奈良国立博物館で開催中の『正倉院展』に行ってきました
奈良の秋の風物詩とも言える『正倉院展』ですが、今年も奈良国立博物館で開催されています。
私も10月28日に行ってきました
音声ガイドを聴きながら見て回るとくわしいことがわかります。
今年は令和元年、新天皇御即位記念ということで、例年にも増して華やかな宝物が展示されていました。
会場に入ってまず目を引くのが「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」
簡単に言うと象牙のものさしですが、実用品ではなく儀礼用と推測されるそうです。紅色の模様の美しさに惹かれました。本物の撮影はダメですが、これをベースにしたグッズが売られていて思わず買いました。この紅い部分が本物と同じ模様です
大勢の人が熱心に見ていて、私も見入ってしまったのが「螺鈿箱(らでんのはこ)」
緻密な螺鈿細工が1300年も美しいまま保存されて私達の目に触れているってすごいです。三つ折りクリアファイルが売られていたので、これも買いました
たくさんの宝物が展示されていましたが、今回の大物(?)が 「鳥毛立女屏風(とりげりゅうじょびょうぶ)」。教科書で一度は見ているあの天平美人が20年ぶりにお目見えです。
(↑ こちらの写真はホームページからお借りしました。)
教科書では1帖だけ載っていることが多いのですが、実は6帖の屏風です。この6帖をそろって見ることができます。
その他にも美しい宝物がたくさん展示されていて見応えがありました。
その中で私の心に一番残ったのは、実は 「光明皇后願経(こうみょうこうごうがんきょう)」です。
光明皇后は亡き父母(藤原不比等、橘美三千代)の冥福と夫(聖武天皇)の御代の安泰を願い、大勢の僧に写経をさせました。特にそのうちの天平12年5月1日の光明皇后の願文を持つ一切経は「光明皇后願経(五月一日経)」と呼ばれています。
その写経が半端な規模ではないのです。玄坊(げんぼう)が唐から持ち帰った五千余巻の経典を底本にして20年間に渡って写経が行われ、当時の我が国の大事業だったそうです。
これが、今回の正倉院展の一番最後に展示されています。
美しく華やかな宝物が多い中で、墨で書かれた文字だけのものはさっと通り過ぎる人も多いようですが、展示物の最後に置かれているのは、きっと意味があるはず。
光明皇后の父母や夫への思いの深さが伝わります。そして、仏教を始めとする文化的なものを大切にする(重要視する)気持ちがあればこそ、奈良時代に文化が大きく発展し、これだけの宝物が後世に残されたのでしょう。
興福寺の阿修羅像を造らせたのも光明皇后ですし、人々の間に疫病が流行った時に今で言う医療や福祉の対応をしたのも彼女です。「光明皇后願経」の文字を見ながら、光明皇后という女性がこの時代にいたことの意味は大きいと感じました。
展示ブースを出て売店に行くと、ほしい物がいっぱいで困ります。
先に写真を載せたものさしや螺鈿箱のファイルの他に買ったのが、こちらのファイルです。
左の赤い方が自分用、右の緑色のは夫へのおみやげで、「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえこうろ)」の香炉の部分が載っています。
そして、ストール。
巻くとこんな感じになります。
とても充実した気分で博物館を出て、こういう時に私が行くのは「ことのまあかり」です。
ことのまあかりもミニ正倉院です。
SNSで知ってぜひとも見たかったのが、大好きなイラストレーター・上村恭子さんと、大好きな消しゴムはんこ作家・つまびきやさんの「鳥毛立女図」の掛け軸。
この絵を見ながらホットケーキとアイスコーヒーをいただきました。
そして、ことのまあかりで買おうと決めていたのが、このメッセージカードです
前面を開くとこうなります
正倉院展に行った方ならもうおわかりですね。そう、「赤漆文かん木御厨子(せきしつぶんかんぼくのおんずし)」です。↓
(↑こちらの写真はホームページからお借りしました。)
色の出方と言い、形と言い、復元力の高さに「いい仕事してますねぇ」と言いたくなります。
上村恭子さん作です 「上村さん、ありがとう」
『正倉院展』は11月14日(木)までです。
奈良公園の木々も少し色づき始めました皆さん、お越しください