱陶しくて堪らなかった。
高1の頃バッタリと渋谷で出くわした時なんてずっと付いてきて色々世話を焼こうとして。
極めつけに手‥握ってきたの、アイツ。
私はその瞬間体に電気が走ったみたいだった。
きっとこんな表現は好きな相手にだけ使うものだと思ってたけど、でも全く逆の意味でビリビリした。
それで完全にあぁ‥私とはダメなんだなって思った。生理的にムリ…。
でも今もそれに理屈なんて付けられないけど思春期だったからとかは絶対言われたくなくて、それが余計に自分をイライラさせた。
そんな十代を過ごしてきて私は高校を卒業して調理師専門学生になった。
基本的に3年制でそれぞれ1年ごとに和洋中と勉強してくシステムの学校。
私の場合調理師に栄養士もだったからかなり大変だったけど夢や目標があったから頑張れると思った。
それは大好きな人に沢山美味しい料理を作ってあげたかったから。単純かもしれない。けどいつの間にか私にとって似合う恋人と出逢う事が唯一の希望となってその為に出来る事をしたいと思ったから。
小さい頃はホントのママと料理はしてたし、って小2までだけど。ママ死んでからもずっとしてた。
パパは下手くそだしね。
それは再婚してからもちょくちょくやってたの。
時々パパも「叶の料理食べたい」って言ってたから。
それが半分は私のご機嫌取りだったとしてもそこだけは悪い気しなかった。
そして入学してすぐにパパがウチでバイトするかって言ってきたのを最初は家居るよりはいいかなって思って引き受けてみた。
その矢先…
私のお腹が壊れてるのが見付かった…
生理でもないのに不正出血があって。
お腹も超痛いし、最初はそのうち治るかなって我慢してたけど、パパが見かねて病院に連れて行ったの。
それが分かった時、お医者さんに話を聞いた時、これは夢なの?っとしか思えない自分が居た。
意味解るけど分かんない。そうゆう気持ち。
そして総てを閉ざしてしまった。じゃないと私の中の全部が空っぽになりそうだったから。
だから、笑った。
笑うようにした。
それは嘘の笑顔だったけど。
そうする事でしか私は私で居られなくなってしまったから。
病気から逃げた。
必死で逃げた。
パパにも優しくした。
弥生ママにも未那斗にも笑った。
そうすれば神様が許してくれないかってバカみたいな事考えて。
イイコになった。
私がみんなを受け入れなかったからバチが当たったんだって。
勿論、治療はやってたけどお薬飲むだけ。
手術は‥イヤだった。
女の子を捨てたくなかった。
いつか出逢う大好きな人の前で可愛い女の子で居たかったから。
ただそれだけだったの。
そしてパパはバイトの話しを無しにするかって言ったけど私は強情に働きたいってお願いした。
だけど、そこで‥やっと私は…悠ちゃんを見付けられたんだ。
最初は挨拶だけだったし、ろくに世間話も出来ずに居たけど、いつも悠ちゃんの仕事ぶりを見てた。口数少ないけど周りを気遣って、黙々と動く。
それは誰に対してもだけど自然と押し付けがましくもなくて。
仕事だからって感じもしなかった。
単にカッコいいなって感じた。
だからすぐに好きになってた。
それに…きっと心の中は柔らかなほんわかとした優しさが詰まってるって感じたの。
それが今じゃ私の勘違いじゃなかったって分かってもっともっと悠ちゃんの事を大好きになった。
ラブラブ…ってきっとこんなかなぁ。
あ、でも一度だけ悠ちゃんとも大喧嘩したことある。
原因は‥プリン。
あの甘いデザートのプリンだよ。
悠ちゃんってあぁ見えてスッゴく可愛いの。
プリン大好きって。
食べてる時の顔がまた可愛い。
いつもニヤニヤしながら食べてるの。
そんなプリンの買い置きを私が食べちゃって、後で買いに行くつもりが忘れてたから。
仕事帰ってきた悠ちゃんは絶対に怒ったことなかったのに、その時はカンカンに怒って…。
「何でいつもいつも勝手な事をするんだよ。僕の楽しみを奪って楽しい?」
「だから買ってくるから。悠ちゃんごめんっ」
「どんだけ僕がプリンを好きか叶は分かってないんだよ。それにクリームたっぷりプリンじゃないとダメなんだからな」
「なによ~そんなにプリンプリンって。じゃ私とプリンどっちが大切なの?」
「そりゃ~ぷり……っんぷりんな叶」
「なにそれ、プリンなんじゃん。プリンでしょ。私はプリンのオマケじゃないもん。そんなにプリンがいいなら買いに行くよっ!!バカ」
でも私はそう言って上野のアメ横に居た。
悠ちゃんのアパートから二駅だったけどそこからメールをイッコだけ送って待つ。
『今上野に居るの。探しに来て。見付からなかったら別れる』
そしたら…
すぐに返信来た。
『上野ってどこに居る?』
私それ見てちょっと吹いちゃった。
だって言うわけないし。
絶対悠ちゃん慌ててるよって思って。
でもそう思うとなんかちょっとだけ可愛そうになって。1つだけヒントをあげた。
『アメ横から半径百メートル』
『そうか、分かった』
『まぁ精々頑張ってね』
それから何度か今ここメールが来て私はそれに曖昧に近いかな~とか離れたとか時々バカって言ってメールを返した。
そして4時間くらいして、やっとアメ横のゲームセンターでUFOキャッチャー越しに見付かった私。
「…あのプーさん取って。取ったら帰る」
「…やれやれ」
そう言うと悠ちゃんは見事100円で取ってしまったのを見て私はやっぱり悠ちゃんが大好きなんだな~って思っちゃった。
「はい、これ」
私は前もって買ったコンビニの袋に入ったプリンを悠ちゃんに手渡した。
「…ありがとう。でもこれ生ぬるじゃん」
「文句あるなら返して」
「…家帰ろう」
「うん」
そうしてしっかり手を繋いで歩き出した。
「大好き悠ちゃん」
「あぁ、僕もだよ」
…何か色々思い出しちゃったなぁ。
「なんか笑ってたけど大丈夫?」
「うん、私頑張ってくるね。ちょっとだけ待ってて」
笑顔はいつの間にか本物になってた。
私はもうすぐ手術を受ける。
大好きな悠ちゃんの為に。
悠ちゃんの為に生きるんだ。
例えどんな事になったとしても。
私は私らしく生き抜くと決めたんだから。。。